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プーチンすら策に嵌めるか習近平。中国「ウクライナ戦争」を利用した債務の罠

国際社会の厳しい目もあり表立ってロシアの支援に動けない中国ですが、水面下ではプーチン政権に救いの手を差し伸べているようです。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』では著者でジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、中国が「民間ベース」で行なっているというロシア支援の実態を裏情報を交えリーク。しかもその援助はあくまで自国都合のもので、習近平国家主席がプーチン大統領に仕掛けた「戦争を利用した債務の罠」であるとの見方を示しています。

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緊迫するウクライナ情勢に見るロシアと中国と北朝鮮。経済制裁がもたらす将来の中国とロシア

「緊迫するウクライナ情勢に見るロシアと中国と北朝鮮」と題して話をしてきましたが、基本的にすでに2カ月たっていながら、まだ決着がついていないという感じですね。

このまま続けてもよいのですが、来月からは、こちらのメールマガジンでは、日本の防衛ということについて考えてみたいと思います。

さて今、ロシアのような国(といってもすぐにどの国か見当がついていると思いますが)が攻めてきた場合、日本はウクライナのように戦えるのかということを考えてみたいと思うのです。

もちろん、折りに触れてウクライナの事をしっかりと考えて見たいと思いますが、それを他山の石とすることなく、日本人の教訓としてしっかりと考えて見るべきではないかと思います。

そこで、今回は「経済制裁がどのような効果を出したのか」ということを考えてみましょう。

基本的に「日本が攻められた場合」も、日本人の代わりに諸外国が戦うというようなことは、あまり期待できないでしょう。

今回、ロシアのウクライナ侵攻において、ウクライナはNATOに加盟していないということで、NATOは援軍を送ることはしませんでした。

つまり、日米安全保障条約があるということで、アメリカはなんらかの条約に従った行動をとると思いますが、NATO加盟国など他の国は、日本を守る条約も法的根拠も何もないということになります。

その状況で、NATOが参戦するとは思えません。

今回見ていてわかるように、「戦う」のは「ウクライナ人」で、NATOもアメリカも物資の補給以外にはしていないということになります。

もちろん、「物資」の中には、兵器も含まれています。

では、日本の場合同じような状態で戦えるのかということを、しっかりと分析してみなければならないのです。

さて、今回は、今月の最後で、そのNATOが精一杯やっている経済制裁によって、どのような効果が、ウクライナ、ではなく日本に影響しているのかということを見てゆきましょう。

経済制裁は、既にご存じのように、ロシアにとっては輸入などが滞り、ドル建ての国債やドル建ての支払いが全て滞るということになります。

これは、ロシアにとってはかなり響いているのではないかと考えられます。

基本的にロシアの貿易における基軸通貨は、ドルが90%以上になっているということを考えると、そのドルがない、なおかつ、国債などの追加の発行がないということは経済的にかなりひっ迫するということを意味します。

経済的な逼迫は、そのまま、同盟国への依存という形になるのです。

同盟国の依存とは何か。

単純に、中国や北朝鮮に外貨の借款、または、決済の代行ということを依頼するということになるのです。

当然中国は、その決済の代行を受けることになります。

つまり、中国を経由した輸入ということになります。

私が様々な中国の友人に問い合わせたところ、その場合手数料は約30%~50%上乗せ、ロシアが払えないこともあるので、ロシアに輸出する側が、その分の補償金を預託するというシステムを取っているということです。

要するに、日本から今までロシアに何かを輸出していた場合、その値段が100であれば、ロシアに対して150で売るということになるのです。

しかし、その50値上げした分をロシアが払えないかもしれないので、売り先である日本に補償金を積めということになります。

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そこまでしてロシアと取引をしたいという人は非常に少ないということになります。

そのために「支援している」ようなことになっていても、一方で中国の支援が実際にロシアの役に立っているかどうかは不明ということになるのです。

民間がそのようにして「欲が出る」ということから、基本的に機能しないので、結局はロシア系中国人がロシアのために輸入代行や決済代行をするということになるのです。

一方中国政府としては、ここでロシアを支援してしまっては、中国そのものもスイフトから排除されてしまうということになってしまいます。

そのために、中国はある意味で「民間が勝手に行った」というような形式をとらなければならないということになりますので、なかなか支援が前に進まないということになります。

この時に役に立っているのが「人民解放軍系商社」である「保利大厦」と「海利大厦」の二つになります。

アメリカやヨーロッパから「経済制裁に参加しない」「援助をすれば、制裁する」と通告されている中国は、政府としては支援できないので、このような民間会社として支援をするという形になります。

中国の場合は、中国が経済制裁されてしまうと、決済代行などできなくなってしまうということになります。

基本的に、「国際社会の仲間入り」しながら「国際社会の仲間からはみ出したロシアを支援する」ということになってしまいますので、「政府」と「国営企業」を切り離して行うということになります。

実際に、中ロ国境では、義勇軍が多くロシアに入国し、同時に、保利大厦系の商社のメークの入ったコンテナが多く入国しているという報告が入っています。

また、その義勇軍は、ロシアの入国管理によると55歳を超えた人が多いということを言います。

ちなみに中国人民解放軍は、兵卒であれば45歳、左官(大佐まで)は55歳が定年で、将官のみそれより上でできるということになっています。

要するに、この経済制裁が大きく、なおかつ国連でも141カ国もの国々が行っていることから、中国も簡単に支援できなくなったということになり、そのことから「ロシアと国際社会の板挟みになったという感じです。

そのために「民間人が勝手に行ったこと」として義勇軍なども編成するということになりますし、企業もロシアと取引を行うのです。

ちょうど中国企業の中にはファーウェイやZTEなど、アメリカやイギリスなどで取引をできない企業も少なくないので、そのような企業が中心になって支援をしている。つまりすでに取引が規制されている企業が中国を代表してロシアを支援しているということになります。

また、高齢者の義勇兵が多いということは「正規軍」はそのまま中国国内で温存しているということを意味します。

要するに、中国からすれば「体の良い厄介払い」といってしまえば言い方は悪いですが、そのような状況になっているのです。

ご存じのように、中国は2004年まで発表していましたが、中国国内におけるデモの多くは、退役軍人による軍事年金要求(値上げ要求を含む)のデモです。

これはデモの回数などを発表しなくなった今日も同じで、元人民解放軍であるということから、それらの要求は非常に強く存在するということになるのです。

要するに、元軍人の老人は、中国にとって、仕事をするわけでもなく、年金などで金がかかる厄介者ということになります。

その人々に、ある程度の資金と補償を出して、ロシアに出すということになるのです。

このように「中国の同盟支援」という形は、一方で、中国の都合に合わせた内容であって、他の国のように「運命共同体」的な支援を行っているのではない。

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では、このような支援の「借り」を、ロシアはどのように返すのであろうか。

基本的に、民間の内容であるといっても、たぶん中国政府はその恩を着せるということになるでしょう。

そのうえで、中国は中国の野望をロシアにぶつけることになります。

具体的に言えば、「資源」または「北極海航路」における港の租借ということになるでしょう。

習近平国家主席によって「一帯一路」ということが大きな目標になっている中国は、「一路(海のシルクロード)」で北極海航路を中国の権益に含むとして、ロシアと一時険悪になっていたことがあります。

当然に今回の恩を売ることによって、その部分を要求してくることになると考えられます。

ある意味で「戦争を利用した債務の罠」が発動するということになるでしょう。

プーチン大統領はそれを受けるのか、あるいは、そのことをもって中国と対立してゆくのかということになってゆきます。

一つのウクライナの戦争が、次の戦争を引き起こすきっかけになるということになるのではないでしょうか。

また、そのときに、経済制裁が終わっているのか、あるいは、そのまま経済制裁を継続しているのかということも大きな問題になってくるということになるのではないでしょうか。

そのように考えると、今後大きな選択肢があり、その中では、日本も巻き込まれる世界大戦がはじまる可能性があるということになるのではないでしょうか。

そのような意味で来月からは日本の防衛について話をしてゆきたいと思います。(次号に続く。この続きをお読みになりたい方は、この機会に『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』をぜひご登録ください。初月無料です)

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image by: B.Panupong / Shutterstock.com

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