競合NetflixやHuluに遅れをとったソニーは10年前、何をすべきだったか?巻き返しのために断行すべき改革は

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NetflixやHuluの台頭により、勢力図が激変した放送・映画業界。『鬼滅の刃』やPS5のヒットで業績好調のソニーグループですが、上記2社が牽引するストリーミングの分野では遅れを取った観は否めません。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では「Windows95を設計した日本人」として知られる米シアトル在住の世界的エンジニア・中島聡さんが、そんなソニーが10年前に始めるべきだったサービスについて考察。さらにソニーは現在でも十分巻き返し可能な素材を持っているとの見方を示す一方、同社がそのような痛みを伴う改革を断行することは難しいとしています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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私の目に止まった記事:ソニーCEO「Sony Picturesは売却する予定もスピンオフして独立した会社にするつもりもありません」

Sony Pictures Not For Sale, Says CEO Yoshida Kenichiro

「Sony Picturesは売却する予定もスピンオフして独立した会社にするつもりもありませんよ」とソニーのCEO、吉田憲一郎氏が発言した、というHolywood Reporterの記事です。

なぜこんなことが話題になっているかと言えば、その背景にはAmazonによるMGMの買収と、WarnerMediaとDiscoveryの合併があります。

放送業界・映画業界は、NetflixやHuluなどのインターネット経由のストリーミング・サービスの台頭で、大きな変化を強いられており、それがAmazonによるMGMの買収に繋がったし、Walt Disney自身によるストリーミング・サービスへの進出を促したのです。

WarnerMediaとDiscoveryの合併は、コンテンツ会社は小さいままでは生き残れず、吸収・合併により大きくなってNetflixなどと対等の交渉ができるようになるか、Walt Disneyのように(大きなリスクを負って)自分自身でストリーミングサービスをスタートするしかない、と言われているのです。

ある意味、本当の意味でのDX(Digital Transformation)が放送・映画業界に起こっているのです。日本のITゼネコンが宣伝しているような、小手先のDXとは違い、会社形態やビジネスモデルそのものが大変革を起こしているのです。

そう考えれば、「Sony Picturesも何か手を打つべき」と考えるのは当然で、そう考えるメディアからの質問への答えが、吉田憲一郎氏が発言なのです。

Sonyは10年前にストリーミング・サービスを始めるべきだったと思います。まずは、Playstation Liveと抱き合わせでプレステユーザーの8割が迷わず加入してしまうような価格で、Sony Picturesの映画の見放題サービスを提供し、そのビジネスを軸足にしてゲームのサブスクリプション・サービスや、ゲームのストリーミング・サービスに進出すれば良かったのです。

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