旨い話には裏がある。旧民主党が実現できなかった月7万円「最低保障年金」の罠

 

どうして旧民主党のやろうとした新年金はダメだったのか。まず最低保障年金ですが、全額税方式なので必ず所得制限がかかります。税の割合が高くなればなるほど国の介入が強くなるので、全額税金で支払うなら所得に応じて年金が引き下げられるのは当然といえます。

内容としては年収が260万円までの人は最低保障の年金7万円を支給するけども、260万円を超えてくると年金を減らしていき、年収が690万円を超えると最低保障年金はナシ。それに必要な税金は消費税10%に引き上げた上で、更に7%追加してもらわなければならないというものでした。追加の税収は25兆円。

さらに中所得者以上の国民にとっては、所得比例年金と合わせても、現在の年金制度である老齢基礎年金とか老齢厚生年金の水準よりも下回ってしまうというものでした。

次に、所得比例年金ですが、これは職業にかかわらず所得が一緒なら同じ保険料を支払ってもらって、同じ給付とするものでした。保険料は15%くらい支払ってもらおうと。所得が一緒なら保険料も給付も一緒と公平なんですが、サラリーマンと自営業の保険料徴収時に問題があります。現在はサラリーマンの厚生年金保険料は18.3%を会社と折半して支払っていますので、実際に従業員が支払う保険料は半分の9.15%になります。

ところが自営業者はそんな折半とかやっていないので、所得比例年金の保険料を支払ってもらうとするとサラリーマンや公務員よりも高い保険料を支払わなければいけなくなります。

あと、サラリーマンの場合は確実に所得が把握されますが、自営業者の所得把握はそんなに高くありません。トーゴーサンピンという言葉があるように、所得補得率がサラリーマン:自営業:農家:政治家=10:5:3:1となっていて、サラリーマン以外はなかなか所得が把握されてません。

そんな中で所得が同じであればみんな納める保険料は同じであり、将来の年金は同じという事は不可能であります。サラリーマンであろうが自営業であろうが、国民一人一人の所得が正確に把握されて、確実に保険料が徴収される事が前提であります。そういえばマイナンバーが始まって結構経ちますが、今ですらなかなかうまくいってないですよね。

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