MAG2 NEWS MENU

Doctor holds Syringe with Ampoules Covid-19 vaccine on a laboratory bench. Fight the coronavirus, sars-cov-2 pandemic. Coronavirus 2019-nCoV COVID concept. Vaccination

社労士が解説。企業は従業員にワクチン接種を命令できるか?

日本では、ようやく高齢者に対する新型コロナワクチンの接種が始まりました。ワクチン接種に関してはさまざまな情報が流れていますが、企業が従業員にワクチン接種を強制することはアリなのでしょうか。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、 今回の新型コロナワクチン接種に関する企業としての立ち位置を分かりやすく説明しています。

コロナワクチン

高齢者に対する、新型コロナウイルスコロナワクチンの接種申込みが始まった。

ワクチンに関しては、家庭で、職場で色んな噂があるようだが、果たしてどうなのか?事業主としては接種に関して、どのように考えると良いのか?迷うところですよねー…。

——

新米 「コロナワクチンの接種って先輩は受けるんですかぁ?」

E子 「何よ、いきなり。私は、沢山の人が懸命に研究して、ようやく形にしてくれたものだから、有難く受けるわよ~。新米くんは、どうなの?」

新米 「正直、迷ってるんす。良くない噂では、何が入ってるんだかわからないなんて言っていますし、まだ死にたくないですから、もうちょっと様子を見てからにしたいなーなんて」

大塚T 「あぁ、あれねー。そもそもコロナウイルス自体がつくられた陰謀だ!説もあるし、ワクチンにも何が入っているんだかって思うと確かに怖いわよね」

E子 「何を寝ぼけたこと言ってんのよ。この間、ニュースでも『人減らしのためのまき散らし』なんて変なデマが流れているようですが、そんなことはありません!って言ってたわよ」

新米 「そんなことをニュースで言っているんですか?ますますコワイです…」

大塚T 「ま、心配しないでもあんたの場合、そんな簡単には死なないわよ」

新米 「ひどい言い方しますよねー」

E子 「それはそうと、うちの母に高齢者枠申し込みの案内が来ていて、接種のときついて行きたいから、ボスに年休申請したいのよね。良いよね?」

大塚T 「あ、そうか。もう案内が来ているんですね」

E子 「そう。申し込み開始日にはさすがに電話がつながらなかったんだけど、翌日は午後イチにすぐつながって、2回目の接種まで同時に申し込めたそうよ」

新米 「まとめて申し込みできるんですね」

E子 「そうみたい。1回目は4月27日火曜日の16時半、2回目は5月21日金曜日の同じ時間なの」

大塚T 「それならどちらも半休で大丈夫ですね。E子先輩の顔見ないと、私寂しいので…(^^)」

E子 「そうね。この時間なら確かに1日年休とる必要はなさそうね。午後からの半休にするわ」

深田GL 「ワクチン接種の話かい?」

大塚T 「はい、そうです。E子先輩のお母様のことです」

深田GL 「そういえば、今月のお客様への請求書と同送で、ワクチン接種の注意事項を入れようと思うんだ」

E子 「あ、ボスから指示されている案内のことね」

新米 「どんな内容なんですか…?」

深田GL 「一言で言ってしまうと、『接種の有無は、あくまでも従業員本人の自己判断に任せるべきだ』ってことかな」

新米 「会社が接種命令するのは良くないんですか?」

深田GL 「そういうことだね。会社が、接種の有無のいずれかを推奨したり強制したりした場合には、その結果生じた従業員の損害について賠償責任を負う可能性が出てくるから要注意だってことだ」

E子 「従業員に接種を勧めたり、強制したりして、アナフィラキシー等が発生した場合には会社に対し損害賠償請求の可能性が出てくるし、アナフィラキシーがあり得るので、接種を受けないように勧めた場合でも、新型コロナに感染して重症や中等症になったら会社に対し損害賠償の可能性が有るのよね」

新米 「受けた方が良いと言ってもダメだし、受けない方が良いというのもダメってことですかぁ?」

深田GL 「そうなんだ。民法第709条の不法行為による損害賠償では、『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』とあるからね」

E子 「つまり、何も言わないに限るってことになるわけだけど、なかなか難しいところよねー」

新米 「ふーん、そういうものなんですか。じゃぁ、営業や外回りしている人は受けることなんて会社がいうのもご法度ってことなんですね」

深田GL 「うん、そういうこと。お得意先様に安全性を売り込むために、接種を強制することもしない方が良いってことだね」

E子 「接種のために遅刻・早退・欠勤しても会社は一切関与する必要はなくて、接種のために年次有給休暇を使いたいとの申し出があった場合は、年休を認めればよいとなるわけね」

大塚T 「そりゃ、年休の使い道は自由ですものね」

E子 「そう。そして、逆に、会社が接種のための年休取得を認めない場合は、今度はまた接種の機会を失ったとして、後に損害が発生したならば、請求される可能性があり得るってこと」

新米 「うーーん、色々とややこしそうですね」

深田GL 「ワクチン接種に関しては、『何もしない、何も関与しない』に限るんだ」

大塚T 「厚生労働省の『新型コロナワクチン接種についてのお知らせ』には『職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないようお願いいたします。』と記載もありますね」

新米 「なんやかんやと細かなことまでホームページに書かれているんですねー」

E子 「そう、『あくまでも、接種の有無は、従業員本人の自己判断に任せるべき』です」

image by: Shutterstock.com

イケダ労務管理事務所この著者の記事一覧

この日記をお読みくだされば、社労士及び社労士事務所の固いイメージが一変するかもしれません。 新米社労士が日々の業務・社会のルール等に悩み・悪戦苦闘する様子を中心に、笑いあり、涙あり、なるほどありの社労士事務所の日常を、ノンフィクション、フィクションを交えて綴ります。 水曜日のお昼休み、くすっと笑いながら、皆でお楽しみください。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 新米社労士ドタバタ日記 成長編 』

【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け