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コロナ禍で好調だった白物家電。何が売れ、何が売れなかったのか

コロナ禍で生活が一変したことを表すかのように、エアコンや冷蔵庫、調理家電などいわゆる白物家電の出荷額が24年ぶりの高水準と伝えられました。その中でも売れたもの、売れなかったものを見ていくと、「巣ごもり」の影響の大きさが見て取れます。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、ヒットした一工夫ある調理家電を例に、生活の変化を先取りする仮説の立て方を伝え、マーケティング活動のヒントを提示しています。

家電の売れ筋商品に学ぶ仮説の立て方

日本電機工業会(JEMA)が、2020年度の白物家電の国内出荷額が、昨年に比べて6.5%増、2兆6141億円だったと発表しました。この出荷額は1996年度以来、24年ぶりの高水準だったとのことです。

やはり、コロナ禍で、家の中にいる時間が増えてくると、家の中の不具合が見つかったり、この時期に家の中の整理整頓をしよう、などという心理状態になります。こういった状況の中で、家の中で使う家電品の買い替えが増ました。

10万円の特別給付金があったこともあり、製品の種類別で見てみると、ルームエアコンや、乾燥機付きのドラム式洗濯機などの、高価格帯の大型家電がよく売れたことと、巣ごもり需要もあったので、ホットプレートやトースターなどの調理家電、また、空気乾燥機などの室内を整備する家電も大きく伸びました。

こういったカテゴリーの製品を扱う家電量販店も好調でした。長崎新聞によると、テレビ通販のジャパネットたかたも、2020年12月期連結決算の売上高が前期比約16%増の2405億円で過去最高で、やはり、大型家電をはじめとする白物家電が好調でした。

一方で、緊急事態宣言やまん防などで外出機会が減ったために、使われなくなって、出荷が減った家電品もあります。電気シェーバーは13.1%減、アイロンは10.6%減となったそうです。一方で、ヘアドライヤーについては、家庭向けでは高価格帯などが好調だったそうですが、ホテルなどでの需要が減り、企業向けが落ち込んだため、6.7%減だったとのことです。このように、ひとくちに家電品といっても、種類によって明暗を分けました。

さまざまなニュースを分析してみると、売れ筋の家電品は、ざっくり分けて、付加価値がついた高額なものと、工夫されている便利なもの、が目立ちます。たとえば、調理家電のトースターに関しては、出荷量も増えて昨対比で16%となっているなかで、出荷額は19%増となっているので、一個当たりの単価は高いものが売れていると推測されます。

日本経済新聞によると、この高級トースターブームに火をつけたのが、バルミューダの「ザ・トースター」とのこと。一台2万円以上するそうですが、おいしく焼けると評判です。バルミューダが高級トースター市場を拡大させたことを受けて、対抗してパナソニックも、美味しく焼ける上に、フランスパンやクロワッサン、惣菜パンなど、さまざまなパンを手軽に焼ける、オートメニューがついた2万円以上の機種を出しました。毎日食べるトーストなので、少しくらい高くてもいいものが欲しい、という人が増えているのでしょう。

工夫された商品という中では、アイリスオーヤマの2面で焼けるホットプレートが話題になりました。片方で、たこ焼き、もう一方で焼きそばといった具合に、違うものが調理できるのがミソです。また、それぞれの面の温度調節もできるので、片方で作りながら、もう片方で温める、といったことができるのです。

さらに、真ん中で折り畳めるので、収納も便利ですよね。これだと、ファミリー層だけではなく、高齢の夫婦の方や、シングルの人にも需要が見込めます。

マーケティング活動では、人々の生活のスタイルが変わると、買うものも変わるという変化を、いち早く捕らえることが重要です。そうはいうものの、「変化と言われても、そう簡単には見つからないよ」「変化があったとしても、何を見つければいいのか分からない」という声もよく聞きます。

そんな時は、もしあなたのビジネスの周りの変化をみつけたら、「あともう少し環境が変わったら、お客様はこう動くな。そうしたら、次にこうするだろうな」と、数珠繋ぎで推測してみましょう。こういった、推測して仮の結論を出すことを「仮説」と呼びます。お客様ニーズを発見するには、このように、連想ゲームのようなイメージで、考えていけばいいのです。

たとえば、このコロナ禍での消費者の生活行動の変化に関しては、「外出できない、なので家にいる、そうすると毎日の生活で家にいる時間が多くなる、そうなると、自分で料理を作るだろう、となると、美味しく作れる機能を足して、新製品を開発しよう」といった具合です。

今回の家電製品の売れ筋をみていると、生活の変化を先取りして予想した付加価値をつけた商品が、ヒットしているように感じました。

image by: Shutterstock.com

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ビジネス・仕事に大事なのは、情報のキモに「気づき」どう仕事に「活かす」かです。トレンドやヒット商品には共通する「仕掛け」と「思考の枠組み」があります。このメルマガでは、AI、5G、シェアリングなどのニュースや事例をもとに、私の経験とMBAのフレームワークを使い「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説していきます。現状を打破したい企画マン・営業マン、経営者の方が、カタくなっている頭をほぐし情報を気づきに変えるトレーニングに使える内容です。

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