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単身人口は2.4億人。中国に新たな危機、深刻化する“おひとりさま”問題

日本では数年前から「おひとりさま」という言葉が流行りましたが、中国でも一人の生活を満喫する人たちが若い人たちを中心に増えています。しかし、単身者が急激に増加していることで、ある問題に直面しているといいます。そこで今回は、中国出身の作家・黄文葦さんが自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』でその現状を紹介。中国の今後について分析しています。

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中国でも一人様の生活様式が流行っている

日本では、「一人様」のライフスタイルが普遍であると考えられる。しかし、現在の中国でも、一人暮らし、一人食事、一人旅など、「一人様」の生活様式が増えている。「中国統計年鑑2021」によると、2020年の家族世帯数は4億9416万世帯で、そのうち「一人世帯」は1億2500万世帯以上となり、25%以上を占めるとされている。その規模は非常に大きいとみられる。

構造的に見ると、現在の中国の一人世帯は、高齢者が一人で暮らす「高齢者一人世帯」と、若い一人世帯の2つに大別される。

第7回全国人口調査によると、中国の高齢者数は2億6400万人で、2015年に行われた調査では、すでに高齢者人口に占める高齢夫婦世帯と独居老人の割合は50%を超えている。 近年、一人暮らしの高齢者がさらに増加し、若者の一人世帯化現象もさらに進んでいる。

平均寿命の伸び、世代間価値観の分化、独身主義の台頭などの変化とともに、中国では単身世帯の規模や割合が大きくなっている。しかし、社会全体としては、その割合や上昇のスピードに注意を払う必要があるだろう。

この40年ほどの間に、中国では住宅事情の改善、エゴイズムの蔓延、晩婚化、さらには未婚化が進み、急激な社会変化が起きている。このような背景から、一人暮らしの若者の数と割合はさらに増加してきた。

しかし、社会学者の中には、「一人世帯」の増加が経済や社会に新たなチャンスをもたらすと考える人もいる。単身世帯の増加に伴い、新たなニーズが生まれ、新たな商品・サービス・産業・ビジネスモデルが創出されるなど、近年、単身者向け経済が急速に発展している。

例えば、一人用の製品が人気を集めており、小型化が進んでいる。衣食住や交通など、おひとりさまのニーズに対応した商品、例えばお米100g、ウイスキー50ml、おひとりさま鍋、ミニ家電、ミニKTV…おひとりさま商品の市場機会も増えるだろう。

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今後、一人暮らしの方に特化したビジネスモデルも増えていくと予想される。 例えば、一人暮らしの高齢者に病気の見守りや安心を提供するサービスなど。家事に消極的な一人暮らしの若者や料理ができない人に対応するサービスなど。

一般的に、これまで家庭が提供していたサービスの多くは、社会的サービスに転換する必要があり、アラカルトの食事や家事代行などの需要が増え、便利さや時間にお金をかける「怠け者の経済」が普及しそうだ。

また、一人暮らしの人は心の支えを必要としており、精神的な支えになるペットなどの産業も盛んである。ペット産業は利用者にとって、家族に代わるものとして大きく成長すると思われる。また、スマート家政婦やコンパニオンロボットも有望な分野だろう。

つまり、一人様経済では、パーソナルでエクスクルーシブな質の高い消費シーンがより一般化する。フィットネスや旅行など、個人向けのさまざまな趣味のクラブも増えており、いずれも一人暮らしの若者に、家庭の外で十分なコミュニケーションと心のカタルシスを与える場となっている。

日本では、65歳以上人口のうち、単独世帯の人口は671万7,000人。65歳以上人口の「約5人に1人」が一人暮らしとなっている実態がある。

日本と中国は、同じように少子高齢化という深刻な問題に直面している。高齢者一人様の暮らしサポートは急務である。

若者の「一人様化」、一人様の生活様式が流行っていること、コロナ時代の人々のライフスタイルの変化にもつながっている。

これまで中国人は群れに慣れてきたが、近年はプライバシーや生活の質を意識して、一人暮らしを好む若者もよく出てきている。

これは中国社会の変化の証であり、この面で、国際社会の普遍的な価値観に近づくだろう。

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image by: Shutterstock.com

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在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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