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大企業だけの問題じゃない。小売店こそ「DX化」を進めるべき理由

デジタル庁が発足し、国をあげてデジタル化を進めていく方針にある日本。小売店も例にもれずデジタルトランスフォーメーション(DX)化をしていかねばならない時期にきているといえます。そこで今回は、無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、DXとは何かという基本的なところから、小売店で何ができるかまでをお話しています。

ショップにとってのDX

この頃は、右を向いても左を向いてもDXの文字が躍っています。DXはデジタルトランスフォーメーションのこと。

では、いったいDXとは何でしょう。実は私もよく分かっていません。ですから、一生懸命情報を集めているところです。

DXって何?

今年の9月、デジタル庁が発足しました。日本はデジタル敗戦国だと言われていますから、よほど政府も頑張らなくてはいけません。そして、このコロナ禍によって、政府のデジタル化が少しも進んでいないことが分かってしまいました。

実は、そのことは国連の調査ですでに明らかになっていたことです。その調査によれば、日本の2020年デジタル競争力の順位は63か国中27位となっています。ひどいものですね。

分かりやすいのがマイナンバー。まったく普及せず、情報の一元化など夢のまた夢です。ですから、特別定額給付金の手続きにもたつきました。緊急事態一時支援金も手元に届くまでに時間がかかったようです。

また、国と自治体との情報システムが違っているためにPCR検査やワクチン接種がスムーズに行われませんでした。とにかく、ドタバタの連続です。そこで、あわててデジタル庁を作って立て直しを図ろうということでしょう。

それもあってか、世の中で盛んに騒がれているのが「DX」です。デジタルトランスフォーメーションと読みます。本屋に行けば、DX関連の書籍が山積みです。DX関連のセミナー案内もひっきりなしに届きます。

DX、DX、DX……。

ところで、DXって何でしょう。デジタルトランスフォーメーションと言われても、何のことやら分からない方もいるでしょう。もしかしたら、「DXだ」と騒いでいる人たちも、本当は分かっていないかもしれません。だからこそ、DX本が売れますし、DXセミナーが盛況なのです。

DXへのステップ

デジタルトランスフォーメーションを日本語に訳すと「デジタルによる変容」ということになります。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」にある定義は次のようなものです。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

いかにもお役所らしい言い回しです。要するに、デジタル技術を使って、ビジネスのあり方を変革していくということでしょう。この「DX」を政府が推し進めると言っている以上、進んでいくのは間違いありません。

当然、この流れはスポーツ用品業界にもやってきます。まだまだ、スポーツ用品業界のDXは進んでいません。DXどころか、デジタル化さえまだまだです。特に、小売の世界では遅れています。いまなおFAXでやりとりをしているお店もあるくらいです。

ですから、DXはスポーツ用品業界全体で取り組んでいかなくてはならない重大な問題だと思っています。メーカー、卸、小売が一緒になって進めていくことです。そうしなければ、気がついたら日本政府のようにデジタル後進業界になってしまいます。

そうはいっても、今までの流れをみると、業界が団結することはないかもしれません。そうだとすれば、あなたのお店はどうしたらいいでしょう。

DXに関した資料を読んでみますと、DXには3つのステップがあるとされています。

第1ステップは、アナログな作業をデジタル化すること。

第2ステップは、デジタル化したものを活用すること。

第3ステップは、デジタルを活用して企業を変革すること。

つまり、第3ステップに至ることが、DXだということです。ただ単にデジタル化をするだけではDXにはなりません。そこで、あなたのお店の現状をみてみましょう。

DXを進める方法 

あなたのお店は、結構デジタル化が進んでいます。例えば、お店にはPOSが入っていますね。それによって、毎日の販売データや在庫データがデジタルで分かります。顧客データもデジタルです。

また、スタッフからの報告は毎日メールで送られてきます。メーカーさんや問屋さんへの発注もオンラインです。入荷データもデジタルで送られてきます。お金をかけたホームページやECショップもありますから、大量の情報がデジタルになっているはずです。第1ステップのデジタル化は、かなり進んでいると言えます。

では、第2ステップのデジタル活用はどうでしょう。POSデータを活用して、販売戦略を立てたりメーカーさんとの交渉をしています。顧客データからは、お客様へのアプローチ方法を考えています。日々送られてくるスタッフの報告は、組織運営の材料です。ECショップの分析データによって、発信情報を変えたり追加したりしています。こうしてみると、第2ステップについても、かなり進んでいると言えるでしょう。

問題は第3ステップです。ここになると、今より進んだシステムを採用する必要が出てきます。例えば、POSと連動して、スマホやタブレットで販売情報や顧客情報をスタッフ全員が見られるアプリの導入などはどうでしょう。それによって、全員がタイムリーに商品戦略や顧客戦略を考えることが出来ます。きっと、お店の運営変革につながることでしょう。

また、必要な情報はクラウドにして、いつでも取り出せるようにしていけば仕事の効率があがります。そしてこの先、AIの活用、バーチャルな販売方法の採用、スタッフ同士の連絡が簡単に出来るビジネスチャットの採用などをしていけば、さらなる変革が可能です。

いずれにしても、DXを行うには、販売、マーケティング、在庫、人事、教育、財務、物流、決済などいくつもの切り口で考えていく必要があります。全部を一度に実行するのは大変ですから、あなたがDXの方針を決めることです。

その他にも、大事なことがあります。デジタル技術と活用法に詳しい人材を採用することです。

いかがでしょうか。このようにすれば、業界に頼ることなく、独自にDXが進められます。ともあれ、現在はDXの黎明期です。今のうちに先手を打っておきましょう。

■今日のツボ■

・世の中では、「DX」が盛んに謳われている
・DXには3つのステップがある
・スポーツ用品業界もDXを進める必要がある

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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