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「友達のような家族に」と全員を“平等”に育てた一家の悲惨な末路

昔の子育ては「長男至上主義」のため長男は大事にされて、両親の言うことは「絶対」でした。しかし、近年は「平等」を重んじる子育てをしたがために、子どもたちに大きな問題が起きているそうです。無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』著者のパピーいしがみさんは、兄弟を「平等に」と育てた結果、家族が全員つらい思いをすることになってしまったお母さんからの相談に応えています。

長男至上主義

こんばんは。パピーいしがみです。

テーマは「長男至上主義」としましたが、今はそんな事ないよな~って思いますよね。その通り。今はほとんどこの形は無くなりました。これって時代劇で見るぐらいで「今どき…」とは思いますが、森昌子さん(ONE OK ROCKのボーカルTakaさんのお母さん)は、兄弟同士でも年上の兄には敬語を使わせていた…と話題になりました。結構なスパルタだった…と本人もおっしゃっていました。

でも、このような育て方って以前はいたって普通で、長男には家業を継がせたり、財産を長男一人に相続させたり、又、親は言葉は絶対で、本人の意思とは関係なく家柄で結婚相手を選んだりしていました。長男がとても大事にされて、長男ばっかり優遇された。これは昭和の中期でも残っていたと思います。

ですが、そんな経験をした子供達が大人になって長男至上主義はおかしい。それより「小さい子に思いやりを持つべき」という考え方が主流になって、上のお子さんに「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」とか「お姉ちゃんだから下の子に譲ってあげなさい」と育てられるようになりました。

そう。「長男至上主義」の次は、お兄ちゃん・お姉ちゃんに厳しい子育てに変わったのです。以前とは真逆で、「小さい子に優しく」と兄弟姉妹でも下の子を中心に子育てをする形になりました。

そうしたら次々に問題が起きるようになりました。まず上のお子さんへの不満が鬱積して、長男・長女さんの「いじけ」が目立ったり、「なんで私ばっかり怒られるの?」と不公平さに不満を持つ子が増えました。

又、問題は上の子だけにとどまらず、常に優遇されてきた下の子が「自分は何をやっても許される」と勘違いして、どこまでも理不尽な要求をしたり、我慢ができず、非常にワガママで自分の思い通りにしたがるような子になってしまったりしたんですね。

「長男至上主義」が第一段階とすると「下の子優先型」が第二段階。そして今、「下の子優先型」で育てられた方々が親になり第三段階に入りつつあるようです。それは、徹底して「平等に扱う」というお考えです。形としては「みんな平等型」とでもいうのでしょうか?特に若いお父さん、お母さんの多くがこの「みんな平等型」になりつつあって、お父さん・お母さんへの呼び名も、名前(下の名前を)を呼び捨てさせている方もおられます。親も名前で呼ばせるケースは、割合としては少ないとは思いますが、みんな同列になってしまうと、家での秩序がなくなり、家庭内がバラバラになってしまいます。

どうやら今は「下の子優先型」と「みんな平等型」が混在しているケースが多いようで「この先どうなるんだろう?」と、とても心配になります。

もちろん私は「長男至上主義」が良いとは言いません。ですからこの「長男至上主義」がなくなってきたことは、とても喜ばしいと思っています。が、年長者を敬ったり、先人や先輩への礼儀などは間違いなく必要です。それは人と摩擦を起こさず、周りからも好かれ、先輩や先人からも助けてもらえる、とても貴重な資質だからです。

先日、ある小学校の先生と話す機会がありました。その先生は20年以上のベテランの方ですが「今の子供たちには今までにない問題が起きてきている」と言うのです。それは相手を敬う事の意味すらわらかない子いて、そのような子は指導のしようがない(全くお手上げだ)と。

年上を敬う事ができる子は、上級生の言葉も、先生の言葉も受け止める事ができる(だから間違っていたら教えてもらえる)。でも敬う事ができない子は、誰の話も全く聞こうとしないので話にならない。それは家庭内で親子の関係ができていない子にとても多いとの事。

きちんと親子の関係(秩序)ができている家庭は、教えればわかってくれる。が、親子の関係ができていない家庭で育った子は、そもそも聞く姿勢がないので、問題児の烙印を押されるだけで、そのうち生徒間でも敬遠されてしまう…と。「この仕事をしていると、家庭って重要だとつくづく思い知らされる」と言われていました。

それを聞いて私は、以前からの心配が現実になっている事に「やっぱりそうか…」と暗い気持ちになったのでした。

秩序って、子供たちの小さい時からの環境がとても大事で、育っていく過程で学んでいくものです。でも、それが全くない家庭で育てば(先生が言われるように)「意味すら分からない」となってしまうし、先生も「分からないならどうしようもない」と諦めざるを得なくなってしまうのです。

ですから「秩序は大事ですよ」「下の子をかばい過ぎてはいけませんよ」「将来を見すえて育ててくださいね」とお話をするのですが、どうやら時代は「平等」を重視し、「秩序」を軽んじてしまう、そんな流れになっているようです。でも逆に言うと、そんな人が増えているからこそ、そこで「相手を敬い、礼儀を知っている子」が賞賛され、可愛がられ、重宝されるとも言えるのですね。

今回のこのメルマガを作るにあたり、以前ご相談を頂いたモアさんに連絡してみました。実はモアさん、お父さん・お母さん・お兄ちゃん、などの敬称を使わず、家の中ではそれぞれの「名前」で呼ぶようにしておられました。特に兄弟間での「平等」に気を使い、同じ兄弟なんだから…という思いが強かったそうです。

2人が喧嘩をすると「小さい子の方が不利だから」と弟をかばったり、上の子に「まだ分からないんだよ」とか「手加減してあげて」と言っておられたんですね。他にも、(まだ小さいから)との理由で、下のお子さんには何かと優遇してしまうこともあり、当時頂いたご相談は「下の子がワガママで困る。上の子も文句ばかり言っていて、私(お母さん)に対して、蹴ったりパンチしたり、『〇〇しろ!』や『お前のせいだろが!』のような言葉を使ってくる」という内容でした。この時、下の子は3歳、上の子は5歳です。

でも、これって秩序を失った家庭でよくあるケースで、私はこんな風にお返事していました。

モアさん、こんにちは。メール拝見しました。

3歳の息子さんのワガママ、そして5歳のお子さんの暴言がひどく、暴力もあるみたいですね。

でもどうやらそこには、モアさんのご家庭の「平等にしたい」という思いが影響しているのでは?と私には感じましたがどうでしょう?

例えば、今、お父さん、お母さん、という呼び名ではなく、ご夫婦はお名前で呼び合い、子供たちも両親の事を名前で呼び捨てする…とありました。又「お兄ちゃん・お姉ちゃんと言われたのが嫌だったので使わない事に決めている」とも書かれていましたね。

これってモアさんのご夫婦が「我が家はこんな風に育てよう」と思っての事かもしれませんが、実は組織にとってはとても良くない環境なのです。

「組織」っていうと「そんな大げさな…」と思うかもしれませんが、家庭も立派な組織で、リーダーがいて、サブリーダーがいる。そして上から順番に責任と発言権が異なる存在がいて、一番上の人は、発言権も大きいが責任も重い。一番下の人は、発言権は小さいが責任もなく、まだ上の人に教えてもらいながら成長する形でいいのです。

でも、今、冷静に見てどうですか?一番責任の無い、下のお子さんの発言権がとても大きい(言いたい放題)状態ですよね。又、同じく責任の小さな長男さんも、不満をお母さんにぶつけ、手も出ている状態です。これって…組織として成り立っていないってことなのです。

会社も同じです。社長がいても、その方針に従わない部下が多ければ、その会社って簡単に崩壊します(理屈は分かると思います)。それと同じで、組織として成り立っていない家庭は、簡単に崩壊するのです。

頂いた内容に「平等にする為に“兄”とか“弟”の呼び方もしない」と書かれていましたが、「お兄ちゃん・お姉ちゃんと言われたのが嫌だった」のはとても分かります。

でも嫌だったのは「お兄ちゃんだから我慢しなさい」や、「お姉ちゃんだから譲ってあげなさい」などの、親から言われた“理不尽な〇〇しなさい”だったと思うのです。そうやって自分は我慢をさせられるのに、弟や妹は優遇される。そこに不満があったのだと思うのです。

でも結局、今の状態は、下の子が求めると「まだ小さいんだから」とか「言っても分からないから」と与えておられるのですよね。そうすると、下の子はどこまでも自分の要求を続け「ワガママな子」になっていくし、上の子はどんどん不満を積み重ね「いじけ」も出てくるし、その不満が暴力や暴言にもなっていくのです。

だったら「兄」「弟」とその立場をはっきりさせて、お兄ちゃんが下の子の面倒を見たり、下の子が間違ったことをした時には、お兄ちゃんが教える事ができる環境を作っていった方が、下の子も学べるし、上の子にも「僕がちゃんとしなきゃ」という気持ちが生まれると思うのですが、どうでしょうか?

でも、そうする為に絶対に必要になるのが「秩序」なんです。子供がそれぞれの「立場を理解している」事が大前提なんです。でも、今、モアさんのご家庭の秩序は…どうでしょう?

親には「教える責任」がありますし、子供たちが自分を正そうとする為には、間違っている自分を認める姿勢が必要です。その為には、親の立場と子の立場が明確になっている必要がありますし、兄と弟の関係も明確にしておく必要があるのです。そしてその間柄で学ぶ事こそが今後、子供たちが実際の組織(学校や会社、それを含めた大きな社会)を経験するときに生きてくるのです。

今回、下のお子さんのワガママ。上のお子さんの「暴言・暴力」についてご相談を頂きましたが、これって今だけの問題ではありません。私がまず直さなければならないと思うのは「家庭内の秩序」です。家庭内の秩序がない限り問題は増え続けます。ですから、まずはきちんと叱れる親の立場を明確にしてほしいです。

その為には、家族中で下の名前で呼び合うのは止めて、「お父さん・お母さん」でも「パパ・ママ」でも結構ですから、親として認識しやすい呼び方に変え、子供が親に対して間違った言葉を使ったり、親への暴力があったらきちんと叱るようにしてほしいのですね。

それと一緒に、兄弟でも「兄・弟」の違いを明確にして、ケンカをしている時に上の子を一方的に叱ったり、弟のワガママを(まだ小さいからと)許すのではなく、きちんとケンカもさせて「兄が強くて、弟がかなわない」という経験をさせ、小さい子供であっても特別扱いはしないでほしいのです。

ただ…、修正をなさることで、しばらくは次男さんが荒れると思います。でもそれは当然なんですね。今まで多くの事が許されてきたのに、これからは我慢することが増えるのですから。

でもここで親が折れてしまうと、又、振出しに戻ってしまいます。ですから、本当に覚悟を持って取り組む必要がありますし、継続は絶対に必要。そこはご認識頂きたいです。そして「環境」のことなので、遅くなればなるほど、変えるのが難しくなりますし、先延ばしにすればするほど、問題は大きくなっていくと思います。

「小さい子への思いやり」や「やさしさ」を教える事はとても良いと思います。将来的にはそんな気持ちも持っていてほしいです。でも教えるタイミングは「今じゃない」んですね。「思いやり」や「やさしさ」を教える前にしっかり身につけなけれならないのが「秩序」で、それは幼少期の家庭でしか身に着けられないのです。秩序については過去のメルマガでも記載しています。是非、ご参考にして頂いて、早めに修正して頂きたいな…と思いますがいかがでしょうか?

こんな風にメールをしたのが、1年ちょっと前。今、長男さんは小学校1年生になり、次男さんは年中さんになりました。

そして「その後どうですか?」とお伺いし、頂いたお返事はこうでした。

パピーさん、ご連絡をありがとうございます。

突然メールを頂いたので、驚きましたが、忘れないで気にかけてくださっていたんだ…と嬉しかったです。

相談に対してパピーさんからお返事に、家庭内の秩序をしっかりすることが書かれていて、実は「やっぱりか…」と半分予想をしていた通りでした。と言いますのも、私の親にも「きちんと子育てしなさい!」「そもそもみんなで名前を呼び捨てにしてるなんて、そんな家はない!」って言われた事があったからです。ですが、夫も私も「お兄ちゃん、お姉ちゃん」と呼ばれてすごく嫌だったし、そのおかげでこんなに卑屈な性格になった、と反発して親の言葉も無視していました。ですが、パピーさんからお返事を頂いて、その理由についても説明してもらい、改めて考えさせられました。

私たちが目指していたのは、友達のような家族でした。みんなが笑いあって、思いやりを持って、家族みんなで協力して、楽しく過ごせる毎日…。でも…結果は真逆で、子供は荒れ放題。抑えがきかず、親はおろおろして、子供の地雷を踏まないように怯えている状態でした。

そこでパピーさんの「“思いやり”や“やさしさ”を教える事はよい。でも今じゃない」が、とても響いて、あ~、大事な事をないがしろにしてしまっていたんだ…と悟りました。1週間、夫婦でじっくり話し合って呼び方を「パパ・ママ」に統一し、下の子にも「もう赤ちゃんじゃないから特別扱いはしないよ」と話をして、上の子とケンカになった時にも介入はしない。又「お兄ちゃん」という言い方も増やしていこう、と決めました。

その後、どうだったか?と言いますと、修正直後の下の子は、(パピーさんの言われた通りで)癇癪が目に見えてひどくなり、「なんでダメなんだよ!」とか「イヤだ、イヤだ、イヤだ!」と繰り返し叫び、どこでも寝っ転がってぐずる様になってしまい、それはそれは見るのも辛く、今までの自分たちの間違ったやり方のせいで、こんな子にしてしまっていたんだ、と悲しくなりましたが、今はそれも少しづつ落ち着いてきたように感じます。でも大きく変化があったのはお兄ちゃんで、今は、暴力はもちろん、暴言も吐かなくなって、素直に甘えてくれるようになっています。

今回、我が家の事を記事にしてくださる、との事で、あまりいい報告とまではいかないとは思うのですが、大事な「秩序」を教えないでいると、こんなに苦労することになるという事を是非、皆さんにお教えくださったら、と思います。

我が家はここからがスタートと思って、秩序を守りながら、それぞれの良いところ認め、褒めて、笑顔の絶えない家族にしていきたいと思います。あ、でも心配しないでください。今、悪い状態ではなく、以前よりずっと前向きですし、手ごたえも感じ、良い方向に向かっていると感じています。

モアさん、ご報告をありがとうございます。

大事な「秩序」を教えないでいると、こんなに苦労することになるという事を是非、皆さんにお教えくださったら…

と言っていただいて、ありがたく思います。次男さんは、やっぱり荒れたようですが、長男さんの雰囲気が変わったこと、本当に良かったです。そして「手ごたえを感じてる」とありましたので、きっと次男さんも徐々に落ち着いてくれると思います。

ちなみにモアさんに読んでいただいた秩序についてご紹介した過去の記事は以下になりますので、ご参考にしてくださいね。

秩序は家庭でしか作られない 
親を「おまえ」と呼ぶ子供 
子供は親に従え?

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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