国産ワクチン誕生せず。日本が科学・医学の基礎力を喪失したワケ

 

日本では、現在は高齢者に優先的に接種をしているが、流行を抑えるという意味では、あまり外出しない高齢者より、働き盛りで、リモート勤務が難しい壮年に接種した方が、はるかに有効である。6か月くらいしか効果が続かないワクチンを五月雨式に打っても、しばらくすればワクチンの効果が切れて再感染して元の木阿弥になる、といったことを書いたり話したりしていたところ、住んでいる八王子市から、ワクチン接種クーポン券なるものが送られてきた。65歳以上の対象者16万人に対して2000人分のワクチンが用意してあるので、4月1日午前9時から先着順で、電話やインターネットで予約を受けつけるとのことだった。

私の接種の権利を、若い人に譲ることができるのならば、そうしたいところだが、どうもそういう制度はなさそうだ。いくら私が主張したところでシステムが変わることはあり得ないので、それならば、予約してみようかという事で、私は電話で、女房はインターネットで試みたが、一向に繋がる気配はない。開始後10分ほどして、予約は終了しました、というメッセージが出て、予約はとれなかった。女房は時間の無駄だったと怒っていたが、もう少し効率的な方法はとれないものかしらね。

4月の終わりになって、市から「新型コロナウイルスワクチン接種予約の再開」というハガキが来て、5月の5日午前9時から予約を再開するという。今度は5・6月分で27万回分あるというので、試してみたら、案外すんなりと予約が取れた。

八王子市で用意してあるワクチンはファイザー社のもので、今のところ、モデルナ社のものと並んで、最も予防効果が高いようだ、アストラゼネカやジョンソン&ジョンソンのワクチンは血栓ができることがあるらしく、さらには変異株に対して予防効果が低いようだ。この2社のワクチンはmRNAワクチンではなく、弱毒化したアデノウイルスに、新型コロナウイルスの遺伝子を組み込んで、細胞に感染させるタイプで、今のところ性能はmRNAワクチンに及ばない。尤も、mRNAワクチンとても、新たな変異株が出て来たら効かなくなる恐れなしとしない。

ウイルスの変異は偶然なので、存在するウイルスの数が多ければ多いほど、いろいろなタイプの変異ウイルスが出現しやすくなり、その中に既存のタイプのウイルスより感染力が強いウイルスがあると、そのウイルスはいっきに拡がることになる。感染者が少なければ、ウイルスの総数も少ないので、感染力が強い変異が出現する確率も低い。変異しやすいタイプのウイルスによる感染症が、ひとたびパンデミックになると、なかなか終息しない理由はここにある。(メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋)

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