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「子供が家のお金をくすねている」と気づいたらすぐに変えるべき事

コロナ禍の夏休みは家にいる子供が増え、それに比例して増えたのが「子供が家のお金をくすねている」という相談だったと語るのは、無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』著者であるパピーいしがみさん。子供がお金をくすねること自体は珍しいことではないとしながら、それを助長させない方法について伝授しています。

誘惑に負ける練習

こんばんは。パピーいしがみです。

本日のメルマガは「誘惑に負ける練習」としました。

タイトルを見て「エッ?」と思った方も多いと思います。「誘惑に負ける」なんてない方がいいでしょ!と思われたかもしれません。実際、多くの方が「子供たちには苦しさを味合わせたくない、辛い思いをさせたくない!」ってお考えです。

でも現実は、誰だって挫折をするし、誰だって誘惑に負けるし、誰だって間違いを犯します。そこで大事な事は「挫折からも這い上がれる」ことですし、「間違いを繰り返さない」こと。そして誘惑に負けない「強い心を持つ」ことなんです。

その為には間違いを起こすことはもちろん「誘惑に負ける」のも子供の人生には必要。【乗り越える練習なんだ】という意識を持ってほしいのですね。

でも…ゲームの時間を守れない、動画の時間を守れない…そのぐらいだったら「よくある事」と思うかもしれませんが、もし「お母さんの財布からお金を抜き取る」「家のお金に手を付ける」だったらどう思われますか?「時間を守れないのと、家のお金をくすねる事って違うよ!」って思うでしょうか?

でもゲームの時間を守れないのも、お母さんの財布からお金を抜き取るのも、実は同じ「誘惑に負けた」ってことで(親にとっては大きな違いでも)子供にとっては同じことなんです。それは「ゲーム」という魅力的なものが「お金」に変わっただけで、ゲームだから「まあいいか」で、お金だから「大変だ」ではなく、ゲームでも、お金でも「誘惑に負ける」ってことは、全然珍しくなくて、どこの家でも普通に起きる事なんです。

ただ「時間を守れない」のは、放っておいても時間にルーズになっていくだけの事ですが、「お金をくすねる」を放っておくと、家庭だけの問題ではなく、それが外に向けば「万引き」になりますし、クラスメイトや他人に向かえば「恐喝」や「強盗」、大人になって会社のお金を着服すれば「横領」になります。この「お金」への誘惑を早い段階で解決しないと、後々大きな犯罪に繋がっていく可能性があるのですね。でもその種が普通の家庭に転がっていて、私たちの姿勢や対処によって影響されてくるのです。

もちろん私もお金の誘惑に負けて、家のお金をくすねた事もありますし、私の息子も同じ道を通ってきています。ちなみに男の子だけがするのではなく、女の子だって同様にあります。しかし、くれぐれもご理解してほしいのは「お金をくすねる」事が大問題ではなく、あくまでも「誘惑にも勝てる」ようにしてあげる事が重要な事なんです。だから、もし子供がお金をくすねる事をしても、特別な大問題だとは考えてほしくないんですね。

もちろんきちんと対処すべきことではありますが「この子の人生終わった」なんて事は決してありません。逆にまだ親が側にいるときに間違いを起こしてくれてよかったのです。

夏休み中もそうですが、コロナの自粛が始まったあたりから、子供たちが家にいる事が増え、相談の中でも増えたのがこの「子供が家のお金をくすねている」という内容でした。私たち大人でも「もしたくさんお金があったら…」とか「宝くじが当たったら、あれとこれを買って…」と考えるように、子供も何かを購入する事。自分の欲しいものが手に入る「お金」には大きな魅力を感じています。だからそんな魅力的なものを「欲しい」と思う事は自然なことで、特にまだ自制心が未熟な子供たちにはとてもよく起きる事と覚えておいてほしいのです。

では、そんな家のお金をくすねるようになった子は、どうやったらその誘惑から脱出できるのでしょうか?

「効果てきめんな言葉」「二度とやらない対処法」「自制心を身に着ける方法」

きっと皆さん、そんな方法を期待していらっしゃると思いますが、実はそんな「効果的な方法」などはありません。ですから子供が家のお金をくすねる事を経験した方は、試行錯誤しながらいろんな方法を試されます。ある方は激しく叱責する方法を選び、ある方は体罰を与える事を選びます。そして「二度としない」と約束させるのです。でもどんなに叱ったって、どんなに叩いたって、どんなに脅しても解決せず、同じことが二度三度、と起こります。

ちなみに私の場合は母に「次にやったら警察に相談するからね」と言われ、次には「もう牢屋に入ってもらう」と言われました。でも私の癖は治りませんでした。くすねる度に、そのように言葉で脅されたり「もう警察に行く」と手を引っ張られたこともありましたが「もうしないから!」と泣き叫びながら、頭は冷静で「どうせ口だけでしょ。そうは言ってもやらないでしょ」と思っていました。

私は自分の時も、何が決め手に盗み癖が治ったのか記憶には無いのですが、やらなくなるには何年もかかりました(母にも長いこと悩ませたと思います)。そんな私も親になり立場が変わって、今度は自分の子供が私と同じことをするようになるのですが、叱った時のその言葉を今でも覚えています。

「頭ではやっちゃいけないって分かってる。でも手が勝手に動いてしまう。だから僕の手を切ってほしい」

子供は泣きながら言いました。それを聴いた時、子供は「親が子供の手を切るなんて事はしない」と、そこまで分かって言っているんだ。「これは一筋縄ではいかないぞ」と、改めてこの問題の奥深さを感じました。

このぐらい、お金の誘惑は強力でとても対処が難しいものですが、でも解決に向かう方法が一つだけあると思っています。それは「子供の罪悪感を育てる」ってことです。これは一見、途方もない遠回りのように思えますが、実は最も効率的で根本から修正できるやり方なんですね。

その方法とは「子供を直す」のではなく、私たちの考え方を変えて、子供に魔が差す環境をつくらず、お金をくすねる経験をさせなくする事なんです。子供達が家のお金をくすねるその原因は「盗みをさせる環境下に子供を置いてしまった」ってことなんです。

もちろん親は子供を信じていますし、そんな事をしないと思っています。だからお金に対して無頓着になって、お財布をその辺に置いてしまったり、タンス貯金をしていたり、お金が減っていても気づかなかったりする。

でも「魔が差す」という事は誰にでもあって、子供が一度くすねる事に成功すると、又、やりたくなってしまうのですね。最初はドキドキしながら「やっちゃいけない事をしている」(これが罪悪感です)と思いながらやっていますが、それが二度三度と繰り返していくうちに、どんどんその気持ちが薄くなって、

この前は10円で成功したけど、今度は50円をやってみよう、次は100円玉を、500円玉を…。それもうまく行ったら今度はお札。1,000円を、5,000円を、1万円を…と高額になるとともに大胆になっていくのです。

親が気づかないと、子供の罪悪感はほとんどなくなり、チャンスを感じると、何の躊躇もなく財布からお金を抜き取るようになってしまいます。ですが、まず親がお金の管理について神経を使うようになり、タンス貯金などやめて、財布の中身を常に把握し、子供に「魔が差す」機会を減らすことで、子供はくすねる機会が減り、その「悪いことをせずに過ごした時間」が正しい罪悪感を持つようになるのですね。そして「くすねたい衝動」に勝つ事を経験しながら時間が経過することで誘惑に負けない、強い心が育まれていくんです。

これについてはテキストの34章「お金について考える」の所で、もう少し詳しい対処について書いてありますが、まず何を置いても「親の姿勢」が大事だという事と、「こんな子なんて最低!もういらない」みたいな、子供を突き放したり、ダメな子の烙印を押したりせず、誰にでも起きる、成長する為の一つのハードルだと思って、じっくり時間を掛けてほしいこと。それをお伝えしておきたいと思います。

ちなみに、以前も【“盗み”について】というタイトルでお話したことがありました。こちらは“盗み”全般について書かれていますが、よろしかったら是非、ご参考にしてみてください♪

“盗み”について 

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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