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韓国グダグダ大統領選。候補者息子が「違法賭博」に「買春常連」のスキャンダル

先日掲載の「『反日は病』『55%が政権交代希望』ドタバタ韓国大統領選の行方」等の記事でもお伝えしているとおり、史上まれに見る混乱ぶりを見せている韓国の大統領選挙を巡る激しい戦いですが、ここに来てさらなるスキャンダルが報じられたようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、一騎打ちとなっている与野党候補者の家族に浮上した醜聞を紹介。あまりのゴタゴタ続きに国内からは、候補者の「全切り替え」を望む声すら上がっているという現状も併せて伝えています。

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不正に上げ足を取られるイとユン

2021年師走、韓国は来年3月の大統領選挙をめぐって、毎日毎日、新しい話題がもちあがり静かに過ごす日がないほどだ。野党「国民の力」党から出ているユン・ソンヨル(尹錫悦)については、彼の奥さんのキム・ゴンヒさんの書類偽造問題が沸騰しており、かたや与党のイ・ジェミョン(李在明)については、デジャンドン不正事件もまだまだ収まらない中、今度は彼の息子(長男)の博打サイトがらみの問題が浮上し、てんやわんやの大騒ぎとなっている。

キム・ゴンヒさんの書類偽造問題というのは、彼女がユン・ソンヨルと結婚する前のことなのだが、例えば大学教授として就職するときに提出した書類に虚偽の内容があったなどとする問題である。書類偽造問題は一つ二つにとどまらず、今のところいくつになるかまだ底が見えてない状況だ。とりあえず、ユン・ソンヨルはきのう12月17日に国民の前に「すみません」と謝罪している。

韓国の場合、大統領選挙に関しては、本人の不正を敵方が暴こうとするのは基本で、奥さんや子息、さらには本人の親や奥さん方の親のことなどまでもあらゆる嘘、不正を暴かれるのが相場となっている。完膚なきまでさらけ出すとはこういうことをいうのだろうか。その徹底した追求の手は、米国の大統領選挙でのネガティブ攻勢よりももっと激しいかもしれない。トランプとバイデンのときも、お互いに相手方の不正暴きにやっきとなっていたことは記憶に新しいが、韓国の場合はあれ以上だと思う。実権を握った方が相手方を完膚なきまで(昔だったら家族、親戚皆殺し)に叩きのめすという伝統的な観念が作用するのかもしれない。

きょうはユン・ソンヨルが中心ではなくてイ・ジェミョンが中心だ。彼の息子(29歳)が常習的に賭博サイトで遊んでいた(これは韓国では違法)ことと、売春をめぐる議論が持ち上がっているのだ。父親のイ・ジェミョンが城南市で市長をやりながら、賭博は国を危うきに導く主犯であるから賭博を根絶すると市民の前で高らかに謳いあげるなか、時を同じくして息子は賭博サイトで1,000万ウォン単位でつかい込んでいたというのだから驚きもものきだ。いろんな賭博サイトで遊んでいたようだが、あるサイトは本人の預金通帳の内訳まで登録させる仕組みになっており、無職のこの息子の通帳に5,000万ウォンがいきなり振り込まれていたりしていることも判明している。どこから飛び込んできた金なんだ、というわけだ(勿論、親のイ・ジェミョンが振り込んでくれたものと考えるのが一般的なスジだけど)。

また売春の件に関しては、実の祖母の葬式の次の日あたりに売春宿にいってすっきりしてきた、というようなことをインスタグラムなどのSNSに書き込んでいたらしい。それも1個、2個の書き込みではなく何十個(あるいは何百個)という「こと細かさ」だ。そこに女性蔑視の内容なども見えているようで敵方(野党国民の力)からの総攻撃に遭っているのはいうまでもない。

こうしたネガティブ事件は、このメルマガではあまり書きたくはないと思っているのだけれど、やはり選挙を占う重大な局面となっているため、いちおうお伝えしておくのも悪いことではないと考え、アップしている次第だ。

イ・ジェミョンにとっては(ひいては与党民主党にとっても)、大統領選挙当日まで「候補」として生き残ることができるかどうか、くらいの重大な局面となっている。ここで野党から出ているユン・ソンヨルのほうになんの問題もなければ、すでに勝ったも同然といえるのだけれど、いかんせん、上述したようにこちらはこちらで奥さんの虚偽経歴、書類偽造問題のせいでユン・ソンヨルの面子丸つぶれと言った形になっている。

ユン・ソンヨルが大統領候補として浮上してきたのはいうまでもなく不正に彩られたチョ・グクを追い詰めたゆえである。チョ・グクに痛めつけられ、チュ・ミエ(法務大臣)に痛めつけられ、さらにパク・ボンゲ(法務大臣)に痛めつけられても、堂々と最後まで正義を貫いた姿が国民に感動を与えたからだ。それが今、彼の奥さんの虚偽経歴や書類偽造問題を抱え込んでしまった。結婚する前の出来事であるとはいえ、顔の整形にはじまり名前を何度か変えたり、経歴はほぼ全部嘘といったことになっていて、彼女の中でほんとのものが一つでもあるのかといった状況だ。

夫婦なのに出身大学のこととか大学教授になったのならその前にどんなことをしていて大学教授になったんだい、などと普段の日常生活の中でお茶などしながらお互いに(本当のことを)しゃべるんじゃないのと筆者などは思ってしまうのだけれど、そうでもない夫婦も多いのだろうか。しかもユン・ソンヨルは腕利きの検事なのだ。ユン・ソンヨルは50歳を越えて結婚しているから、結婚できたことに満足し、根掘り葉掘り相手の素性などについて聞いたりかんぐったりすることはそれ自体が卑怯のようで、憚られたものであろうか。とにかく検事の奥さんが、とんでもない嘘の塊でできていたのだから、こちらも驚き桃の木だ。ユン・ソンヨルを応援する立場からすると、実に残念で情けない事態となっている。

韓国の中では今や、与党も野党も候補を「全面切り替え」すべきじゃないのか、などという声も上がっている。与党はイ・ナギョンに、野党国民の力はホン・ジュンピョに替えろというわけだ。党内予備選挙で正式に決まった二人だからそんなに簡単に代替することになることはないと思うけど、2022年第20代大統領選挙は今後いかなる動きになっていくのか目のはなせる日は一日もない。

(無料メルマガ『キムチパワー』2021年12月18日号)

image by: 李在明 - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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