脱炭素化経済への道のり(資源再利用)
『人新世の「資本論」』を読んだが、今の資本主義に変わる社会主義には無理があると思った。このため、資本主義変革から脱炭素化社会に向けての道筋を見つける必要がある。
ただ、参考になる考え方がいくつかあった。大量にある物には資本主義では商品価値がないが、それを使った使用価値を高めると、人には安くて有益だということ。このため、「ラディカルな潤沢さ」を意図的につくることだという。
これに該当する物は、太陽光、風などの自然エネルギーや水資源、都市部ではゴミなどもこれに該当するようだ。この有効利用が必要なのである。
今後、これらの潤沢にあるものを商品価値はないが、使用価値のある有益なものに変換させて行く社会になる。これは、江戸時代の完全循環型社会かつ植生文明の世界をどう再度構築するのかということになる。
江戸学を多数、このコラムでは検討してきた。
資源再利用も多数、このコラムで検討してきた。
そちらも見てほしいが、江戸時代は上の階層の武士たちが、豪勢な暮らしをしないで、規範を持った生き方をしていた。
その規範が論語であり、この階層がいたことで、社会全体でも豪勢な暮らしを避ける傾向があった。商人たちが豪勢な暮らしをしていると、突然、武士政権が資産没収を行うので、商人たちも見た目は質素にしていた。この規範の基礎に、わびさびの文化がある。
この社会構造を現代化できないかと思うが、第2次大戦前までは、日本の中にその伝統が残っていたが、戦後は米国風の社会になり、この伝統もなくなっている。
現在、また、この質素な社会を作る思想が必要である。質素な生活に価値があるというような価値観が必要なのだ。江戸時代までの日本が持っていた価値観の現代化はできるはずだと思っていたが、世界的な動向がやっと、日本の価値を認め始めている。大宮の盆栽村に行くと、外国人の盆栽を作る職人が多数いるようだ。
その上に、脱炭素化は、江戸時代と同じような定常化社会が必要であるが、日本はすでに、人口減少で定常化経済になっている。この状態で、資源の完全リサイクル化を行えば、新しい資源を必要としない。この点、日本は有利な状態にある。
今回は、この資源再利用の方法を考える。リユース、リペア、リサイクルの3つがあるが、車などの耐久財ではリユース、リペアは、当たり前であるが、衣料品やペットボトルなどの生活必需品でも、この動きが出てきている。
メルカリ、ブックオフや多くの中古品を扱う店ができている。Tシャツなどの服などは100円以下の値段がついていて、新品に比べて5分の1程度の値段で売っている。家電、家具なども多い。衣住の分野で増えている。
というように、中古市場が立ち上がり、リユースが定着し始めたようである。江戸時代と同じような衣料品の中古市場ができ始めていることになる。リユースには、その前にリペアが必要であり、洗濯とボタン付けを行っているという。
人口減少であり、死んだ母や父の物を持ち込む人が多いようだ。息子たちには、ゴミのような品物を買い取ってもらい、お金をもらえるので、持ち込まれるようだ。
トヨタは、KINTOというサブスクを始めたが、中古車もトヨタ本体がKINTOでサブスク化するという。ここでもリユースとリペアをトヨタ本体が行う方向である。日本の方向は省資源化・リユースに向いていることになる。
今後、消費の半分をリユース市場が占める可能性もあるとみる。
国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ