旨い話には裏がある。旧民主党が実現できなかった月7万円「最低保障年金」の罠

 

そして最後にこれが一番問題だったんですが、新年金にしてもその新年金制度から受給者が出てくるのに最低40年はかかり、新年金から受給者が出ても今現在適用されていた年金制度(今の基礎年金やら厚生年金)からの給付を続けなければならないというものでした。

年金っていうのは、制度が新しくなっても新しくなるまで適用されていた人が生きている間は従来の年金制度を続けなければならない性質があるんですよ。なぜかというと今の年金を貰ってる人がいますよね。例えば今の年金200万円貰っていました。

ところが受給中に法律を変えて新しい年金制度になり、計算式も変わりましたとします。新しい計算式になると、金額が変わってきたりしますよね。計算式が変わったので場合によっては金額を下げさせてくださいと。

まあこんな事をやるのは許されないので、従来の年金で貰う約束だった人はそのまま従来の年金を終身続けて既得権とか期待権を保護する事をします。既得権を保護するために、年金には従前の保障とかいろいろあるんですよ^^;だからどうしても複雑になる。

昭和61年4月に現在の新年金制度である基礎年金制度になりましたが、昭和61年3月までの従来の年金制度から支給されてた人は今も支給されています。およそまだ100万人以上の方が受給されています。

このように旧民主党案は実現可能性が全く無くて、中所得者以上の人は現在の年金制度より金額が低くなるし、消費税は更に2倍近く取る必要があるし何かこう問題が多すぎて国会に法案を提出する事が出来なかったわけです。今の年金制度より更に条件悪くなるのに、提出できるわけがなかったですね…

なので最低でも月7万円!というのは、聞いた感じは良さそうだったけど全然実現可能性はなかったものでありました。でも多くの人はそれに期待して政権交代に繋がっていったわけですが…。

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その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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