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コロナ禍の五輪開催は吉か凶か。衆院選で国民が菅政権に下す「三行半」

秋までに行われる衆院選を前に、活動を活発化させる各政党。コロナ対策の失敗もあって自民党の苦戦も予想されていますが、識者はどのような見立てをつけるのでしょうか。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』では著者でジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、解散総選挙とそこまでの政局を読み解く端緒として、3つの特徴からなるという現状の分析を行っています。

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9月解散総選挙に向けた与野党の攻防 現状の分析

8月に入って、オリンピックムードからあまり政治の話や経済の話が目立たなくなってきました。

テレビもそのほとんどがオリンピックの話で、あれだけ開催前に反対していたり、開催の延期を求めていたことが完全に嘘であるかのようです。

開催反対を主張していたテレビ局が、もっとも大きくオリンピックを取り上げ、一日17時間もオリンピック関連番組を行っているのは、さすがにネット上でも奇異に感じるようで、様々な反論が出ています。

ある意味で、これらの行為は「マスコミの自殺」でしかないという評価になります。

さて、その「マスコミの自殺」ということも含めて、今年の8月は、9月頃に行われるであろう「解散総選挙」についてと、そこまでの政局について考えてみることにしましょう。

本メルマガは、8月中の5回を使って現状分析と、その政治を取り巻く内容をしっかりと見てゆくという趣旨で、まずは現状分析を行いたいと思います。

さて、まず現状分析ということに関して言えば、いくつかの特徴があります。

一つ目は「長期政権後の短期政権」ということになります。

まずはこのことを考えないといけません。

長期政権というのは「マンネリ化」が大きな問題になります。

どんなに素晴らしい内容の政治をしたとしても、同じ権力構造が続くと「マンネリ化」という雰囲気が出てきてしまいます。

本来であれば、「安定」ということは一つの価値のはずなのですが、なぜか日本人は「飽きた」とか「長い間同じはおかしい」などという変な論理があります。

これは、戦後の高度経済成長によって「右肩上がりに成長することが当然」という、世界ではありえないことが、日本の経験上では存在しているということになるのです。

そのために「同じ顔のトップが長期間続く」ということに関して、「停滞している」という感覚を持ってしまうところが少なくないと思います。

諸外国の歴史を見れば、そのようにして「変化を求めて悪化する」ということは少なくないのですが、なぜか日本やアメリカというのは、「変わる」ということの期待感を大きく評価してしまうということがあるのです。

アメリカのブッシュ大統領から変わったオバマ大統領も、また日本でも民主党政権の誕生の時に「チェンジ」ということをキーワードに選挙が繰り広げられました。

実際に「どのように変わるか」ということは全く言わない状態であり、有権者側が勝手に「自分の思い通りに変わるであろう」という期待感をもって政権交代が行われたことになります。

しかし、その結果はいずれも中国の台頭を許すことになり、現在になってその「後遺症」に苦しんでいるということにほかなりません。

オバマ大統領が圧力を掛けなかったことによる南シナ海環礁埋め立ては世界的な問題になっていますし、また、ウイグルや香港の人権問題も、来年のオリンピックのボイコットにまで進んでいます。

日本の民主党政権に関しては、そのことによって尖閣問題や竹島問題が大きな問題になり、韓国が東京オリンピックを政治利用するというような問題行動につながるようになっています。

現在起きている問題だけでも、そのような状況になっているのです。

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さて、そのような状況で問題が発生している中で、政権は「マンネリ化の打破」ということから、長期政権後の短期政権がオリジナリティのある政策を打ち出すことになります。

単純に、「路線は継承」するものの、その路線を進めた先にある何か他の新規性のある内容を行うということになります。

もちろん、この「路線継承によるオリジナリティ」が出てくれば新規性や進歩性を示すことができます。

しかし、それが「全く路線とは関係がない政策」であったり、または、その路線と似ていながらパラレルな関係であった場合などは、今まで支持していた層も離れてゆくことになります。

このように考えるとマンネリ化をしながらも、その路線をなぞるようにして「維持する」ということが重要視されることになるのですが、それがなかなかうまくゆかないということになります。

そのうえで、「官僚組織」も動かないという結果が生まれます。

なぜ官僚組織が動かなくなるのでしょうか。これは、官僚組織そのものが長期政権によって「価値観の偏重」が起きることによって、組織が硬直化します。

官僚というのは、日本の場合「事なかれ主義」「先例主義」「責任回避」の三つの内容からできているといっても過言ではありません。

もちろん、そうではない例外の人もいますが、そのような性質があると思っていた方が多い事案が少なくありません。

このなかで「先例主義」というのは、過去にとらわれているという性質を表していますし、「事なかれ主義」というのは、新しい事案に対して積極的ではないということになります。

そして「責任回避」というのは、当然「責任の転嫁」ということを意味し、それは自分より上の上司に責任を押し付けるということを意味しています。

これを逆から言えば「常に上の命令か、先例に従って動いている」ということになります。

この繰り返しがあるから、日本は何か異常事態があっても体裁を保てているという部分がありますが、一方で、このようなことから常に日本は一歩時代遅れになってしまうということになります。

そのようなところに、今まで新しいことが何年もなかったところで、急にオリジナリティあふれる仕事が来ればどうなるでしょうか?

硬直化した官僚組織では当然、そのような内容に対処できなくなってしまい、そして、そのまま固まって動かなくなってしまいます。

政治家の多くは「官僚は政治家の命令で動く」と思っているかもしれませんが、実際は、「命令がなくても先例と責任の回避によって動く」ということが実態なのです。

つまり、官僚組織は、上が変わっただけではだめで、それらの先例が作られない限り新しいことに対応することはありません。

前が短期政権であれば、組織が硬直化せず、中が混乱しているので、官僚組織も固まっていないかもしれません。

しかし、固まってしまった組織は、その内容がほぐれるまで新しいものは受け付けないのです。

つまり、路線継承といえども、新たなオリジナリティのある政策を主張した瞬間に、その内閣の言うことを聞く官僚がいないということになるのです。

まとめると次のような三段階になります。

菅内閣は、携帯電話の値下げや、デジタル庁創設などを言っていましたが、どうなることか。

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二つ目は「オリンピックとコロナ」ということが挙げられるのではないでしょうか。

これに関しては、今までにすでに語ってきていますので、あり詳しく語る必要はないのかもしれません。

今回はあえて「国民目線」で書くことにしましょう。

単純に、日本の国民というのはかなり優秀な「被支配民」であると思います。

表現は悪いですが、日本という国は、古来、政治家が素晴らしいのではなく、国民側が非常に優秀であるということになります。

その国民は、間違いなく「自分の経験と勘」で生きているのですが、情報と自分の経験則で、基本的には政治がなくても生きてゆけるという自信を持っているということになります。

そのことが「経済一流・政治三流」といわれる現象につながります。

その政治が、今回のコロナで1年間以上「国民に対して我慢を強いる」ということをしているのです。

日本の国民は「目的がはっきりしている」状態であれば、我慢できます。

これは戦争中の「欲しがりません勝つまでは」という標語でもわかります。

しかし、今回のように「いつまで、どのように我慢するのか」が見えなければ我慢ができないのです。

そしてその結果が生まれてこないということになります。いや、悪化しているということになります。

その上でオリンピックです。

オリンピックの是非をめぐって様々な話が出てきていますが、国民感情的には金メダル獲得は良いものの、緊急事態宣言地域が広がる、ということになります。

大阪が「緊急事態」になったということは、単純に、オリンピックとの直接因果関係はないということになります。

大阪はオリンピックの会場ではないのです。

そのように考えた場合、オリンピックの開催はどのように評価されるのかということも大きな内容になります。

三つめは「野党不在」ということが挙げられます。

これは単純に、「批判しかできない野党」ということになります。

過去にこのメルマガで出しましたが、「民主党政権の役職や大臣の経験者がいなくならなければ民主党(現在の野党)の復活はあり得ない」ということを書きました。

まさに、あの民主党政権の時代を想起させることが少なくありません。

同時に、旧民主党そのものの問題は「政策が見えてこない」ということです。

あまりにもひどい二重基準、身勝手な主張と責任転嫁、手のひら返しの政策、これでは話にならないのです。

このように考えれば「野党不在」ということになります。

さて、これらの三つのことを、もう少し詳しく書きながら、次の解散総選挙を見てゆきたいと思います。(次号に続く。この続きをお読みになりたい方は、この機会に『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』をぜひご登録ください。初月無料です)

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image by: 首相官邸

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