MAG2 NEWS MENU

Cropped image of young man and woman holding a pile of books while standing in the book shop

なぜ危機に瀕していた「街の本屋さん」の売上が急に伸びたのか?

ネットショッピングの普及で、街の書店は危機に晒されていると考えられていましたが、どうやら昨年は前年の売上を上回っていたようなのです。コロナ禍で多くのリアル店舗が悲鳴をあげるなか、なぜ街の書店は売上を伸ばすことができたのでしょうか? 今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』で、その売上向上のための努力が紹介されています。

まちの書店を参考に

コロナ禍で、多くの小売店がEC販売に力を入れ始めました。お客様には便利ですからね。一方、リアル店舗での販売に力を入れているお店もあります。どうしてでしょう。今回は、書店の動きを参考にして考えてみます。

書店で起こっていること

2021年4月11日の日経MJに、最近の書店の動向が載っていました。2020年の書店の売上が、この20年で初めて前年を上回ったとのこと。2020年5月時点の書店数は約1万1,000店。20年前の半分にまでなっています。そんな下降線をたどっている業界なのに、昨年は前年売上を上回ったというのです。しかも、コロナ禍の真っただ中。何が起こっているのでしょうか。

日経MJによれば、『鬼滅の刃』の歴史的なヒットで書籍の売上が伸びたのが一つの要因だとあります。しかし、それだけではありません。「コロナ禍によって、都市への通勤者が減り、自宅に近い書店で本を買う習慣が根付いた」ことも要因だとしています。

それならば、アマゾンのようなECショップで買えば済む話ではないかと思いますが、どうも様子は違うようです。直接「まちの書店」で買う人が増えていると言います。まさに「まちの書店」の復活です。良いですねえ。「まちのスポーツショップ」にも、そんな風が吹いて欲しいものです。

とはいえ、コロナ禍の影響でテレワークが増えたことだけが「まちの書店」で買う要因ではないでしょう。「まちの書店」も、それなりの努力をしなければ、売上が上がるものではないはずです。日経MJでは、いくつかの書店の「努力」が紹介されています。3つあげてみましょう。

1.個性的な品ぞろえをする
2.本との出会いを体験する場所にする
3.地元作家を動画で紹介して地元住民とつなげる

何となく分かりますね。これらは「まちのスポーツショップ」にも参考になりますので、もう少し詳しく述べます。

スポーツショップにできること

「個性的な品ぞろえ」とは、他の店と同じ書籍を並べていてはダメだということです。アマゾンでも売っていないような書籍を品ぞろえすることで人気を集めている個性的な書店がある、とあります。それも、独りよがりではなく、地元住民の特性を見たうえでの品ぞろえです。

そのことが、「本との出会いを体験する」ことにつながります。つまり、店に行かないと出会えない本を揃えることが秘訣です。おそらく、その書籍のそばには、店主の「この本への想い」がつづられていることでしょう。店主がその本や著者に出会ったストーリーが語られているかもしれません。

そして、「地元作家を動画で紹介する」書店があります。書店が地元作家の動画を紹介して、住民とのつながりを作るという売り方です。おそらく、ユーチューブやインスタグラムで作家や作品の紹介をしているのでしょう。店頭でも、その著書の前で作家のDVDを流しているかもしれません。

日経MJでは、このような「努力」をして売上を伸ばしている書店のことが紹介されていました。これら3つのキーワードは「地元」「体験」「つながり」です。上の例から、「まちのスポーツショップ」にも出来ることはないでしょうか。

例えば、「個性的な品ぞろえ」は簡単にできるはずです。なぜなら、大型スポーツチェーンとはいえ、全てのスポーツ用品を並べられるわけではありません。また、ECショップには際限なく商品を出品できますが、並べれば並べるほど在庫が増えて、販売効率が悪くなっていきます。

そこで、「まちのスポーツショップ」で活かせるのが、お店や店主の「こだわり」です。世間で売れている商品ばかりを追いかけずに、お客様に伝えたいこだわりの商品を揃える店にすればどうでしょう。今こそ「個性」で勝負をする時代が来ました。

問屋さんが出来ること

次の「出会いを体験する」ことも、「まちのスポーツショップ」に出来ることです。こだわりのある商品には、店主の想いやストーリーがあります。お客様にその商品を手に取ってもらい、その想いやストーリーを感じてもらうことです。もちろん、商品には熱く語られた「言葉」が添えられています。これが「出会いを体験する」ことです。

3つ目の「動画で地元住民とつなげる」ことも、たいして難しくはありません。書店の場合は「地元の作家」でした。スポーツショップでは、「地元の有力スポーツ選手」と住民とをつなげることが出来ます。選手の動画を作って配信するのは簡単です。

一度、この3つのポイントで、出来ることを考えてみましょう。そうすれば、新しい「まちのスポーツショップ」になるかもしれません。

そして、日経MJには、さらに面白いことが書いてあります。大手書籍取次店のトーハンと、電子書籍取次大手のメディアドゥが資本提携をして中小書店での電子書籍販売を進めるそうです。言ってみれば、問屋さんが小売店のために新しい流通形態を作り、新しい売り方を提供することになります。

このことは、スポーツ用品の流通にも参考になるはずです。例えば、何社かの問屋さんが手を組んで、「まちのスポーツショップ」のEC販売を手伝うことは出来ないでしょうか。取り扱う商品は、メジャーブランドではなく、ニッチなブランドです。ECサイトだけでなく、リアル店舗でも商品を販売してQRコードで情報が見られるようにしてはどうでしょう。

また、問屋さんは、サイト運営だけでなく、EC販売のノウハウやアクセス解析の方法も伝えます。スポーツショップの苦手な部分をカバーしてあげるのです。そして、そのことを通じて「地元」「体験」「つながり」という3つの要素を強め、商売につなげるよう支援してはいかがでしょう。

こんなところにも、問屋さんの存在意義がある気がします。そうすれば、「まちのスポーツショップ」の売上も前年を上回ることができるのではないでしょうか。

■今日のツボ■

・まちの書店の売上が伸びているのを、スポーツショップも参考に
・伸びている書店は「地元」「体験」「つながり」を大切にしている
・問屋さんは新しい流通形態を提案するときである

image by: Shutterstock.com

梅本泰則この著者の記事一覧

ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ! 』

【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け