「お金の貸し借りをしてはいけない」とは小学校でも教えられることですが、もちろん理由はトラブルに発展してしまうから。では、関係性が近い親しい人から貸してとお願いされた場合はどうすべきなのでしょうか。メルマガ『豊福公平の夢を叶えるハート&マネー』の著者で、外資系生命保険出身の元ライフプランナー・豊福公平さんがその線引きについて語っています。
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親しい人に「お金を貸して」といわれたら?
日本人の多くは親から「人にお金を貸すな」「保証人になるな」「借金をするな」といわれて育ってきたと思います。これはお金が元でトラブルになることが多いからです。とはいえ、親戚や義父母、または親友など親しい人から言われたら「貸さないといけない」空気になることもあります。今日は、そんな「お金の貸し借り」について考えてみましょう。
今回は、メルマガ読者の方から届いた相談に回答します。
10万円貸しても11万円戻ってくることはない
「親しい友人からお金を貸してほしいといわれました。彼は以前お世話になった人だし、今コロナ禍で仕事が大変な事情もわかります。そのため1回目は快く貸したのですが、まだ貸した額が戻ってこないうちに、もう少し貸してほしいといわれました。貸せない額ではないし、お世話になった恩もあるので貸したほうがいいのかと思いますが、正直、モヤモヤします。豊福さんだったらどう考えますか?」
借金の申し入れというのは、生きていたら誰もが1回や2回くらいは受けたことがあるかもしれません。
まず1つ言っておくと、人にお金を貸した場合、そのお金が倍とはいわなくても1割上乗せして帰ってくるようなことは、ほぼないですよね。
仮に10万円貸して、 1年後に11万円になって返ってきたとしても、その1年間はずっとモヤモヤしている と思いますよ。「本当に帰ってくるのだろうか」「帰ってこなかった場合、どう伝えたらいいのか」「そもそも貸したのではなく、あげたと思ったほうがいいのか」
そんな気持ちのまま1年間過ごすことになるでしょう。
仮に1年後に11万円になって返ってきたとしても、そんな気持ちで1年間過ごさなければいけないというのは、精神衛生上よくない ですよね。
しかも 、11万円になるどころか貸した10万円すら返ってこない ことがほとんどです。
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貸したお金を返してくれないのに「新たに貸して」
この質問をいただいた方が、どのくらい前にどんな形でいくら貸したのかはわかりません。しかし、 1回貸したお金がまったく戻ってきてない状態で、次の借金をお願いされたとなったら、それはモヤモヤして当然です。
ただ、相手との関係性もあるし、あと少しでなんとかなるのなら助けてあげたいという気持ちがあるのもわかります。
追加で貸すのか、心を鬼にして貸さないのか──。
人にお金を貸す余裕はある?無理をすると共倒れに!
まず1つ考えるべきことは、 自分にお金を貸す余裕があるかどうか ということです。
たとえば、 そのお金を貸して戻ってこなかったとしてもいざという時に自分の生活は困らないのか。
人にお金を貸してもまったく生活に困らない状態であれば、貸すという選択肢もあるでしょう。
しかし、借金を申し込まれて貸す人の中には、 「今は大丈夫だけど、十分な蓄えがあるわけではない」にもかかわらずお金を貸してしまう人がいます。
これはキケンです。というのも、 今度は自分が人に借りなければいけない状況になる可能性がある からです。
またこのメルマガ読者の方からの文面からして、「1回目は貸したけど、2回目は貸したくない」というのが本当のところなのではないでしょうか。
「貸したくないけど、義理があるから貸さなければいけないのか」 それが本音のところかもしれません。もしそうだった場合、 私は新たにお金を貸すことはおすすめしません。
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親族からの借金申し入れ、断ってもいい?
実は、私も過去に親族から借金の申し入れをされたことがあります。 親族間だと困りますよね。 子どもの頃からの付き合いがあったり、お世話になったところも大きい。義理も恩もあります。
私の場合は、どうしたかというと……貸しませんでした。
というのも、まだ 十分に資産が築けていなかったこともあり、貸す余裕がなかったんですね。
ここで「お世話になったから」といって無理して貸してしまうと、自分が倒れます。共倒れになったら元も子もないので、そこはきっちりと線引きをすることが大事。
ただ、私の弟がしんどいときに、お金を渡したことはあります。これは弟から借金の申し入れをされたわけではなく、その時私自身が弟のことを助けてあげたいと思ったからしたことです。
自分の弟だからというのもありますが、弟の性格もわかっている。さらに、弟ががんばっていることは誰よりもわかっていたわけです。
だから自分にできることはしてやりたいと思ったのです。この時は、 「お金を貸した」というよりも、「お金を渡すことで弟を助けられるんだ」という感覚でした。
弟の中で、 「兄弟とはいえ人からお金を受け取ったまま返していない」という状態は気持ちが悪かったんでしょうね。生活が安定してきたときに返してくれました。
妻に黙ってお金を貸したら夫婦喧嘩に発展!
親しい人から「お金を貸して」とわれた時に、もう1つ気をつけなければいけないことは、 奥さんがいるなど、家計をともにしている人がいる場合は、必ず相手にも相談すること。
実は、過去に私は知人にお金を貸したことがあるんです。その時「たいした額じゃないし、すぐに返してくれるだろう」という気持ちから妻に黙って貸してしまったんです。
あとでそれが妻に伝わり、夫婦げんかになりました。
私としては「自分の稼いだお金だ」という気持ちもあり、なぜわざわざそんなことに口を出されなければいけないんだ という気持ちがありました。
しかし、 妻の立場で考えてみたら「無駄遣いしないように、日々気をつけてお金を守っている」「子どもの教育費のために、少しでもお金をためておきたい」。 そんな気持ちがあったんだと思います。
その気持ちを私がくみ取らず、黙って人に貸してしまった。生活に困らないだけの貯金があれば、妻に相談しないでお金を貸してもいい、というわけではなかったんですね。
「生活に困らないだけのお金」を築けたのは、自分がお金をたくさん稼いだからというだけではなく、妻が日々お金を貯めていてくれたから でもあったのです。
そういった意味でも、お金は夫婦ふたりの財産です。相手に無断で貸すのはよくない と学びました。
もし、相談者の方が生活を共にする人がいるのであれば、相手に相談することも大切です。
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「一時的に立て替えてほしい」といわれたら……
ある人は、「事業立ち上げのために、銀行口座にお金があるように見せたいから一時的にお金を貸してもらえないか」 といわれたそうです。
「預ける期間としては1週間ほどでいい」といわれて、仕事の付き合いもあったため、相手の銀行口座にお金を振り込んだそうです。
しかし、約束の日になってもお金が返金されないことから、意を決しお金を返してほしいと伝えたそうです。ところが相手は「審査がうまく通らず、もう少し待ってほしい」という言葉を繰り返し、 結局、そのまま音信不通になってしまった ということがありました。
また、別の人は「どうしても期日までにお金を帰さなければいけないから貸してほしい」といわれて貸したものの、やはりこちらも戻ってこなかったということです。
「短期間なら大丈夫だろう」と思って人に貸すことがあると思いますが、これもやめたほうがいいです。
知り合いを助けることで家族が巻き添えに
まず、 借りるほうは「どうしても借りなければいけない理由」を作ってきます。これは故意であろうとなかろうとほぼ同じです。そういわれると、自分自身も「貸さなければいけないような気分になってしまう」ところですが、 貸さなくて困るのは相手であって、あなた自身ではありません。
あなたが困るのは、相手に貸してしまった時です。
特に扶養すべき家族がいる場合は、気を付けてください。「知り合いを助けるため」に「自分の家族を犠牲にする可能性がある」 ということを、しっかりと認識する必要があります。
「知り合いも家族も失うかもしれない」という覚悟があるか、そこまで考えることも必要です。金額にもよりますが、お金を貸すというのは、それくらい重大なことだと認識しておきましょう。
私だったら 「一時的に借金の返済を申し入れるのであれば、そもそも借金をしている相手に対して、期日までの支払額を半分にしてほしい」と伝えるべきだ と言います。
A社にお金を返すためにBさんにお金を立て替えてほしい、というのでは、なんの解決にもなっていません。いずれ共倒れするだけです。
「わざわざ共倒れしに行く必要はないだろう」 というのが、厳しいようですが、私の本音です。
次回は 『親しい人から「お金を貸して」といわれたら』(後編) について紹介します。
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