終わりの見えないコロナ禍のビジネスシーンにおいて、もはや日常となった「オンライン会議」。しかし、不慣れなオンライン会議を上手く回せる人と回せない人の差は歴然です。この「差」はどこからつくのでしょうか? メルマガ『ゼットスケーラー日本・アジア事業責任者が教える「金田博之のグローバル・ビジネススキル最前線」』の著者で昨年12月にクラウドセキュリティ業界を牽引する「ゼットスケーラー株式会社」の日本・アジア事業責任者として代表取締役に就任した金田博之さんは、参加者のことを考えた「一流ビジネスマンの回すオンライン会議」のコツを分かりやすく伝授しています。
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あなたはオンライン会議を上手に回せますか?
課題背景
2021年2月時点で東京都内のテレワーク導入率は63.5%、緊急事態宣言の解除後はある程度落ち着くことが予想されますが、それでもまだ油断できない状況ですので、昨年同様50%を切ることはないでしょう。
このような社会の流れを受けて、気になるのがリモートワークでの従業員の生産性です。
私みたいにほぼ現場にいない管理職であれば、元からリモートみたいなものなのであまり影響はありませんが、現場はそうはいきません。
ちょっとした意思疎通も簡単にはできなくなり、何かあったら互いの時間を確認してビデオを繋がなければいけません。
その中で金田サロンメンバーからも、「オンラインだとなぜか会議がうまくいかない」という声をいただきました。
やはり現場で働く人たちからはコミュニケーションの面で最も生産性に影響を感じる、という意見が多いようです。
というわけで今回はオンライン会議を円滑にまとめるポイントについてお話していきます。
一流、二流、三流はここが違う!
【三流】対面の会議と同じように会議をまわそうとする(対策をしない)
【二流】会議の事前に意見まとめるなど準備をする
【一流】会議について、メインテーマを明確化して周知。参加者が何の話をするのかわかりやすいようにする
オンライン会議の問題点
オンライン会議での問題点といえば、何が挙げられるでしょうか?
- 待ち時間などのロスが多い
- 会議についていけないことが多い
- 発言が偏りやすい
- 流れが見えず、ついていけないときがある
- ブレストしにくい(対面とまるで雰囲気が違う)
- ジェスチャーや表情がわかりにくい
- 誰が発言するか見えず、譲り合いが発生
このあたりが金田サロンで寄せられた意見でした。もちろん他にもたくさんあるかと思いますが、ほとんどの方が会議室で行う対面の会議とは違った、ネット会議特有のやりずらさを感じているようです。
それはオンライン環境というものに慣れていないだけだという意見もあるでしょうが、慣れない環境にいかに早く慣れていくか、つまり現状どうすれば最大限活かせるか考えるというのも一流のビジネスマンに欠かせない思考です。
これらの問題点を聞いて、私が特に気になったのは 「発言が偏りやすい」「誰が発言するか見えず、譲り合いが発生する」「流れが見えず、ついていけない」 という点です。
これは確かに対面の会議では中々起こりにくい現象だと感じました。そしてこれらの根本原因は、 オンラインでは会議の空気が読めない ことにあると考えています。
参加者個人の空気が読める能力という意味ではなく、 会議全体の空気感が発言しにくい雰囲気を作り上げたり、全体の流れを見えにくくしているのではないか ということです。
金田サロンメンバーには、私が毎月主催している金田サロンと比較してどうか、ということで話を聞いてみました。するとありがたいことに、サロンでは発言しやすいという声をたくさんいただきました。
その主な理由として、
・私が各メンバーに発言を促していること
・そもそもサロンでは予め準備をしているので、何をテーマにしてどういう話をしていくのか、流れが決まっており参加者にもそれがわかりやすいこと
が挙げられます。
他には会社の会議と違って、重要な意思決定に寄与しない(責任を伴わない)から、というのも考えられそうですね。
ここまでの意見を聞いて、私の中で答えが見えてきました。
流れがわかりにくい会議というのは、 ゴールが明確じゃない のではないかと。
そしてそのため、参加者には 当事者意識が欠けてしまっている ため、発言も少なくなってしまうのではないか。
空気が読めない参加者
そもそもオンライン会議と対面の会議で大きく違うのは、画面越しの情報共有だからか空気感が全く違います。
対面の会議ではなんとなく話を聞いているだけでもどんなことを話してて、どういう方向に向かっているのかを全体の空気で感じることができますが、オンラインではそれがとても難しいと思っています。
つまり、オンラインだと途端に空気を読めなくなる人が多いということですね。
会議のゴールが明確ではないという問題は、リモート環境じゃなくても起こりうることだと思うのですが、対面ならそのリスクを場の空気感を感じ取ることでカバーできていました。
しかし、オンラインではそれが難しい。
これによって、流れが見えずについていけないという参加者や、発言のタイミングがわからない、もしくは発言を遠慮してしまい、発言者が偏ってしまうという問題につながっています。
これにははっきりとした解決策があります。
会議のテーマをできるだけ 具体的 にしてしまうことです。
細かい部分はぼかしますが、私が経験した例を挙げます。
あるとき” 競合対策会議 ”なるものが緊急で飛び込んできました。
競合対策と聞いて、この会議は何を話し合うのかぱっと想像できますでしょうか?
言葉の範囲が広すぎて何について議論するのかがまったく想像できません。背景となる情報があれば思いつくかもしれませんが、何もなければさっぱりですよね。
そこで私がこのような提案をしました。
「◯◯についての対策チームを決める会議を行う」と周知してほしい、と。
※◯◯は競合他社と入札を取り合う案件のこと
このように言われると、呼ばれた参加者側は、「◯◯についての対策を考えるんだな」「誰をアサインするか決めるんだな」とイメージできます。
会議の本題が明確になったことで、事前に自分の意見をまとめておくこともできるでしょう。
その上で、「この人をチームメンバーに推薦したいので、会議に呼んでもいいですか?」と提案をすることもできます。
ここまで考えてもらえると参加者にはかなりの当事者意識がありますね。
逆に当初の抽象的な会議テーマのままにしてしまうと、呼ばれた側は何について話すのか明確なビジョンが持てません。
その結果、「よくわからんけど、司会役に任せとけばいいか」と考え当事者意識がなくなってしまいます。
会議は結論をイメージする
会議のメインテーマを具体的にすることで、それを見た参加者は結論(会議のゴール)がイメージしやすくなります。すると、 結論に向けた自分なりの意見を考えることができ、ただ座っているだけの傍観者ではなく、主体性を持って発言できる参加者になります。
結果の9割は準備で決まっていると言われますが、会議も同様で、準備段階からいい会議になるかどうかが決まります。そして特にオンラインの場合は会議名からすでに準備が始まっているのです。
そして実際に会議が始まったら、会議進行役のファシリテーションスキルも重要になってきます。
ここは通常の会議と大きくは変わらないと思いますが、やはりリモート特有の発言しにくい空気感があるので、 司会が積極的に発言者を指名したり、理解ができているかをこまめに聞いたりなど対面よりも気を使っていく必要があります。
ここまで会議を動かす側の視点で話してきましたが、呼ばれた参加者側の立場で見ても同じです。会議のテーマが明確でない場合は、まずそれをはっきりさせておきましょう。
「会議のメインテーマはなんですか」と直接聞いてもいいですし、長めにとっているのであれば「会議の前に意見を先にアジェンダをいただけますか」と提案するのもいいでしょう。
会議中も、遠慮しないくらいがちょうどいいかもしれません。誰も発言しなければ進行役も「本当にこのまま進めて大丈夫か」と不安になるものなので、何かしら意見があったほうがやりやすいところもあります。
オンライン会議といえど、本質的なところは対面の会議と何ら変わりません。ですがその特有の空気感は今後も課題となっていくでしょう。
一流のビジネスマンたるもの、どんな状況・会議でもこなしていけるように対応していきましょう。
今回の実践ポイント
- 新しい環境に慣れる=今の環境を最大限活かすことを考える
- 会議のメインテーマをはっきりさせ、結論をイメージしやすいようにする
- オンラインでは対面以上にファシリテーションスキルが必要になる
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