五輪なら何をやってもOKなのか。根拠なきIOC「30秒ルール」のトンデモ

 

それにしても、この「五輪だから何をやっても許される」というJOCや政府の姿勢は、一体、何なのでしょうか?たとえば、お酒です。あたしたち国民には「2人以上で飲みに行くな」「夜8時以降は飲むな」と言い、外食店には「酒類は提供するな」と言い、守らない場合は金融機関や国税庁まで使って圧力を掛けると脅しておきながら、五輪の選手村はお酒の持ち込みが自由だと言うのです。

そして、四方八方から批判が噴出すると、組織委員会は「選手村では1人飲みしか認めない」などと抜かしたのです。同じチームの選手4~5人が1部屋なのに、その4~5人がそれぞれお酒を買って来て、同じ部屋の同じテーブルで「1人飲み」って、組織委員会ってアホですか?

他にも、あたしたちが海外から帰国した場合、必ず14日間はホテルの部屋などに隔離され、一歩たりとも外へ出ることは許されません。しかし、海外から来日した五輪関係者なら、14日間の隔離期間中でも、近くのコンビニへ行くなどの「15分程度の外出」ならOKだと言うのです。

そして、これは、JOCのスタッフなどが監視しているわけでなく、外出した本人が自分で外出簿に戻った時間を書き込むという自己申告制なので、いくらでもゴマカシが効くのです。事実、2時間以上も外出したのに、外出簿には嘘の時間が書き込まれていたケースも報告されています。さすがに、この「15分程度の外出」は見直されましたが、こんな特例を許したら、隔離の意味がなくなってしまいます。

そもそも、どうして14日間もの隔離期間を設けているのかと言うと、皆さんご存知の通り、新型コロナの潜伏期間が最長で14日間だからです。来日時の検査の結果が陰性でも、すでに感染していて、発症していないだけというケースも多々あります。そのため、誰1人として特例など認めず、きちんと14日間隔離して、それでも発症せず、再度の検査も陰性であれば、ここで初めて「非感染者」と認められるのです。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…と五七五の俳句調で嘆いてしまいますが、五輪担当大臣の丸川珠代は、こともあろうに、五輪選手に限っては濃厚接触者であっても「試合直前のPCR検査で陰性が確認されれば出場を認める」と言い出したのです。

ここまでは、とにかく「開催ありき」で、針の穴にラクダを通すようなトンデモ方針を次から次へと繰り返して来た菅政権でしたが、さすがに濃厚接触者をそのまま出場させるわけには行きません。そこで当初は、濃厚接触者は「6日間の出場不可」という基準を設ける予定でした。これにしたって、本来は「14日間の隔離」ですから、相当ユルユルで危険な緩和策でした。

しかし、開会式前の22日に、日本代表の男子サッカーチームと対戦することになっていた南アフリカのチームから、2人の感染者と18人の濃厚接触者が出てしまったのです。このまま「6日間の出場不可」にすると、試合に間に合いません。そこで菅政権と組織委員会は、急遽「試合直前のPCR検査で陰性が確認されれば出場を認める」という支離滅裂なトンデモ方針を打ち出し、「三面怪人ダダ」こと丸川珠代に発表させたのです。

濃厚接触者を試合に出場させるという「安全安心」とは真逆のトンデモ方針ですから、当初は批判の嵐が巻き起こると思われました。しかし、風は菅政権に吹いていたのです。時を同じくして「小山田圭吾まつり」が開催されたため、世の中の耳目はすべてこちらに向いてしまったのです。そして、この人命を無視したトンデモ方針は、忘れ去られてしまったのです。

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