歴史は必ず繰り返す。中国が「ナチス」と同じ道を辿るしかない理由

 

リアリズムから見る中国の未来

「バランスオブパワーを破壊する存在」が登場すると、どうなるのでしょうか?これは、「バランスオブパワーを回復する動き」がでてきます。「バランスオブパワーを破壊する国」は強すぎるので、他の国は単独で戦うことができない。それで、仲間を募り「同盟」を組むことで、「バランスオブパワー」を回復させようとします。

たとえば、ナポレオンの時代。イギリス、プロイセン、オーストリア、ロシア、スウェーデンなどは、なんと7回も「対仏大同盟」を作って対抗したのです。「7回作った」ということは、「6回同盟を破壊された」ということでしょうか。実際は、5回破壊され、6回目に勝利した。しかし、ナポレオンが幽閉先から脱出して再び政権についた。それで7回目がつくられ、最終的にナポレオンを粉砕したのです。

ドイツ帝国とナチスドイツの場合はどうでしょうか?2回とも、イギリス、アメリカ、ロシア(あるいはソ連)が同盟を組むことによって、ドイツを倒しました。

ソ連の場合は?アメリカは、かつての敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)を味方につけ、「ソ連包囲網」を築きました。それでも、60年代になるとソ連の方が優勢になってきた。そこで、70年代の初め、中国を自陣営に引き込んだ。アメリカは、日本、イギリス、フランス、西ドイツ、中国などを味方につけ、ソ連を崩壊に追い込んでいったのです。

こうやって歴史をふりかえると、中国の未来が見えてきます。つまり、

  1. 強力な反中国同盟がつくられる
    現在、アメリカは、クアッド(アメリカ、日本、インド、オーストラリア)にイギリス、フランス、ドイツ、アセアンを加えた、「対中大同盟」を作ろうとしています。これも、過去と同じ動きです。
  2. 中国共産党の一党独裁政権が倒れる
  3. アジアのバランスオブパワーが回復される

他の「バランスオブパワーを破壊した国々」の例を見ると「力を弱めるために、領土を減らされる」可能性もあります。たとえば、ソ連は崩壊し、15の独立国に分裂しました。中国も、台湾はもちろん、広さ中国1の新疆ウイグル自治区、広さ中国2のチベット自治区、広さ中国3の内モンゴル自治区を「分離独立させて、弱体化させよう」となるかもしれない(しかし、ドイツ帝国崩壊後にヒトラーが出たように、中国にもヒトラーのような男が登場し、「台湾、新疆ウイグル、チベット、内モンゴルは、中国のものだ!」と叫んで、再び戦い始めるという懸念もあります)。

なにはともあれ、歴史を振り返ると、中国の未来が見えてきます。

私のたった一つの懸念は、日本国のことです。日本には、二階派、竹下派など、「親中派」も多い。お金ファーストで、大局的に物事を見れない社長さんも多い。私たちは、日本が、ウイグル人をジェノサイドしている中国につかないよう、働きかけていきましょう。それが日本の国益です。

image by: Naresh777 / Shutterstock.com

北野幸伯この著者の記事一覧

日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。まぐまぐ殿堂入り!まぐまぐ大賞2015年・総合大賞一位の実力!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ロシア政治経済ジャーナル 』

【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

print
いま読まれてます

  • 歴史は必ず繰り返す。中国が「ナチス」と同じ道を辿るしかない理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け