岸田首相の「優柔不断」が丁度いい。絶対的な正解などない米中対立

 

2.隠していたものが明らかになる

コロナ禍はグローバリズムを終了させた。本来、グローバリズムは、世界が共通の価値観を持たなければ成立しない。例えば、平気で技術を盗むような国とは自由貿易はできない。中国人は日本に自由に入ってきて、自由な行動をするのに、日本人が中国で様々な制限を受けるのはアンフェアだ。日中関係のみならず、海外との関係では相互主義を原則にするべきだと思う。

コロナ禍は中国の野心をあぶり出した。中国政府は改革開放を唱えたが、開放はしても改革はしなかった。世界を共産主義で支配するという野心を捨てていなかったのだ。

前回の大統領選挙以降、米国の分断も明らかになった。

そして、コロナ禍は日本の政治や行政の実態も明らかにした。行政は縦割りであり、前例主義であり、省益中心に動いている。それは緊急事態でも変わらない。

政治家は選挙と政局しか考えていない。そして、パフォーマンスが先行し、国民をコントロールしたがっている。そして、現場対応力が貧弱である。

世界のあらゆる国や地域で、それまで隠されてきたことは明らかになってきた。これはインターネットの効果といえるだろう。

これまで政治や経済について語るのは一部の政治家や評論家、専門家だけだった。しかし、今は一般市民が専門家と同様の情報を持ち、発言できるようになった。従って、政府やマスコミが簡単には騙せない。

その中で、大手マスコミやメガテックは、あからさまに言論弾圧を行っている。考えてみれば、昔から出版禁止、放送禁止に指定されるコンテンツは存在した。言論の自由は法的に認められていたが、それはメディアをコントロールできるという前提があったからかもしれない。かつて一部の作家やアーティストが味わった検閲を、現在では一般の市民が味わうようになったのだ。

今後も真実の追求は収まらないだろう。そして、隠していたものが表面に出てくる。もし、既存のメディアしか見ない人がいれば、ネットを見ている人との情報格差は益々拡大するに違いない。そして、新たな分断が起きるのだ。

3.ビジネスより大切なもの

学生は勉強について語り、社会人は仕事について語る。政治家は政治について語り、経済評論家は経済について語る。これが今までの常識だ。

もちろん、家庭でテレビを見ながら、政治について文句を言ったり、経済について嘆くこともあっただろう。しかし、それが公開されることはなかった。

しかし、インターネットの出現により、誰もが発言できるようになった。そして、学生、社会人という境界も曖昧になった。

一人の人間が生きていく上では、社会のことも経済のことも人権や環境のことも考えなければならない。しかし、それはあくまで建前だった。

社会には役割分担があるのだから、経営者は会社の利益だけを考えていればいい。人権や環境のことは政治家に任せておけばいい。そんなコロナ以前の常識は、通用しなくなっている。

経営を考えて安価で品質の良い新疆綿を使っていたユニクロが、「人権より商売の方が大切なのか」と責められている。しかし、多くの量販店や専門店も新疆綿を使っている。多分、大多数の経営者は「自分の役割は人権より経営を優先すること」と思っているだろう。

しかし、最も人権より金儲けを優先しているのは、中国政府や中国企業である。外国から技術を盗むことは悪いと思っていないし、盗んだ技術をいち早く特許申請し、それで資金調達して日本企業を買収することもある。買収時に下請けや社員の雇用は守ると約束しても、買収してしまえば関係ない。とにかく、金を儲けた方が偉いという価値観を持っているのだ。

しかし、今後は中国経済が急速に悪化するだろう。そして、中国進出した日本企業の業績も悪化するだろう。中国企業に投資していたソフトバンクグループも中国投資を見直している。

欧米各国が人権や環境のことを強調するのは、経済的利益より優先する問題があるという意志表示である。そして、中国を切り離し、制裁を加える根拠でもある。

金儲けより重要なことがある。コストを下げれば良いというものでもないし、会社に利益を残せば良いというものでもない。企業も個人も社会の一員であり、社会に貢献する義務があるのだ。

これが理解できない企業はブラック企業として糾弾されることになるだろう。既存企業はビジョンの見直しを余儀なくされ、それができない企業は淘汰され、世代交代が起きるに違いない。

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