カインズが“斜め上”の発想で画期的なアイデアグッズを生み出せる訳

 

もう1つ面白いのが、両面計量スプーンです。1つのスプーンに表面に大さじと、その反対側の裏面に小さじがついている、というものです。1回の料理でどちらも使うことが多いのですが、うちの場合、食べるためのスプーンと、計量スプーンを同じ場所に入れてしまってあるので、そのスプーンやフォークの中から、大さじと小さじをさがしだすのが、意外と大変だったりします。なので、このように1つのスプーンで、大さじ小さじが一体になっていると、探す手間も省けるし、置く場所もすこし削減できます。

こうやって見ていると、面白いものばかりなのですが、考えてみたらゼロからの発明品、というわけではなく、今まであったもの、例えば洗濯カゴとか大さじのスプーンに、やはり今までにある何か、たとえば下につける足とか、小さじをもう1つたして、アイディアグッズにしている、ということです。新製品の多くは、ゼロからの発明ではなく、今まであるものを合体させるとできるものだったりします。これも1つの新結合ですね。

カインズでは、DIYショップの中でも、特にこのようなアイディアグッズや便利な商品が多い、というイメージがありますが、製品開発のために、いろいろな取り組みを行っています。今も、第7回目になるカインズデザイン展を開催しています。これは、メーカー28社とコラボレーションした、限定デザインの商品をメインに、オリジナル商品を、全国のカインズ226店舗と、オンラインショップに販売するイベントです。

報道資料によると、ライオンと組んだ、「ルックバスタブクレンジング」では、ミストを浴そうに吹きかけ、60秒待ってから流すだけ。浴槽をこすらずに洗える新しい方式の洗剤です。パッケージもオリジナルで、音符のマークがあしらわれています。

カインズは、イノベーションハブ、と呼ばれるカフェとワークスペースを表参道に持っていて、ここで新しいアイディアを出したりしています。

よく会社では社長や責任者が、「イノベーションを起こせ!」「新しい発想を出せ」とはっぱをかけることがありますが、担当者は「そうは言われても、どうすればいいのかわからない」となってしまうことが大半です。

新しい事業は、会社として取り組んで、失敗と成功を重ねて初めてうまくいくものですが、カインズは、デザイン展といい、イノベーションハブといい、様々な取り組みを会社として、一丸になってやっています。こうなると、キッチングッズや生活雑貨で、何か買うならカインズだよね、と、お客様から選ばれるようになります。

普段から、このような差別化が上手なカインズのような、企業文化こそが独自性を生み出し、ひいては、価格競争、値引き合戦からの、脱却になるのです。

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image by: Mr.W, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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