多くの国民がその中止、もしくは延期を望む声を上げる中、東京五輪開催に向けひた走る菅政権。開催にさえこぎつければ日本人選手のメダル獲得により世論も変わり、結果総選挙の追い風にもなる、といった与党の思惑も漏れ伝えられてきますが、事はそう簡単に運ぶのでしょうか。今回のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』では小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さんが、五輪開催で人流が増加した場合、最悪東京の1日あたりの新型コロナ新規感染者数が1,600人を超えるというデータを紹介。10月10日の線が濃厚とされる衆院総選挙の時期に第5波が襲い来るケースも考えられるとして、与党の思惑が仇となる可能性があると警告しています。
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東京五輪開催なら総選挙のころ「第5波」がやってくる/人流増で都の感染者数は1日1,600人に
自公の党首が、国会の会期を延長しないことで合意した。会期延長をしないということは、東京都議会議員選挙と衆議院選挙の「ダブル選挙」がなくなったことを意味する。
次の解散タイミングは、オリンピック・パラリンピック終了後の9月5日以降となる。おそらく大規模経済対策を示して業界にお金をばらまく算段を付け、業界団体に選挙運動をさせるエサをぶら下げて、「解散」となることが濃厚だ。与党としては当然の作戦であり、かつての民主党政権がこうした手法を取って解散できなかったのは、稚拙だったと思う。
私は常在戦場の気構えで、コロナ禍で政治活動に制限がある中でもできることをやってきた。いよいよ本番が近くなる。
国民の50%から70%がオリンピックを中止もしくは延期を願っているが、菅政権は「中止の選択肢はない」(政府高官)と乗り切る構えである。
いまのところ、6月20日に緊急事態宣言を解除し、オリンピックに向けて準備を進める予定だ。しかし、東京の新規感染者の減少は鈍いので、再々延長も視野に入る。なぜなら、オリンピック開催時に新規感染者数が減少して「ステージ2以下」になっていれば、何とか開会式は開催できそうだからだ。開会式させ終えれば、多少増えても大会中断とはできないので開会式時にいかに新規感染者を落としているかがポイントになる。
さらに日本選手が金メダルを取れば、それなりに盛り上がり、「やって良かった」という声が出てくると菅総理は思っている。しかし、はたしてそうだろうか。
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オリンピック後には総選挙が控えている。下の記事中のグラフは、東京五輪開催時に新型コロナウイルスの感染拡大がどう進むかの試算を、東京大学大学院経済学研究科の仲田泰祐准教授らがまとめたものだ。以下、記事を引用したい。
● 五輪「人の流れ抑制が鍵」 入国選手ら、影響限定的か―東大准教授ら試算
現在の緊急事態宣言が6月中旬に解除され、ワクチン接種が1日60万回のペースで実施されると仮定したところ、都内の感染は10月中旬に再びピークを迎えるとの結果になった。10月第3週の1日当たりの新規感染者数を見ると、東京五輪を中止した場合は822人だった。
予定通り開催して選手らが入国しても、国内での人の流れの増加を完全に抑えた場合は842人にとどまった。五輪を中止した場合と大差はなく、入国者が感染者増に与える影響が限定的なことが分かった。一方、応援に出掛けるなどして人の流れが2%増加した場合、10月第3週には1,046人に増え、6%増加した場合は1,600人に達した。仲田氏は「路上やスポーツバーでの応援によって人の流れが増えることを、いかに抑制するかが非常に重要だ」と強調している。
(時事ドットコム)
橋本聖子・組織委員会会長は上記の予測を引用して「海外から選手や関係者が入国しても影響は限定的」と発言している。確かに、この調査はそう言っている。だが一方で、10月中旬にピークを迎えることも示唆している。調査結果を都合よく解釈しているとはいえないだろうか。
予想される総選挙日程は9月28日公示→10月10日投票日の可能性が高い。10月10日が先勝だからだ。オリンピックに照準を合わせることで、総選挙時には第5波が来そうだ。そうなると総選挙勝利のための五輪開催が仇になるのではないだろうか。
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image by: Sayuri Inoue / Shutterstock.com