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高額の“有給休暇”を貪る議員たち。非常時に国会閉じた不正受給者の名を忘れるな

6月16日の通常国会閉会以降、コロナ対策に関わる重要な決め事は閉会中審査だけと、ほぼ政府の言いなりでコトが進む状態のまま8月も終わりました。今年もたっぷり夏の“有給休暇”を楽しんだ国会議員の皆さんに苦言を呈するのは、メルマガ『8人ばなし』の著者、山崎勝義さん。昨年7月24日に掲載された「最も高額な有給休暇。国会はなぜこの非常時に閉じているのか?」で指摘したことがことごとく悪い方に現実となったことを振り返り、当時の記事を引用しつつ、1年経っても繰り返す国会議員たちの長過ぎる有給休暇に再び物申し、来年の夏も同じことを繰り返すのではないかと今から案じています。

コロナと国会のこと2021

たとえ端くれでも物書きである以上、コピー&ペーストなど以ての外のことである。とは言え、その一方で物書きである以上はそれでもしつこく主張せねばならないこともある。

以下は去年の夏の文章である。敢えて今これを再掲載するのは、今夏のこの状況を生むに至るその元凶はやはり昨夏の政治家たちの怠惰の内にあり、それと同様に今夏の怠惰は来夏の状況を左右するかもしれないということへの警鐘になると考えるからである。猶、《》の部分は現在の筆者からのツッコミである。

国が迷走している。「Go To キャンペーン」なるものをわざわざ前倒ししてまで全国一斉に強行するかと思ったら、一転東京除外である。除外されたため、結果生じることになるキャンセル料はこれを補償しないと強調していた筈だが、またまた一転補償するである。大丈夫か!

《結局、このまま迷走を続け終にはオリンピックまでやってしまった》

また、エピセンター化している所謂「夜の街」も風営法でもって取り締まると言う。誰が見ても法令本来の目的とは異なる運用の仕方だ。しかも当該法令の性質上、実際の立ち入りはおそらく警察が行うことになるであろうから、ある意味公権力の濫用とも言える。本当に、大丈夫か!

《結局、大丈夫ではなかった。「夜の街」という空間的な括りはいつの間にか「夜8時以降」という時間的な括りとなり、現在に至るまでだらだらと続くことになった》

そもそも「新型コロナ特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)」はどうなった。これを臨機応変に改正しつつ、時々刻々と変化する感染状況に後れを取らぬようにして行くというのが本来のあり方であろう。

《「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律」となり「緊急事態宣言」の前あるいは後段階として「蔓延防止等重点措置」というものが新たに加わった。これが全くと言っていいほど機能していない。法律改正時には既にその脅威が問題視されていたデルタ株の存在を無視した法構えとなっているからだ。そもそも未だに「インフルエンザ」かよ!》

然るに政府発表によれば、そういった法改正はコロナ収束後にやると言う。相手は(ほぼ未知の)ウイルスである。呑気にもほどがあろう。火が収まってから火事場に消防を派遣しても何の意味もない。

《今や大延焼・大炎上である》

「新型コロナ特措法」は動く法でなければならないのだ。しかも柔軟に迅速に、である。それができないのは何故か。国会が閉じているからである。できる訳がないのである。「今は平時ではない」と口々に言いながらも、閉会中審査だけでやり過ごそうとしている。この未曾有の国難を国会抜きでどうにかしようと考えているなら、政府も与党もそれこそどうかしているとしか思えない。

《2021年6月16日に第204回通常国会は閉会した。コロナ下でのオリンピックなど議論すべきことがたくさんあったにもかかわらずである。6月中旬と言えば、ちょうど感染の大波の谷間にあってすっかり油断していた時期である。なんと迂闊なことか!》

個人的に私は国会議員の給料(歳費)が必ずしも高過ぎるとは思っていない。正当な選挙で国民に選ばれ、国のあり方を決定するという重要な職責を担っているからだ。これは生半な覚悟では務まらない(筈だ)。そう考えれば、然るべき報酬があって当たり前である。

《やや理想論に走り過ぎたと少し反省している。国会議員の歳費は国会が開いている期間だけの日割り計算でいいのではないか》

ただそれは国民のために働いてこその話である。この非常時に、国民の生命と財産がまさしく危機にさらされている今この時に、益体もなくただ閉じこもっているだけならとんだ税金泥棒ではないか。少なくともこの日本で今、最も安全に最も高額の有給休暇を得ている人たちは国会議員であろう。

《今年も全く同じである。加えて高齢の議員はワクチンも早々に打てて、さぞかし安心できたことだろう》

今こそ休むな!国会はすぐさま召集されるべきなのである。ウイルスは待ってはくれないし、容赦もしてくれない。対策が後手に回れば患者数は増大し、決定を先延ばしにすれば経済損失は拡大するばかりである。実際、何の対策も講じなかったから全国的に患者数が増加することとなった。スケジュールに固執し決定を先延ばしにしたために本来支援する筈の観光業者に余計な負担を掛けることになった。

《大都市圏どころか地方都市や田舎までデルタ株は蔓延することになってしまった。東京で過去最多の感染者数が出たと思ったら、それが波動するように日本地図上を伝って行った》

もうたくさんだ!胸に議員バッジを付ける身なら、それに恥じぬように堂々と国会に臨むべきだ。やり方なら如何様にもなる。リモートが無理なら、傍聴席をフル活用するとか、モニターを使って一院を二院の議場に分散して議論するとか、少し考えただけでも一つ二つのアイデアならすぐに出る。

《有事に国会が何もせず、万事政府の為すがままなら、もうそれは戦中の大政翼賛会と変わらないではないか》

それにしても、これほど頑なに「特措法」をいじろうとしないのはどういう訳か。おそらく、いくらかでもいじろうとすれば補償問題に触れない訳にいかないからであろう。本来国民を守るための法が、国民を守るための取り決めが明文化されるのがいやだから改正されない。本と末が完全に転倒している。

《「お願いベース」とよく言われているけれども、口を開けば「お願い」ばかりの政治家など惨めで見るに堪えない》

我々はバカにされているのか。あるいはバカだと思われているのか。あまりにいい加減な施策ばかりだと終には統制の利かない状態にもなりかねない。こういうことへの反応はエネルギーのある若者の方が敏感である。事実、若者たちは最近少々無謀(やけくそ)気味にも思える。「どうせ…」と考えれば、若者でなくとも自制のタガは緩むものである。ここは範を垂れなければならない。戦っている姿を見せなければならない。「それでも、やっぱり…」と思わせなければならない。

《実際、県境を越えて日本中から人が集まるような各種大イベントがオリンピックに倣う格好で強行(=凶行)され大きな問題になっているではないか!》

国会議員はすぐにも臨戦態勢に入るべきである。国民の代表たる姿を我々に立法の場で見せる必要があるのである。このままでは、本当にこのままでは、ただの臆病者の税金泥棒でしかないではないか。

image by: Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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