安倍氏は実際のところ、片山氏が入会できるよう準備を進めているのだろうか。「安倍晋三元首相に任せている」と片山氏は楽観視するが、安倍派内には片山氏の入会に反対する声が強いという。
3月10日のデイリー新潮に、以下のような安倍派幹部のコメントが掲載されている。
「安倍派には片山さんに好感を持っていない議員もいます。安倍派に入るとなると、大モメは必至でしょう。頭の痛い問題ですが、安倍さんは一度話し合って、『派閥内には異論がありますよ』と報告しなければならないでしょうね」
自分の蒔いた種とはいえ、たしかに安倍氏は頭が痛いだろう。幹事長でなくなっても、二階氏が実力者であることに変わりはない。片山氏のことくらいで反目し合うのは得策とは思えない。エリート臭をふりまく片山氏がいかに尻尾を振ってきても、派閥のパワーゲームのなかでは、味方につける優先度は低いのではないか。
派閥の勢力図は年明けから若干の変動がみられる。岸田派に2人加入し、麻生派からは菅義偉前首相に近い4人の議員が去った。菅氏の周辺では、無派閥議員約30人からの再登板要請もあり、菅派結成への動きか活発化するかもしれない。
それでも、岸田派と麻生、茂木両派が岸田政権を支える大きな構図は変わらない。最大派閥の安倍派は今のところ、岸田首相と良好な関係を保っているように見せてはいるが、かりに参院選で自民党が負けて政局になれば、非主流の二階派や森山派などと組むことも十分考えられる。
安倍氏としては、できるだけ二階派との間にしこりを残したくないだろうし、片山氏を引き抜いたように見られたくもないのではないか。
こうしてみると、片山氏の思い通りにことが運ぶとは限らない。かりに安倍派入りの当てがはずれ、二階派からも睨まれるようなら、参院選に向けた苦しさは倍増する。まずは姿勢を低くして、吉報を待つしかなさそうである。
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