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「コロナ禍は今年中に収束」と断言する長尾和宏医師はオミクロン株をどう見るか

現在のところ重症化リスクは低いとされるものの、世界で猛威を振るうオミクロン株。日本政府もブースター接種の前倒しを発表するなどその対策に追われていますが、コロナ禍が明けるのはいつのことになるのでしょうか。今回のメルマガ『長尾和宏の「痛くない死に方」』では、現役医師として数多くのコロナ患者を診察し続けている長尾先生が、読者からの質問に答える形でコロナの収束時期やオミクロン株出現の意味について言及。さらにコロナの「指定感染症2類」扱いの維持については、「国家の自殺」との厳しい見方を示しています。

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長尾和宏の死のQ&Aコーナー 2022年の医療はどうなる?コロナは?~長尾の大予想~

質問 コロナの流行は今年、収束しますか?拡大しますか?

お答え

今年中に収束するでしょう。僕の思考のなかではパンデミックは終わっています。

弱毒性のオミクロン株の出現は、「このくらいにしといたるわ!」という合図だと僕は受け止めています。ウイルス側から見ればこれで人と共存できるわけです。

ただワクチンを打ち続けるとMRSAなどの耐性菌ではありませんが、さらなる変異ウイルスが登場する可能性があります。ああ、フランスではさらに変異したコロナが報告されていますね。だから、今後のブースター接種の状況で収束時期はかなり異なってくるのでしょう。

質問 今年、コロナは指定感染症2類から5類に変わりますか?

お答え

先日、安倍元総理が「5類」という言葉を口にした途端、『バイキング』にて司会の坂上氏が強く否定しました。また昨年の僕と橋下徹氏とMBSテレビのバトルを観て頂いても、5類にするだけですべてが氷解することが理解できない人が大半いることがわかります。僕の知る限り、有名人で理解しているのは、安倍氏、ブラマヨの吉田氏、木村もりよ氏くらいでしょうか。あ、先の『朝まで生テレビ!』を見る限りでは、三浦瑠麗さんもかなあ。

もはや、コロナが2類相当であることは「日本が自分で自分の首を絞めている」だけであり、何もいい事がありません。

しかし、大晦日に放送された『朝まで生テレビ!』で上さんが仰った「隔離される権利」という発言には、驚きました。

このまま2類を突き進むのならば、もはや国家の自殺です。政治家がこれが分かるまでには、もう少し時間がかかりそうです。僕は、明日にでも5類にするだけで日本経済は10兆円規模で得をすると思いますが、竹中さんさえ、それをわかっていないようです。

みんなまたもやメディアに煽られて、パニック状態なので無理でしょうね。

日本は1億総パニック状態。自殺者は今年も増え続けるでしょう。

第6波が鎮静化した3月末になるのではないかと予想しています。

専門家は2024年と言っていますが……いくらなんでも遅すぎます。

質問 ワクチンは3回が強制になりますか?パスポートは?

お答え

日本においては強制にならない、またワクチンパスポートは、国内では実質的に機能しないと思います。なぜなら、国がワクチンの効果に、内心は及び腰というか、自信を持っていないように見えるからです。

ワクチンによる死者や後遺症を認めていませんから、その状態で3回目の強制はないでしょう。

多様な価値観をある程度許せる国であると信じています。いや、信じたい。ただし、今日のブログに書きましたが、ドイツのようにならないように市民が監視する必要があります。

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質問 医療界全体は、どういう動きになりますか?

お答え

アフターコロナとともに、医療界は大編成の時代に突入します。

今まで、限られたパイを奪い合ってきましたが、その原資(社会保障費)が枯渇するので、医療機関の倒産やM&Aの時代に入ります。つまり、どうでもいい病院や診療所は淘汰されていくでしょう。しかし、地域にとって必要な医療資源はすごく伸びます。

要は、40年間のバブルが弾けて本来あるべき姿に近づきはじめます。

地域医療構想を推し進めてきた厚労省と財務省はコロナちゃんに感謝しているでしょう。

これは、今年~来年あたりが大きな転換点になります。医者はさらに二分化するでしょう。

質問 在宅お看取りは増えますか?減りますか?

お答え

これは、まちがいなく増えます。コロナがすでに後押ししています。

今後20年間で在宅看取り数は倍増すると想像します。いや、それ以上かな。終末期は、自宅などの病院以外の場所で過ごす、ということをコロナ禍で多くの市民が理解しはじめました。

質問 尊厳死議論は進みますか?

お答え

これも、まちがいなく進みます。思えばこの10年間、リビングウイルをめぐる法的担保の議論は牛歩の歩みでしたが、「尊厳死、平穏死、自然死」という考えがジワジワと広がっていると感じます。『痛くない死に方』『けったいな町医者』の映画の舞台挨拶で全国行脚していると、肌で感じます。コロナが終われば、国会においても終末期議論は再開されるでしょう。

ただし、「リビングウイル」ではなく「人生会議」と名前を変えるかもしれません。

人生会議が法的担保として議論される(まだ一度もされていませんが)ような気がしています。

質問 認知症医療はどのような方向に?

お答え

「忌み嫌う特殊な病気」から、「老化だから仕方がない」という認識に徐々に世間の受け止めかたが変わってくるでしょう。4種類の抗認知症薬は、もう特許が切れるので、処方量は増えることはないでしょう。当面、新薬も出てこないでしょう(これに関してはまた後日!)。

いまだに「ユマニチュード」という言葉を知らない残念な医療者が9割でしょうが、徐々に普及して、適切な認知症ケアが当たり前という医療に時間をかけて変容することでしょう。

認知症をめぐる医療は、今よりも良くなると思います。この20年間が最悪すぎました。

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質問 これから求められる医療人材はどんな人でしょうか?

お答え

偏差値ではなく人間力が求められます。と申し上げても分かりにくいですかね。

平たく言うならば、優しく、努力家で、人間好きな人です。偏差値は55でいいでしょう。

性別はもちろん多様性の尊重も大切だと思います。

個人的には、自衛隊(防衛医大)ではありませんが、入試に体力測定が必要だと思います。

高校野球やラグビーで実績のある人などの「アスリート枠」を医学部にも設けたほうがいいと思います。とにかく、お勉強ばかりしすぎて、体力とコミュニケーション力という、本来医者に一番必要なものを持ち合わせていない若い臨床医が増えてしまい、不安です。

偏差値だけで医学部入学者を決める仕組みは変えるべきです。

質問 長尾先生が今年注目している人物は?テーマは?

お答え

……思いつくまま若い人のお顔を思い出して挙げてみましょうか。

ファストドクターの菊池医師、プライマリケア連合学会の草場医師、在宅医療で有名な、悠翔会の佐々木医師あたりでしょうか。皆さん既に有名人ですよね。

テーマは、それぞれ救急医療、総合診療、在宅医療、です。

医療界も大胆なイノベーションが必要ですが、医学会や医師会は年功序列なので、自らはできません。若い力が医療のカタチを大きく変える、と思います。

変えないと、もう日本の医療はもちません。アメリカや中国に奪われます。

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image by: beeboys / Shutterstock.com

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町医者、「長尾クリニック」名誉院長。1958年香川県生まれ。高校時代に実の父親が自死をしたことをきっかけに医者を目指すことを決意し、苦学して東京医科大学に入学。学生時代に無医地区活動に邁進したことから、地域医療に目覚める。1984年、大阪大学第二内科入局。1995年、尼崎に「長尾クリニック」を開業。町医者という名前に誇りを持ち、外来と在宅医療に邁進。『平穏死10の条件』『痛くない死に方』等ベストセラー多数。

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