五輪後に感染者増なら衆院選は大敗。自民「アフター菅」の首相候補

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21日午後、東京五輪開催中に緊急事態宣言が出された場合には無観客とすることも辞さないとした菅首相。しかし、宣言が発出されてからの対策で果たして蔓延を防止することはできるのでしょうか。秋の衆院選を控え難しい舵取りを迫られている首相ですが、「五輪後の感染者数が激増なら過半数割れもありうる」とするのは、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。津田さんは今回、メルマガ『国際戦略コラム有料版』で、今後の国内における新型コロナ感染者数の推移を予測するとともに、菅首相退陣後を見据えた次期首相・幹事長人事についての自身の見立てを記しています。

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自民が用意しなければならない9月選挙敗北時のための次期首相候補

6月21日からの緊急事態宣言延長は沖縄のみとなった。まん延防止等重点措置は東京、大阪、兵庫、京都、愛知、福岡、北海道、神奈川、千葉、埼玉になる。

そして、ワクチン接種は、現状では1日100万回以上の接種であるが、65歳以上の高齢者でも約30%の人が接種を拒否しているようである。企業接種は1,200万人であり、3,000万人の高齢者の80%と1,200万人の企業関係者の接種が五輪前に行われるようである。

五輪前に、全人口の30%が接種した状態にはなる。海外の接種と感染者数の関係を見ると、40%以上になれば、著しく感染者数が減少するが、30%のレベルではそれほどには感染者数が低下しない。

もう1つ、英国で感染者数が増加してきて、デルタ株の感染力が大きく、ワクチンを接種しても感染していることによる。ワクチンの効果を乗り越えて、感染拡大しているようにも見える。専門家は7月上旬にもピークが来ると警鐘を鳴らしている。

その前提で、尾身会長の提言を見ると妥当な内容である。無観客や地域住民の参加しかない五輪大会にするべきというのは、理解できる。

ここは、安全サイドに進めるべきであり、無観客も覚悟していた方が良い。そして、この結果、GoToトラベル・イートの開始は、五輪後感染者数が増加すると、秋に始められないことも考えられる。

感染者数は増加するが、重症者数や死亡者数は減ると思うが、接種拒否の30%の65歳以上高齢者には重症・死亡の危険があり、広くは開始できないことになる。

飲食業界と旅行業界の復活活性化が遅れることで、倒産が増えることになる。ワクチン接種したワクチンパスポートを持つ旅行者にだけ、GoToトラベルを開始しても良いのでないかと思う。この予約時に接種の有無を確認する必要がある。この確認システムも今から構築開始する必要がある。

次の衆議院選挙は、五輪後感染者が増えるか、増えないかで結果が大きく違う。今回の選挙で、野党の候補者一本化ができると、自民党も簡単には勝てない。20議席から30議席減が普通の場合でも予想できるし、菅首相の演説にはメリハリがないので、実績で示すしかない。現時点の支持率30%では50議席以上も減少するはず。

それを踏まえ考えると、五輪後感染者数が増加すれば自民党の負け、自公で過半数は維持するとは見るが、激増なら過半数割れもありうる。この場合でも、維新の会を政権に引き入れて、政権を維持できるとは思うが、大負けになる。

逆にワクチン効果で、感染者数が大幅に減るなら、自民党が勝つ可能性が高い。この時は、菅政権は五輪開催と、コロナからの経済復活の実績で、支持率も上がり勝つようだ。

しかし、菅首相は、希望的観測がお好きで、ギャンブルもお好きなようですね。選挙に負ければ退陣になる。もしかして、首相を止めたいのかしら。

このため、9月選挙敗北時の次の首相候補を用意する必要になる。河野ワクチン担当大臣が最適であるが、選挙後でもあり、3年間であれば、岸田さんの可能性もある。

幹事長人事も面白い。二階さんの続投か、甘利さんになるか、岸田さんが首相時には甘利さんであろう。

二階さんのGoToトラベルのゴリ押しや親中的な対応は、日本の国益にとっては大きな損であるが、寝業師の駆け引きで調整能力があるので、今まで幹事長ポストを維持してきた。この調整能力は、ほかの人にはない。

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