よかれと思って助言したのに、相手が「指示された」と思い込み、「やらないと思っているんですか!?」と感情的に反論されてしまう。そんな後輩に出会ったら面食らって、どう扱っていいか悩んでしまいますね。メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者で、世界的なコンサルティング会社で14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんは、理解し難い人に出会ったときに読むといい本を18冊厳選していて、今回のケースではその中から4冊をお勧め。さらに、「A4メモ書き」で相手への理解を深め、アクティブリスニングという手順を指南しています。
※「A4メモ書き」とは:赤羽さんが考案したA4用紙を横置きにして左上にタイトル、右上に日付、本文を4~6行、各20字前後を1分で書き上げることで“もやもや”が消えていくという方法を使用したストレス軽減策
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後輩の医師にひどく噛みつかれてしまいました
Question
私は30代後半の男性外科医師です。職場で後輩医師に指摘したところ、ひどく言い返されてしまいました。社会人経験のある、年上の女性医師です。他病院で人間関係が悪くなったようで、一時的に僕の職場に来ています。
その医師が上司の代わりの診察をすることになったため、準備をしておくように指示したところ、「私が準備をやらないと思ってるのか、どういうことか」と怒りだし、いろいろ言われてしまいました。
彼女は、衝動的で話し出したら止まらず感情的です。物忘れも激しいほうです。ご自身の実力を過大に評価しておられ、自分ではできてると思われています。したがって、ギャップを指摘すると激高します。
ひどく言い返されたときはかなり腹が立ちましたが、その場で感情的に言っても判断を誤るかもしれないと思って何も言わずにおきました。今後何も言わずにするか、はっきり怒ろうか迷っています。
僕はこういう気持ちが長期間、わだかまるほうでもあり、迷っています。これまでも我慢してストレスを貯めてきました。今後も、このようなトラブルに際してどう判断するか、迷う場面が多数あるかと思います。どういう判断、対応が正しいのかを相談したいため、メールいたしました。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。大変ですね。そういう方は「困ったちゃん」「かまってちゃん」で、他の病院でも人間関係が悪くなったのだろうと思います。自分中心で、思い通りにならないとすぐ感情的になり、暴言を吐くタイプです。一般的には愛着障害でアダルトチルドレンとも言われています。自分がわがままだと認識していないし、自分はスキルがある、有能であると誤認もしているので、人からの助言、指摘が我慢できないのだろうと思います。
もし、上記に加えて、衝動的で話し出したら止まらない、感情的、物忘れが激しい、スケジュール変更でパニックになるという特性があるならADHD(注意欠陥・多動性障害)的傾向も疑われます。
あるいは、共感性が低い、マイルールが強い、白黒・二分法的な発想をする、HSP(過剰に繊細)だとしたらASD(自閉症スペクトラム障害)的な要素があるかも知れません。どちらも、いわゆる、非定型発達(発達障害)といわれているものですね。それほどでもなければ、愛着障害が疑われます。
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私は経営改革、意識・行動改革が仕事ですが、その中で多数のパワハラ事例に出会ったことから、5年前からこの問題に取り組み、専門家の意見を聞き、90冊以上の本を読んできました。厳選した18冊を紹介しています。
このうち、まずは『愛着障害』(岡田尊司著)、『「毒親」の正体』(水島広子著)、『もし部下が発達障害だったら』(佐藤恵美著)、『すぐ感情的になる人』(片田珠美著)がお勧めです。
こうやって、愛着障害や発達障害に関する本を何冊か読み、どういう特性でどういう言動になるのかを理解すると楽になります。相手の不愉快な言動が必ずしも悪意からではなく、何らかの背景から来ていることがわかり、一方的な言葉の暴力にならないからです。理解が進めば、感情的になることがかなり減りますし、溜め込むこともだんだん減っていくのではないでしょうか。
また、相手の立場で10~20ページA4メモ書きをします。そうすれば、相手への理解がさらに進みますし、心の乱れが急激になくなっていきます。
- 彼女はどういうとき、一気に感情的になるのか
- 前の病院ではどういうことがあったのか
- 前の病院から異動せざるを得なくなって、彼女はどう傷ついただろうか
- 自分に暴言を吐いたあと、何を感じただろうか
- 誰に対して暴言を吐くのか、誰には吐かないのか
- 暴言を吐いた後、彼女は反省するのだろうか
- 彼女はどういう親に育てられ、こういった感情的な人になったのか
- 彼女は何人きょうだいの何番目か、どういうきょうだい関係だろうか
- 彼女にとって仕事とはどういうものなのだろうか
- 彼女は彼女自身の家族とどう接しているか、あのように感情的なのか
ここまで書くと、かなり彼女の立場で物を考えることができるようになっていきます。
最後に、彼女に対して徹底的にアクティブリスニングしてみてください。アクティブリスニングというのは、何かを言い返そうとか間違いを正そうとかいっさい思わずに、何もかも聞いてあげることです。相手に関心を持ち、真剣に聞きます。茶化すのではなく、また先日の件を根にもつのでもなく、同僚として関心を持ち、話を聞くことに集中します。
こちらが本気であれば、それを嫌われることはありません。どんどん話してくれますので、ひたすら聞きます。1時間だけ、頑張って聞いてみてください。そういうことが数度続くと、彼女との関係は劇的に変わってきます。1時間が無理なら30分時間を決めて数回に分けても大丈夫です。それが終わる頃、彼女への負担感、嫌悪感はかなり減っていることと思います。
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