「台湾も見捨てられる」米軍アフガン撤退を恫喝に使う中国の卑劣

 

そもそも中国では、民という字は、目を針で突いて潰した奴隷のことを示していました。だから中国では、為政者にとって「民意」は「奴隷の浅慮」であり、尊重などする必要のないものなのです。

共産党独裁という実質的な皇帝制度が続いている中国で、言論の自由も人権も守られないのは、民意ほど有害で危険なものはないと思っているからです。だから4億台もの監視カメラで人民を監視しているわけです。そして民意は従うものではなく、徹底的に弾圧すべき対象としているのです。香港の民主主義を潰したのも、そのためです。

私は常々主張していますが、中国には魅力的なソフトパワーがありません。たしかに、最新技術の発展は目覚ましいものがありますが、それも他国からパクったものばかりです。典型は中国高速鉄道に導入された日本の新幹線技術で、日本に技術協力してもらった挙げ句に、現在は「自国の独自技術」などと主張して他国に高速鉄道を輸出するありさまです。

しかも、AIによる監視システムのように、最新技術を人民統制、人民監視のために使うのですから、弾圧や恐怖政治というイメージしかありません。

かつて古代ローマ帝国の時代には、支配された国や地域はこぞってローマ市民になりたがりました。かつて高い文明を誇ったギリシャの人々ですら、古代ギリシャの子孫であることよりも、古代ローマ帝国の子孫であることを誇りにしていたのです。それほどローマ帝国には自由とソフトパワーがありました。

大英帝国は産業革命により世界の7つの海を支配しました。植民地主義の負の部分もありますが、工業化や物流で世界を変えた部分も大きいでしょう。そしてかつての植民地も、現在ではイギリスの脱植民地主義によりコモンウェルス(英連邦)として、自由で平等な共同体となっています。

アメリカについては、映画や音楽、芸術、スポーツ、ファッション、ITなど、文化の発信力で世界に大きな影響を及ぼしていることはいうまでもありません。

このように、覇権国はいずれも、豊富なソフトパワーと自由な気風によって、他国を魅了し、憧れられる存在になってきたわけです。しかし、現在の中国にそのような魅力はありません。現在、中国人になりたいと思う人がどれだけいるでしょうか。

しかも、中国経済はソ連崩壊・冷戦終結により始まったグローバリズムの波に乗り、改革開放路線で急成長してきました。そしてグローバリズムが世界的に広がった理由は、自由、民主、人権という普遍的価値が基底にあったからです。しかし中国は現在、そのどれをも否定しています。

グローバリズムを利用しながらも、自由や民主、人権を否定しているというのが中国なのです。そのような中国の主義主張が世界を魅了し、席巻することはありえません。

中国経済が2桁成長を続けていた2006年、ポータルサイトの網易が「生まれ変わっても中国人になりたいか」というアンケートを行ったところ、64%が「なりたくない」と答えました。中には「豚になったほうがまし」という答えもあったそうです。このアンケートはすぐにネットから消え、網易の担当者や責任者が処分されました。

それから15年が経過しましたが、「生まれ変わっても中国人になりたい」と思う中国人は増えたとは思えません。当時は胡錦濤時代でしたが、現在の習近平時代はその時より経済成長率は落ち、言論統制がより強まっています。

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