ワクチン安全性議論に終止符?接種済みの世界的エンジニアが危険派を論破

 

この手のことになると、私は勉強しなければ気が済まない理科系人間なので、3つのワクチンの違いについて、簡単にまとめておきます。

ファイザーとモデルナのワクチンは、mRNAワクチンと呼ばれ、抗原となる新型コロナウィルスの持つ突起(スパイク)のタンパク質を作るインストラクションであるmRNA(message RNA)を直接体に投与することにより、体の中にタンパク質を作り、それを異物としてみなした体に免疫反応を起こさせるというものです。

生物は、必要なタンパク質を作る際には、自分のDNAの情報を元に作りますが、DNAに書かれた情報を読み出す際には、一度mRNAの形に転写した後で、行います。

コンピュータは、ディスクに格納されたアプリケーションをメモリに読み込んでから実行しますが、それと似ています。

コンピュータの場合は、情報を0と1の2進数として扱いますが、DNAの場合は、A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グ.アニン)の4進数として扱うのが特徴です。

またDNAの場合には、Aを反転させたものがT、Cを反転させたものがGという決まりがあり、一つの情報に対して、反転させたものをペアとして持つことにより、情報を安定化させています。

しかし、タンパク質生成の際に必要なmRNAは片側だけなので、不安定で、すぐに壊れてしまいます。

上の説明を図にすると、こんな感じになります(DNAからmRNAに転写される際にはTがUになりますが、情報としては同義です)。

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mRNAは常温だとすぐに壊れてしまうため、冷凍保存しておく必要があります。また、体の中に入って指定されたタンパク質を作らせると、すぐに壊れてしまうため、長期的な影響はありません。それもあって、ワクチンの摂取は2回必要です。

mRNAワクチンを危険視する人は、体の中に入ったmRNAがその人のDNAそのものを変えてしまう、と不安を煽っていますが、そんな心配はありません。

ウィルスの中には、自分の遺伝子を宿主のDNAに潜り込ませてしまう種類のウィルス(レトロウィルス)も存在しますが、それらのウィルスは、RNAをDNAに転写する際に必要な特殊な酵素を持っているからそんなことが出来るのです。

J&Jのワクチンは、ウィルスベクター型のワクチンで、無害(もしくは弱毒性の)ウィルス(J&Jのワクチンの場合には、アデノウイルス26型)に、新型コロナウィルスのスパイクタンパクのDNAを遺伝子操作により組み込んだ上で、人間をそのウィルスに感染させてスパイクタンパクを作るようにして、免疫反応で抗体を作らせるものです。

ベクターウィルス型のワクチンは、mRNA形のワクチンと比べて安定しているので、冷凍保存は不要だし、摂取も1回で十分です。

有効性に関しては、ファイザー製のものが95%、モデルナ製のものが94%、J&J製のものが66%というデータが公開されています。

参考までに書いておくと、英国で大規模な投与がされているアストラゼネカ製のものは、J&J製のものと同じ、アデノウィルスを使ったベクター型のワクチンです。投与後に、ごくまれに血栓が出来るという情報もあり、米国ではまだ認可されていません。

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