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真っ暗な日本の先行き。国民が背負わされる「衰退国家で生きていく覚悟」

世界中の人々が現状の改善を望みスタートした2022年ですが、その見通しは限りなく暗いものでしかないようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、2021年を改めて振り返りつつ2022年の展望を予測。その上で、世界に不幸せしかもたらさない景気後退が今年中に起きるとの見立てを記しています。

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2021年の振り返りと2022年の見通し

p0643(2021年1月1日配信)号で予測した2021年を振り返ることにする。2021年もコロナ禍が続き、ワクチン接種率が80%弱でもオミクロン株の流行が始まろうとしている。秋には治療薬も出てきて、コロナも収まると期待したが、今後第6波に会うことになる。

しかし、オミクロン株は感染力は強いが、重症化リスクは低いとされているので、それに期待するしかない。

秋口からは、金融財政政策の正常化が始まるとしたが、これは米国で予測した通りで、12月から始まった。2022年の4月以降には利上げが始まる。中央銀行が金融引き締めになると、当然のように株価も下がることになると予測したが、この部分は2022年に先送りになっている。

中国のハイテク産業も苦しくなるという予測は当たったが、習近平の3期目に向けて、台湾統合を推し進めると、米中対決が激しくなるが、核戦争になるので、それもできないはず。

2021年は、コロナ禍に明け、コロナ禍に終わるようである。日本はワクチン接種率が高いにもかかわらず、6-12月経済成長がマイナスになるということで、株価も年後半はボックス圏後、三角持合になってしまった。

丸3年、コロナ禍が続くことになるのでしょうね。飲み薬が普及して、早くインフルエンザ級の病気になってほしいと、皆が思っているはずで、来年に期待したい。

入国管理の厳しさが2021年は問題視されて、タイの首相が日本に出稼ぎに行くのだけは、止めろと言うように、日本の移民・難民の受け入れに対する厳しさを指摘された。その上に今後、世界的に見て賃金水準も低下して、日本の魅力がなくなってくる。

このため、人口減少を食い止める移民政策が遅きに失した可能性も出てきた。難民政策も入れずに締め出しである。これでは日本は衰退するしかない。

日本の存続を確保するには、衰退でも生きていくという覚悟が必要になって来たようだ。10年先を見て政治を行うべき日本の政治家が、今日のことしか見ていないし、民衆の今の要望だけに対応した政治になっている。

長期的なビジョンが無いので、その場の状況に応じて近視眼的な判断をして、かえって行き詰まってしまう。太平洋戦争の敗戦時の状況と同じ過ちを日本の政治家はしている。それを改めようという評論家も、このコラム以外に加谷珪一氏しかいない。世論状況も、太平洋戦争時と同じ状況になっている。

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2022年以降の展望

暗い予想になるが、優秀で若い人は、日本離脱を考えるべき時期に来たようである。このまま、今の一般民衆の要望に対応した政治では、日本の将来が犠牲になっている。

優秀な人たちは日本を離れ、世界で活躍してほしい。日本に残る人たちは、貧しくともそれなりに幸せな人生を送るために日本の構造を変えていくことが必要になっている。それを言い始めないと将来をつぶされていく。若い人たちが言わないといけない。

超円安になりインフレが厳しくなるし、米国の利上げで世界経済は景気減速の方向になるし、年前半はまだ、今までの金融相場の余韻があるのでよいが、年後半、米国の利上げ開始で、業績相場となる期待はあるが、そうならないと流動性危機が起き、株の暴落にもなる。

ここで、米国は利上げを中止して、量的緩和に戻るなら、株価は安定するが、まだ利益を出していないハイテク企業の倒産が続くことになる。メタバースなどを期待して、新興企業の株を推奨している投資評論家がいるが、危ない。

景気後退は、日本にも押し寄せてくる。日本企業は日本を離れ、世界で勝負する必要になる。このため、M&Aを盛んに行うはずである。しかも、倒産が増えて、買収費用が安くなる。このため、日本市場より海外市場の方がビジネスの中心になる企業が多くなる。

地方の企業も東京進出ではなく、世界に出てビジネスをしないと、縮小する日本市場を狙っても、大きな成果は出ない。このため、パリやニューヨークに出ていくことになる。しかし、早くしないと景気後退期になるので、2022年の早い時期に出ていってほしいですね。

日本国内は、景気後退でインバウンドがコロナ後も以前のような活況にはならず、旅行・観光業界はコロナ後でも大変なことになる。

コロナ時期は補助金があったが、コロナ後はそれもなくなる。このため、地方の働き口が観光から農業や林業になってくる。そのためには、耕作放棄地の再耕地化が必要になる。企業の農業進出を促進して、業務スーパーのような縦方向の統合化が必要になる。

または、農産物の産直などであろう。安い農産物を直接消費者に届ける仕組みを作るしかない。規格外果実・野菜を安く売る企業が出てくる。これにより、国産が高いから安いに代わることである。その上に、海外産が円安で高くなるからだ。

もう1つの柱が、リユースである。古着、古家電、古家のリニューアルなど、バリエーションはいくらでもある。この整備であるが、ここは企業が進出して、大きな利益を得る方向になる。もう1つが、修理業の台頭であろう。日本では作らないAV機器や家電が高くなり、長く使う方向になり、修理が重要になる。

最後にエネルギーであるが、再生可能エネルギーの台頭が必要である。石油資源開発はされなくなり、原油価格が上昇する。自動車もEVが主流になり、石油が主エネルギー源ではなくなる。

石油が高くなると、材料も変化する。プラスチックからリグニンやセルロース・ナノファイバーなどに変化する。この原料は木材であり、木材の価値が上がってくるはず。山林の価値も上がる。遺伝子組み換えでの促成樹木の開発が盛んになる。

ここまでは、SDGsの推進ともいえるので、日本も推進していると言えるが、本当は日本全体が貧困化したからである。

もう1つ、2022年を決定するのがコロナ禍である。オミクロン株の第6波は、1月1日で79人と増加しているので、2月から大変なことになるかもしれない。しかし、重症化リスクは低いので、100万人感染でも、死者数は100人程度であろう。風邪でも高齢者は死ぬから、それと同じ程度はありえる。

3月にはオミクロン対応のワクチンができ、8月には収まる可能性がある。飲み薬も複数出て、コロナ禍は収束に向かうのであろう。コロナ禍は、丸3年で収束する可能性が高い。

しかし、オミクロン株流行で、デルタ株と同様な経済自粛をされると、累積効果が出て、倒産する企業がデルタ株の時期より多くなるし、特に観光業の大企業でも耐えることができなくなるし、死者数で同様なインフルエンザ級の風邪でも経済自粛しないといけないことになる。ナンセンスなことだ。今後は、重症化が少ないなら、経済優先でいくしかない。経済自粛が好きな岸田政権と国民世論が心配だ。

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もう1つ、2022年は参議院選挙があり、そこで自民党が勝つと、金融所得課税の議論が出てくる。もし、下限資産額以下にも課税するとなると、株価は大きく落ちることになる。1億円以上の高所得者に限定しないと危ない。今の株価を支えているのは、個人投資家であり、その個人投資家を株式市場から離脱させてはいけない。

もう1つ、米国の中間選挙が11月に始まる。ここで民主党が負けると、レームダックになり、以後の経済対策はできなくなる。景気後退期に、対応策を打てないことになり、世界景気は下降することになる。

米中対立は継続する。中露対欧米日の対立も激しくなる。米中圏の経済分離も進むはず。このため、中国の経済も2021年にピークを打った可能性が高い。2022年は、米国経済が下降すると、中国経済も下降することになる。しかし、中国軍の装備・兵員は拡大して、軍事費の予算に占める割合が高くなる。

軍事費の割合が高まり、それを賄うために、増税が必要になる。土地切り売りで得た資金もなくなっているので、地方も国も資金がなくなってきている。このため、IT企業、富裕層の税金が高額になり、中国企業の価値は、その上にNY市場から締め出されてしまい下降してくる。

そして、コロナで庶民に金をバラまいていないために、中小企業の倒産が増えているはず。その上に不動産業界を締め上げたことで、関連業界の業績も落ちている。この影響は大きいし、そのため、利下げもして、不動産業界を政府管理にして、工事を続けさすようである。

その資金も必要になり、益々、IT業界や富裕層からの税金を上げるしかないようだ。

ロシアは、将来、天然ガス・石油産業が再生可能エネルギーの電気に負けることを見越して、その代わりの産業として、欧米日の企業を誘致して、経済を維持しないといけないはず。

しかし、ウクライナ侵攻をすると、その芽がなくなる。北方領土返還交渉もできない憲法改正で、日本企業誘致もできなくなってしまった。このため、ロシアの未来も暗いものになっている。ロシアは交渉前に、交渉をつぶすことが好きである。経済的合理性がないような気がする。

このため、中露は、世界を脅して未来を作ろうとしているが、それはうまくいかない。特に中国というより、ロシアが主導して、世界を混乱に陥れて、戦争になる可能性もある。欧州との戦争では核戦争になりかねないし、SWIFTの利用禁止はロシア経済を破壊するので、ウクライナ侵攻は回避すると思われるが、この代わりとして、中東での戦争になるような気がする。

ロシアの石油と天然ガスのパイプラインが暗礁資産になる前に、最大限の利益を生もうとして、中東の石油・天然ガスをロシア経由にさせる必要があり、プーチンの焦りがある。

戦争になるのは2022年ではないが、近い将来に起きると見える。

世界の景気が下降すると、碌なことはない。その景気後退が起きるのが2022年のような気がする。

さあ、どうなりますか?

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image by: Kekyalyaynen / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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