安倍派に“鞍替え”?二階氏に見切りをつけた片山さつき氏の「思惑」

 

高市氏が昨年8月、文藝春秋に「総裁選出馬宣言」を寄稿し総裁候補に名乗りをあげると、片山氏は突き動かされるように、二階派幹部を訪ね、「私も総裁選に出たい」と、20名の推薦人を集めるための派閥の協力を要請したという。

派閥は全く動いてくれず、片山氏は高市氏の推薦人に名を連ねた。安倍元首相に頼まれたからだが、そのさい片山氏は、高市支援にまわる代わりに清和会(現・安倍派)に入会させてもらう約束をとりつけたらしい。

まだ安倍派になっていない段階での口約束にすぎないのだが、片山氏は俄然その気になってゆく。

総裁選に続く衆院選で、二階派は、重鎮、河村建夫・元官房長官(山口3区)の議席を守れなかった。

岸田政権が発足し、二階氏の後任として幹事長に就いた甘利明氏は、参院から衆院山口3区に林芳正氏がくら替えするのにともない、河村氏の出馬を見送るよう要請。引きかえに、その長男、建一氏を比例で処遇するという案を提示した。

河村氏はこれを受け入れて出馬を断念したが、健一氏は比例北関東ブロックであえなく落選した。かつて、林氏のくら替え意向に対し「売られたケンカ、受けて立つ」と息まいていた二階氏の威光に陰りが見えた選挙だった。

これで片山氏の腹は決まった。自身の改選がかかる今夏の参院選。二階派にとどまって戦いにのぞむ理由はない。片山氏は12月24日、党本部で二階氏に会い、派閥からの退会を申し入れた。

だが、林幹雄氏や武田良太氏ら二階氏の側近から見ると、甚だ不遜で義理を欠く行動には違いない。

片山氏は「私ぐらいになると二階派にいるから活動できていることはない」とうそぶくが、こういった態度が反発を招くのは自明のこと。ただでさえ、親分の凋落で派内の空気が澱み、人心は荒みがちなのだ。

2月21日付で、片山氏の事務所に二階派(志帥会)から一通の封書が届いた。二階俊博氏(会長)、中曽根弘文氏、林幹雄氏(会長代行)、武田良太氏(事務総長)の連名による書面だ。

昨今の貴殿の行為は、志帥会に所属する国会議員の信用を著しく失うものであり、かつ何ら是正も見られない。よって本日付をもって退会を勧告する。

片山氏が二階氏に口頭で伝えたことは、退会届けとして受理せず、あくまで派閥が「出ていけ」と引導を渡すかたちをとったのである。

片山氏は「名誉棄損だ」と反発し、2月23日、記者たちを事務所に集めて、会見におよんだ。

「活動の自由がなく、あたかもモノのような扱いだ。私は大臣経験者として、コの字型(閣僚応接室)では偉そうに座っていたが、この派閥の役員だったことはただの一度もない。引退幹部の後継ご子息の選挙がうまくいかなかった例があり、ああ派閥はもう守れてないんだなと認識した。派閥は党の正式な組織ではない。そこまでおっしゃるのは人権侵害だし、DVに似ている」

大臣経験者の自分を二階派内で相応に扱ってくれなかったというニュアンスがくみ取れる。片山氏は派内で孤立していたのかもしれない。その一方で、片山氏が安倍事務所に足しげく通っていたという話も聞く。

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