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Cracked soil a destruction of rice crop due to drought and lack of rain due to deforestation and global warming. With rice plants trying to survive.

トンガ噴火で想起される世界的な食糧危機。“令和の米騒動”は起きるのか

日本時間15日13時ごろに巨大噴火を起こした、トンガ王国付近の海底火山「フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山」。依然として被害の全容はつかめていませんが、メルマガ『富田隆のお気楽心理学』の著者で心理学者の富田隆さんはある過去の出来事を回想。不安な胸のうちを語っています。

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食糧危機の襲来

今回、私の耳には「物騒な」事件ばかりが聞こえて来ます。つい先日も八王子の教育委員会から情報提供がありました。

「1月14日(金)午後5時14分に、東京都立大学を爆破する」というメールが八王子市役所宛に配信された、というのです。万一に備え、市内の高校や中学校でも警戒態勢に入りました。おそらく、「大学入学共通テスト」の妨害を狙った犯行予告だったと思われます。

幸い、都立大の爆破は実行されませんでしたが、翌、15日(土)、同じように「大学入学共通テスト」が実施された東京大学の近辺では、17歳の高校生が受験生二人を含む3人を刃物で襲う事件が発生しました。

殺人未遂の容疑で逮捕された名古屋在住の高校2年生(17歳)は、付近の地下鉄の駅や車両内でも放火事件や可燃性の液体を撒く事件を起こしていたことを自供しており、「医者になるため東大を目指していたが、一年前から成績が上がらず、自信を無くしていた」「医者になれないなら自殺しよう、人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」と話しているそうです。

最近、個人的な問題から生じた悩みや葛藤を、社会一般への怨念や憎悪に転化させ、無差別のテロリズムを企(くわだ)て、自滅的な犯罪へと突き進む事件が目立ちます。

昨年12月にも大阪市内の心療内科にガソリンを撒き放火した事件がありました。20数名もの犠牲者が出たのは記憶に新しいところです。

そして、こうした犯罪者の多くが、直接的な無差別の殺傷に加えて、同時に「放火」などを試みていることもまた特徴的です。

何か「大きな」事件を引き起こしたいという「自己顕示」的な動機に加えて、社会の「注目」を集めたいという「自己主張」的な動機が「放火」や「爆破」といった派手な手口に犯人を駆り立てると言えるでしょう。

SNSやYouTube などを活用した「上手な(というよりは適応的な)」自己主張や自己顕示の出来ない(あるいは苦手な)若者にとって、こうした「無差別のテロリズム」が「自己表現」の「手段のひとつ」となるのも、現代社会に特有な病理の一種と言えるでしょう。

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こうした社会的な問題に加え、15日(土)には、とんでもない「自然災害」のニュースが飛び込んで来ました。同日の13時10分頃、南太平洋トンガ王国の火山島「フンガ・トンガ」付近で大規模な海底火山の噴火が発生したのです。

火山から噴き出た灰色の噴煙は2万メートルの上空にまで達し、日光が遮(さえぎ)られ、付近では真昼にもかかわらず薄暗くなったということです。火山噴火の爆発音は、約2400キロほど彼方のニュージーランドでも聞こえたと言いますから、その噴火の規模の大きさが分かります。

ちなみに、8000キロほど離れた日本や1万キロ以上離れた米国アラスカ州でも、噴火の衝撃波「空震」(気圧の急激な変化)を観測しています。

ネット上には、気象衛星「ひまわり」などが宇宙から撮影した噴火時の映像が出回っています。これをご覧になると、今回のフンガ・トンガ島の噴火が如何に大規模で異様なものかが分るでしょう。

通常の規模の火山の噴火(たとえば、昨年8月に噴火して大量の軽石を吹き出し、それらが沖縄などに漂着した小笠原諸島「福徳岡ノ場」の噴火)では、火口から吐き出された噴煙が風に流され、まるで煙突などから出た煙のように白く長く尾を引いている映像が撮影されています。

ところが、今回のフンガ・トンガ島の噴火の場合は、濃い灰色の噴煙が同心円状に膨らみ、瞬く間に海上を覆ってしまいました。

直径が520キロ(東京・大阪間が約540キロ)にもなる噴煙の「傘」(関東地方をすっぽり覆ってしまう大きさです)は宇宙から見るとまるで「巨大な葉牡丹(はぼたん)」といった様相を呈しています。

また、この噴火による津波(通常の津波とは違うようですが一応「津波」と呼ぶことにします)は太平洋周辺の一帯に押し寄せ、日本やアメリカ大陸でも被害を出しています。

日本では、16日(日)に日付が変わった深夜から早朝にかけて、各地に津波が到達しました。津波の高さは1メートル強か、それ以下のものでしたが、独特なうねりを伴っていたためか、四国や九州などでは何十隻もの船が転覆したり沈没する被害が出ています。

この津波に関するニュースは、16日の朝、ずっと地上波テレビで流れていました。

「少し大騒ぎし過ぎではないか」と感じた方も少なくなかったとは思いますが、これまで人類が体験した津波は、ほぼ全てが「地震」を原因とするものであり、1960年に日本で大きな被害と多数の犠牲者を出した「チリ津波」も、南米のチリ海溝で発生したマグニチュード9.5の巨大地震が原因でした。

ところが、今回の津波の原因は「海底火山の噴火」によるもので、そうした種類の津波は気象庁にとっても専門の研究家にとっても「初めて」と言っても良いものだったからです。

実際、津波の高さはそれほどでもなかったにもかかわらず、予想外の被害が日本や米国、南米各国でも報告されています。

そのようなわけで、「1000年に一度の噴火」と驚きを隠さない専門家もいます。問題はこの噴火が今後、地球環境全体に及ぼす影響の大きさです。

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私も、今回の噴火ですぐに思い出したのは、1991年に発生した「平成の米騒動」でした。1991年の日本は記録的な「冷夏」に見舞われ、全国的な「コメの不作」が発生したのです。

政府は備蓄米を放出しましたが、それでも足らず、タイやアメリカなどから米を輸入する事態となり、スーパーや米穀店には買い物客が長蛇の列を作りました。

考えることは皆同じで、現在、SNSなどネット上には「平成の米騒動」や「令和の米騒動」といった文字が飛び交い、食糧不足を心配する記事がアップされています。

この91年に起きた「冷夏」を引き起こしたのが、それに先立つ、フィリピン「ピナツボ火山」の大噴火でした。1991年6月7日に発生した「ピナツボ火山」の大噴火は400年ぶりといわれる大きなもので、「20世紀最大の噴火」と言われました。

ピナツボ山は断続的に大噴火を繰り返し、800名以上が犠牲となりました。被害は甚大でした。

ピナツボ山から40キロほど東に位置するアメリカのクラーク海軍基地、及び、南西75キロに位置するスービック海軍基地という重要な米軍基地が、この噴火の影響により使用不能となり「放棄」されてしまったほどです。

噴煙は1万9000メートルに達し、大量の「硫酸エアロゾル(マイクロメーターサイズの主に硫酸から成る微粒子)」と粉塵が成層圏に撒き散らされました。

これらは、1年をかけて、大気圏全体に拡散し、太陽光線を遮(さえぎ)り、北半球で0.5から0.6度、地球全体で0.4度、平均気温を押し下げたのです。

これが、日本でも「冷夏」を引き起こし、米の不作の原因となり、「平成の米騒動」が起きました。貴方も、あの時食べたタイ米のぱさぱさした味を思い出したのではないでしょうか。

今回の「フンガ・トンガ火山の大噴火」が、一時的な寒冷化を引き起こし、「令和の米騒動」が起きるのではないかと心配するのも無理からぬことです。

しかし一方で、今回の場合は、91年のピナツボ山の様にはならないのではないか、という予測も出始めました。

日本の稲作に関して言えば、第一に、その後、米の品種改良が進み、冷害に強い品種が増えたこと。

第二に、フンガ・トンガ島が南半球にあり、北半球への影響が少ない、あるいは遅れる可能性があるということ。

第三に、ピナツボ山の噴火に比べ、今回のフンガ・トンガ火山の方が噴出物の量が少ないこと、などが理由として挙げられています。

最後の、噴出物や「エアロゾルの噴出量」については、今のところの大雑把な観測に基づくものであり、今後も同様の大噴火が起こらないという保証はありませんので、これからどうなるかは不透明です。

詳しい観測データを待つ必要もあります。トンガとの通信が途絶していることもあり、現地の被害状況すら分からないのが現状です。(何より、トンガ王国への援助活動を最優先して、日本も積極的に実行すべきです)

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ただ、「今のところ」、日本の今年の稲作については、91年ほど深刻な冷害にはならずに済むのではないか、という希望的予測が私の中でも有力です。

田植えの時期までは数か月の余裕があり、対策を立てる時間もあります。「令和の米騒動」は避けられるかもしれません。

しかし、視点を拡げて、全世界的な規模での食糧生産というレベルで考えると、楽観はできません。「世界的な食糧危機」が襲来する可能性は高いと言えるでしょう。

アフリカもオーストラリアも南米も、みな南半球にあります。今、彼の地は「夏」の真っ最中です。これから秋にかけて、これらの地域の日照が火山性のエアロゾルにより遮られるとどうなるでしょうか。

それは気温の低下を招くだけではなく、海水温の低下、さらには干ばつや豪雨といった異常気象の原因になるかもしれません。控え目に言っても、食糧の「減産」は覚悟するべきでしょう。

これに、人為的なマイナス要因までもが加わります。戦争の準備を進める中共は、昨年の内に、既に世界中の穀物をあらかた買い占めてしまいました。

他方、世界の証券や株式、土地などを買い占めようと画策する一部の金融資本家組織は、昨年来、世界中の物流を混乱に陥れることでインフレを演出して危機を創り出し、大恐慌を引き起こそうとしています。

こうして創り出された物流や生産の混乱は予想を超え、彼ら自身も制御できない状態に陥っているように見えます。

「世界的な食糧危機」が迫りつつあるのは確かなことの様に思えませんか?

一昨年来の「コロナ騒動」や「ワクチンの強制」、絶え間なく引き起こされる地域紛争、特定民族を狙った計画的なジェノサイド、「人口削減計画」、等々、人の世に大きな「乱れ」が生ずると、まるでそれに呼応するかのように、自然界にもまた「異変」が生じるのです。

地震が多発し、巨大な嵐や竜巻、豪雨、豪雪などが頻発し、火山までもが噴火を繰り返します。昔の人なら、「天の怒り」という言葉を使ったかもしれません。

今回生じた、フンガ・トンガ火山の大噴火も、人類への強烈な「警告」ではないでしょうか。私の心配が、単なる杞憂に終わってくれることを祈る次第です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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image by: Shutterstock.com

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