4月から新社会人となって「与えられた仕事が思っていたものと違った」「仕事が面白くない」と感じている人の中には、「辞めたい」と思い始めた人もいるのではないでしょうか。しかし、希望した会社の希望した職種に就けたとしても、最初から面白いと感じることはごく稀なこと。その理由を明らかにするのは、メルマガ『岡崎かつひろの『好きを仕事にするための本当の考え方』』著者で作家・起業家の岡崎かつひろさん。社会人としてスタートしたコールセンターのクレーム対応経験を例に、どんな仕事でも面白さを感じるにはある程度の時間が必要と伝えています。
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今回は、「仕事」と「好きなことをやる」の関係性について、このメルマガで一緒に考えてみましょう。
はじめに1つご紹介させてください。大阪にあるブックランドという書店の方から、とても素敵なメッセージをいただきました。ブックランドは、本好きな人に有名な書店で、全国からその本屋で買いたいとお客さんが集まってくるほどです。
どんな内容だったかというと、「岡崎さんの本は、世の中の真実を伝えています。最近、好きなことで仕事をしようというメッセージに踊らさせれてしまって、安易に仕事をやめて、結局使い物にならず、次の仕事に就けないという人がとても多いです。岡崎さんの書籍は、好きなことで起業したいと考えている若者に読んでほしい内容です」。
まさにこのメッセージでいただいた通りで、みんな「好きなことを仕事にする=楽して稼げる」みたいに勘違いしている人も多いです。
1.希望の会社、部署に配属されても「仕事が面白くない」そのワケは?
主に学生の方ですが、会社名やその仕事の内容にひかれて入社する人はとても多いです。僕は新卒でソフトバンクに入社しましたが、やったことはクレームへの電話対応です。「ソフトバンク=携帯」と思うかもしれませんが、実際には仕事の内容は多岐にわたります。
たとえば、携帯を販売する人がいる一方で、携帯電話の使い方をサポートする人もいれば、アプリケーションを開発する人、それに関わる人事とかをしている人もいます。もしくはB to Cの会社対個人への営業だけではなく、B to Bの会社対会社の法人営業をしなければいけない人もいます。
だから好きなことを仕事にしたいと思っても、おそらくは自分がイメージしているような仕事というのはあんまりないです。そうすると、そんなに好きじゃないけどとりあえずまずは仕事しようと入った場合でも、逆にその仕事にすごく興味があって入った場合でも、大概その仕事はつまらないんです。
2.一番の原因は「仕事自体が十分にできていないこと」
仕事がつまらない一番の原因は何かと考えてみると、おそらくそれは仕事がまだ十分にできないことです。できないことをやることほどつまらないことはないでしょう。例えばもちろんできないことをできるようにするよろこびはあります。だから全部が全部とは言わないけど、ある程度基礎が出来上がってないことには、多分できなさすぎてつまらないんですよ。
僕の時も本当につまらなかったですよ。僕社会人1年目の時はコールセンターだったんですよ。まず電話を取るところから始まります。僕、今思えば本当に愚かだなと思うんですけど、コールセンターに就職をしたのだから電話をとって当たり前じゃないですか。でも、心の中では「電話を取るために会社に入ったんじゃないんだけど……」と、わけのわからないことを思ってたんですよ(笑)。
「お前が選んだのはコールセンターだろう」と、今の自分なら突っ込みます(笑)。会社としてはソフトバンクなんですけど、僕が受けた時はソフトバンクのコールセンターの社員募集だったんですよ。例えば事務職募集とか営業職募集っていうのがありますよね。そんな感じでコールセンターの社員を募集してたのです。
3.「毎日電話を取るためだけにこの会社に入ったわけじゃない」
当時、僕はとにかく人に会いたくないと思ってたんですよ。そのため、人に会わなくて1人でできる仕事がいいと心から思っていたので、希望通りの所に入ったんですよ。希望通りのところに入れたし、人と直接会うことはないけれど、電話の向こうに相手がいるわけですね。こんな状況なのに「俺は電話を取るためにここに入社したわけじゃない」と言ったら、「じゃあ、お前は何がしたかったんだよ!」とツッコミたくなりますよね。
ようは、コールセンターの仕事をやってみたものの思った以上に面白くなかったんです。ただ、最初こそ面白くなかったものの、だんだんコツを掴んでいくと面白くなってくるんです。
ちなにみ、僕が入社した時期はどんな時期かと言うと、入社直前に470万人分の顧客情報流出事件を起こした時だったんですよ。当時は世界最大規模の大事件でした。それもあって、世間からは「ソフトバンクは絶対に潰れる」と言われた時期なんです。その直にコールセンターに入ったので、ご想像の通り、電話を取った瞬間から「ふざけんなお前!」と怒鳴られるんですよ。
その時「すみません。僕はその事件があったときはまだ社員ではありませんでした」と言いたくなるんですけど、そうもいかないですよね。そんなことはお客様には関係ないから、ちゃんと受けなきゃいけない。それで謝罪をするんですけど、だんだんコツを掴んでくるんですよ。
4.長引くクレーム電話はかけ直して主導権を握る!
ここでのポイントは、まずは相手の話を傾聴することです。人間、怒りのボルテージが上がっても持って3分ぐらいなんですよね。ちゃんと聞いていたら、ですよ。変に火に油を注ぐような発言をしたらダメですよ。「すみません」と言いながら聞いていると、だんだん相手の態度が変わってくるのがわかるんですよ。
たまに怒りのエネルギーがめちゃくちゃ強くてずっと怒り続ける人もいますけど、そうすると途中で「お客様。本当に申し訳ございません。もっとお話を聞いていたいのですが、どうしてもトイレに行きたくて。一度、トイレにいかせてくれませんか」と言うんです。「お客様の話をこのままちゃんと聞きたいんですけど、どうしても今トイレに行かないといけないので。すいませんがこちらからかけなおさせてください」と言うんです。
クレーム対応の電話で面白いのは、電話をかけた方に主導権があるんですよ。そうすると相手が電話をしてきたときは、相手が主導権を持っているからどんどん話すんですよ。これを途中で逆にするわけです。たとえば、僕がトイレに行くのもそうです。「ここでお客様をこのまま終わってお待たせするのは申し訳ないので、一旦切って僕の方からもう一度お電話させていただけますでしょうか。どんなに長くても5分以内にはお電話しますので、ちょっとお時間いただけますか」と言って、いったん電話を切ります。そして折り返すんですよ。
5分経って折り返すと、相手の態度が結構変わっていたりするんですよ。その5分間の間で「ちょっと言い過ぎたかな」とかいろいろ考えるんでしょうね。そんなことを工夫したりしていると、だんだん電話対応が楽しくなってくるんですよ。そうすれば怒りの矛先を収めてくれるんだ、というのがわかるんですね。(メルマガより一部抜粋)
※このメルマガは4月6日、clubhouseでの公開取材をもとに作成しました
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