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4.ローカルに生きるライフスタイル

日本にとって、中国生産は大量生産大量消費を維持することが目的だった。ある意味で中国の工場は20世紀型工場である。そして、世界的な供給過剰に陥り、原材料やエネルギー費の高騰を招いている。

21世紀型の工場は、市場に直結し、無駄を排除した少量生産になるだろう。本格的にロボティクスが発展すれば、無人に近い工場でオーダーメイド生産が行えるようになる。そうなれば人件費の違いは関係なくなる。

大量の商品を中国から輸入するには物流が必要になる。化石燃料の消費とCO2排出も起きる。

店頭販売からネット販売に移行するだけで、店頭在庫は削減される。そこに、クラウドファンディング的な前払い制度や注文生産が普及すれば、生産数量は更に絞れる。

国内生産で完結し、工場の電力に小水力発電や木質バイオマス発電、小型原発を使い、運送トラックが水素エンジンや燃料電池で動けばCO2も排出しない。

需給バランスを調整すれば無駄な資源も使わないし、廃棄も減少することが可能になる。

食料品は勿論、あらゆる生活用品の地産地消が進めば、地方に雇用も生まれ、人口も拡散し、環境に優しい社会が誕生する。

更に、地域経済が地域電子通貨で回るようになれば、為替や相場等の影響も受けにくくなる。

ある意味で、鎖国的な政策のようにも見えるが、貿易や渡航の制限をしようというものではない。あるべき消費と生産、エネルギーと環境の問題を追求した結果として、地域で独立した経済圏、生活圏、通貨圏を形成しようという試みである。

グローバリズムは貧富の格差を拡大し、大量生産と大量廃棄を生じさせ、環境を破壊する。ローカリズムこそ、格差を是正し、資源の枯渇を防ぎ、ゴミを減らし、環境を守ることにつながる。そして、産業政策だけでなく、ライフスタイルもまた、地域密着型コミュニティを基本にした生活になるべきではないか。

編集後記「締めの都々逸」

「新年明けたら コロナを丸め 虎に食わせて 忘れたい」

大きなことを考えてたら、小さなことを考える。そういうクセがついていると、大きな疑問を自分なりに整理しないと、何も発言できなくなります。

ということで、今年以降のことを考えながら、まとめてみました。

単純な二元論ではどんな問題も解決しない時代だと思っています。世の中、複雑系です。でも、複雑系はややこしい。ややこしいことを聞くのは面倒くさい。だから、白黒はっきりしましょうよ、という世論が多いのですが、それでは問題は解決しないと思うのです。

ということで、ややこしいことを発言していこうと思っています。今年も、よろしく。(坂口昌章)

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