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営業マンはしゃべりすぎるな。大切なのは理論、商談を成功へ導く3つのトーク術

結果を出せているかどうかがはっきりと数字でわかってしまうのが営業マン。優秀な人は「セールストークが上手いんでしょ?」と思いがちですが、それだけではありません。そこには確かな理論に基づいたトーク術があるのです。今回は営業実務コンサルタントの島田安浩さんが自身のメルマガ『売れる営業マンの常識は売れない営業マンの非常識!』の中でその奥義をレクチャー。目からウロコのトークスキルを詳細に教えてくださいます。

営業トークで最も重要なのは「テンポ・間・クロージング」です。その大切な3つのことについてご紹介していきます。

1. 間

テンポというか、会話のリズムが全くなってない!というか、考えているのか!?って、思ってしまうような営業マンが非常に多いです。

「お客様に合わせろ!」

これって、基本でしょう?お客様のテンポに合わせて商談をするの!にもかかわらず、どこに行っても自分のテンポ、しかも、客先までの移動中はゆっくり話していたのに、客先だと急にテンポが速くなる!

ダメダメです。

少なくても、話すスピードはお客様に合わせろ!というか、いつもよりゆっくり話すぐらいで丁度いいよ。まずは、話すスピードを相手に合わせる。これは、基本です。その上で、重要になって来るのが、

「間」

これを上手に使える営業マンが非常に少ないです。というか、「間」を意識している営業マンは、本当にトップセールスマンだけかも知れません。「間」が非常に重要なんです。

島田紳助が「紳竜の研究」の中で話していましたが、自分が面白いと思う漫才師の漫才をこそっと録音して帰って、1分間にどれだけ間があるか数えたそうです。一流と言われる人ほど「間」が多いそうです。言い換えると、「間」を使いこなしているのです!

島田紳助はそこまで考え抜いて漫才をやっていたのです!ビートたけし同様に凄い人は非常に考え抜いています。ただ、何と無く受け狙いでやってないです。どのテンポにするのが良いのか?どのテンポなら自分たちでも受けるのか?それを考え抜いて、B&Bをパクったそうです。そして、ダウンタウンが非常にゆっくりしたテンポでやるのを見て、自分の時代は終わったとMCなど他の場に移動したそうです。

さて、「間」は下手に使うと「断られる」魔になってしまいます。商談の初期で不用意な「間」が「魔」になるのです。

「おはよう」には「おはよう」ですよね?

「おはよう」に対して「バナナ好き」だとおかしいです。

どういうことかというと、人間は最後の言葉に反応します。だから、「今お使いの電話機の件で順番に回っていたんですけど」で間を開けると、「要らない」と言われ易いのです。

それを、「今お使いの電話機の件で順番に回っていたんですけど外線は何番まで使えますか?」まで言うと、「3番」とか答える確率が上がるのです。「要らない」というお客さんは、「バナナ好き」と言ってるような人です。「何番」には、「1番」とか「2番」とか答えるのが普通なんです!

これは、営業を初めて2ヵ月目に気づいたことです。「間」を意識し始めた最初の気付きでした。「人間って面白い!言葉に反応するんだなぁ~」って気付いた訳です。言い換えると、言葉を練って話すことで、相手(お客)の反応を限定できます。つまり、シナリオを練り込むと、思い通りに商談を進めることが出来るということなんです。

「間」が「魔」にならないように、商談の初期は、質問系で終わるようにして、しかも、お客様にYESを言わすようにシナリオを作成します。

飛び込んで、NTTの電話機をご利用なら、「こちらでもNTTの電話機をご利用頂いてますよね?」と質問して間を開けます。すると、「そうです」というYESが返ってきます。まあ、当たり前の話です。

また、目で見て、ビジネスホンなら、「こちらの電話機も1番とか2番とか外線ボタンが付いてますよね?」と質問して間を開けます。これも、「そうです」というYESが返ってきます。これまた、当たり前の話ですが意図的にYESを取っているのです。

このようにして、YESを積み重ねるとなぜか?大きなYESつまり契約に行きやすいです。これは、経験の中で編み出したものですが、マーケティングの世界では、「イエスセット」と呼ばれています。「パクりやがったな!」って感じですが、現場で私自身が編み出した技の一つ一つが、マーケティングを学ぶとノウハウとして提供されています。やっぱり俺は天才か?って思ったりします(笑)。

少し横道にそれますが、YES・BUT法はダメです!たぶん、アメリカ人はそれでいいかも知れませんが、日本人は非常に嫌いますから要注意です。YESで受けるのはOKです。ただ、BUTで返すのはNGです。非常に嫌われます。

私の場合は、YESで受けたら笑って誤魔化して他の話しに振ります。BUTで返したらほぼ失敗します。肯定して否定する訳ですから、日本人には受け入れがたいです。そこをそれ以上押す必要が無ければ、話題を変えるのが一番です。もしくは、笑って誤魔化しましょう!

相手のNOを打ち消すのって非常に難しいです。YES・BUT法の場合は、言い合いになる可能性が高くてまあダメです。その場で無理にNOを消そうとするのではなく、他の話題でYESを取る。そういう対応をした方が商談がまとまり易いです。

YES・IF・BUTだ!って書いている人もいますが、「そうですね、もし○○なら、○○ですよねぇ」って、文章上は行けそうな気がするかもしれませんが、実際の商談では、よっぽど話が上手い人じゃないと失敗します。

基本、「YESで受ける」部分だけでいいでしょう。

ただし、何でもかんでもYESで受けたらダメですよ!実際、この前も営業同行中にYESで受けて撃沈したのを目撃しました。商談は教育なので、間違った解釈をお客様がしている場合は、そのままYESで受けるのではなく、バッサリ全否定します。笑いながら、「よくそういう勘違いをされている人が多いんですが、実は、○○」と、バッサリやって聞く体制に持って行かないとダメなんです。結構、相手のNOを打ち消すのって難しいです。

話を戻します。

「間」の重要度が最も高いのは、「考えてもらう」ということです。「間」を与えると、人間は何か言わなければと、頭の中でいろいろ考えるものです。商談は教育という話しをしましたが、教育をする場合も、「間」が非常に重要です。

「頭の中を整理する」「イメージを浮かべる」などは、間があるから出来るのです。

教師でも一人で延々と話し続けるのがいますが、この場合、生徒はまるで頭に入りません!適度な間が非常に重要なんです!上手い噺家さんは、間が絶妙です。お客さんの頭の中のイメージを理解しながら、話を続けていく感覚で話しを進めている。

イメージを描かせるためには、間が無いとイメージが浮かばないのです。

お客様に考えさせる。お客様を教育する時に、「間」が非常に重要なんです!

2. クロージング

次がクロージングです。以前もお話ししましたが、クロージングを全くしないというか、意識していない営業マンが多過ぎです。営業を全く理解していない証拠だと言えます。

営業と言うのは、契約というゴールに向けての会話です。ゴールに向かわないと意味が無いのです。ゴールに向かわせるために必要なのがクロージングです。クロージングを行わないと、契約というゴールには向かいようが無いのです!

5月に、クロージングに関しては詳しくお話ししましたが、ここでは重要な部分だけをお話しします。

商談が普通の会話と最も大きく違うのは、クロージングを挟むか挟まないかの違いだと言えます。クロージングを挟むことで、契約というゴールに会話を誘導することが出来るのです。

どういうことかというと、普通の会話の場合は、目的が無いです。それに対して商談の場合は、契約という明確な目的があります。その目的を達成するための会話です。だから、普通の会話とは違う話し方が必要になるのです。

クロージングは商談の初期から組み込む必要があります。多くの営業マンが、クロージングを意識していないと言いましたが、大体は値段を提示してどうですか?ぐらいです。まあ、クロージングと言えばクロージングですが、「考えときます」という言葉を言わせるためのトークとしか思えないお粗末な商談です。

私自身がクロージングを意識するようになったのは、営業を初めて2年目です。それまでの私のクロージングは、「お願いします」だけでした。料金を最後の最後に提示して、「お願いしますよ」で契約を取っていましたが、この「お願いします」という言葉がおかしい!って思うようになり、「お願いします」を封印しました。それから、「お願いします」ではなく、他のクロージングを考えるようになり、自分でアレコレ試すようになりました。

そして、8つのクロージングを使いこなすようになりました。

1.買うと決めてかかるクロージング
   まだ買うとは言っていない時に工事日を決める

2.選択させるクロージング
   導入するなら白と黒どっちがイイですか?など選択させる

3.サービスを利用するクロージング
   今なら○○が付いて来ます!

4.急がせるクロージング
   「20日締めなので」「月内なら」

5.動きによるクロージング
   契約書を出して書き始める

6.頼み込むクロージング
   「優勝が懸かってるので、」

7.物語によるクロージング
   導入事例などを紹介する

8.料金提案のクロージング
   料金で決める!

クロージングは商談の中で何度も挟みます。基本は、YESが出たらクロージングを挟みます。

「へぇーそうなんだ!」「来週持ってきましょうか?」とか、

「いいね!」「やるなら白と黒どっちがイイですか?」とか、

テストクロージングと世間では言いますが、軽めのクロージングを挟み込んで行きます。ただ、決してテストクロージングでは無いです。だって、それで決まるケースもあるからです。一つ一つがクロージングです。

ただし、まだ料金も言ってないし、これで決めようと言う場合じゃないのをテストクロージングと言うのだと私は理解しています。こういう商談の初期に使うクロージングの場合は、半分冗談ぽく言ったりします。笑いながら言うイメージです。そして、契約と言うゴールに進んでいるのを、お客さんに自覚してもらうイメージです。このテストクロージングが重要なんです!基本は、商談の初期から意識的にクロージングを挟む必要があります。

「○○ならやらない理由は無いですもんね」とか、

「どうせやるなら早い方がイイですもんね」とか、

教育プロセスでも挟み込んで行きます。これが、ジャブのように効いて行くのです。つまり、分かり易く言うと、商品の説明をする時も、クロージングを挟むということです。

私が指導する営業紙芝居にも、クロージングを挟んであります。

「契約は当然である」

商談をする時に、このように思っていないとダメです。というか、お客様の為になる提案なら、このように考えるのが自然だと思います。その当然のことだからこそ、

「来週持ってきましょうか?」とか、

「やるなら白と黒どっちにしときますか?」と言えるのです。

そして、人間は言葉に反応します。もっと言うと、言葉でしか考えることのできない動物です。クロージングという言葉に反応して、「どうしようか?」と考え始めるのです。

実際、商談で重要なのは「考えさせる」ことなんです。お客様は、なかなか本気で考えてくれないものです。

「別に急がない」

「今じゃなくてもいい」

そう思うものです。自分から頼んだものじゃなければ、まあ、慌てる必要が無いです。それだと、契約に進まないのです。そこで、感情を刺激してすぐに考えてもらうためにクロージングを行うのです。

そして、人間は契約をする場合に2つの恐怖心を持つものです。

1.騙されるかも知れないという恐怖心

2.機会損失の恐怖心

我々営業マンが行うのは、1.を消し去って、2.で煽ることです。その為に、急がせるクロージングを活用します。 

「年末だけ!」

「クリスマスキャンペーン」

「決算大セール」 

などなど、年末年始はやり易いです!クロージングを活用できる人間は、年末年始に売上が落ちることが無く、逆に契約数が伸びます。多くの営業マンが年末年始は稼働が少なくて売上を落とします。これは、クロージングを活用していないからだと言えます。 

テンポ・間・クロージングを意識して、商談を来年は行えるようにして行ってください。 

image by: Shutterstock.com

島田安浩(営業コンサルタント)この著者の記事一覧

最初売れない営業マンだった私が、売れるようになり、日本でトップセールスに登りつめ、経営者として株式公開した。その営業ノウハウを、売れる営業の常識と売れない営業の非常識と言う観点で分かり易くまとめた。

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【著者】 島田安浩(営業コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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