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理解不能。受け入れ不能なウクライナ難民支援を約束した岸田政権の愚

ロシアの軍事侵攻により、410万を超える国民が国外避難民となっているウクライナ。その内の240万人を受け入れてきたポーランドを訪れている林外務大臣は、ウクライナ外相との会談の中で難民支援を約束したと報じられています。この日本政府の動きを批判的に記しているのは、海外マーケティング会社の代表を務める大澤裕さん。大澤さんは自身のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』で今回、世界の難民問題の実態を解説した上で、岸田政権の避難民受け入れに関する見通しの甘さを非難しています。

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ウクライナ難民に対する日本政府の無責任発言

林外務大臣がウクライナのクレバ外相と会談したことがニュースになっています。岸田総理大臣の特使としてです。

会談の冒頭、林大臣は、日本の子どもたちが描いた絵をクレバ外相に贈り「私たちはウクライナの人々とともにあることを伝えたい」と述べました。

会談で、林大臣はウクライナからの避難民の受け入れを進めていることを説明しました。

これに対しクレバ外相は謝意を示したそうです。その後、ウクライナ避難民が滞在している施設を訪問し、避難民や施設の担当者から実情を聞き取っています。

心温まる話です。

しかし岸田総理と林大臣は世界がどれだけ移民、難民問題で苦しんできたかを知っているのか!?と思います。

このメルマガでも何度も言っていますが、あのトランプ大統領がアメリカで人気があるのは、不法移民・難民問題で断固とした態度をとったからです。

トランプ大統領は、不法移民が国境で捕まったときに「私は難民です」と言って米国内に釈放されるのを許さなかったのです。いわゆる「キャッチアンドリリース政策の禁止」です。

これはトランプ政策の一丁目一番地です。最も米国人にアピールした政策ですが、それを詳しく説明した日本のTVを見たことがありません。

「トランプはバカで貧乏なアメリカ白人を騙していのだ」とだけ言い続けて、米国人有権者の不法移民、難民問題に対する心配を伝えなった日本のマスコミには強い憤りを感じています。

イギリスのEU離脱も移民問題が非常に大きな要因です。多くの移民、難民が英語で働けるとイギリスを目指したので、その急増にイギリス人は恐れをなしたのです。

閑話休題。

とにかく、移民、難民への政策対応は人の心を揺さぶります。結果として国内国際の政治を大きく動かすのです。しかしながら、上記のような経緯について日本のマスコミはあまり報道していません。

今回はウクライナ戦争の結果としての大量難民です。彼らの受け入れは人道的に当然の事です。

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しかし欧州はすでに苦労し心配しています。以下は米国ニューヨークタイムズ4月1日の記事からの抜粋です。

ウクライナからの大量の難民の流出は、第二次世界大戦以降、ヨーロッパが経験したことのないような人道的危機を引き起こしている。

 

400万人以上が近隣諸国に流出し、ロシアの野蛮な戦争が続く限り、さらに数百万人が流出することになるだろう。

 

ウクライナからの逃避行に対するヨーロッパの最初の反応は印象的な連帯感を示すものであった。

 

難民は、ほとんどの男性が戦闘のためにウクライナに残る必要があるため、そのほとんどが女性と子どもであり、その数が膨れ上がっても歓迎され収容されてきた。

 

しかし、この難民規模は驚異的であり、まだ初期段階である。

 

ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、毎週100万人近くがウクライナから出国している。平和協定が結ばれない限り、ロシアは民間インフラを爆撃し続けるだろう。

 

ウクライナは生き残りをかけて戦い続けるだろう。今後数カ月でウクライナの人口のおよそ4分の1にあたる1,000万人が国外に流出する可能性がある。

 

人口約160万人のワルシャワは、現在30万人以上のウクライナ難民を受け入れており、その多くは急遽設置された歓迎センターで寝泊まりしている。

 

やがて、ウクライナ難民に対する怨嗟の声が大きくなるかもしれない。最初は難民を歓迎していた人々が、難民に反発し、ウクライナにロシアの条件での戦争終結を強いるよう、自国政府に圧力をかけるかもしれない。

 

欧州連合(EU)は、支援の申し出を必要としている人々とマッチングさせるためのプラットフォームを設立した。

 

戦争によって避難した人々を人道的に受け入れる努力は、ヨーロッパに限ったことではない。ウクライナ人の多いカナダは、戦争から逃れてきた人々を少なくとも2年間は無制限に受け入れることに同意している。難民の受け入れに消極的だった日本も、ウクライナ人の受け入れに合意している。

解説

日本もウクライナ難民受け入れに合意したという言及があります。

実際、ウクライナ戦争に関しての日本の姿勢は海外新聞でもよくとりあげられています。「アジアからも日本が支援の名乗りを上げた」といった文脈です。

しかし、このウクライナ難民受け入れ、日本政府はどれぐらいの人数を考えているのでしょうか?

日本の難民受け入れ実績は2019年44人、2020年47名となっています。国民感情もあるのでしょう。今までは実質ゼロといってよいです。

今、世界が期待しているウクライナ難民の受け入れ数と日本の実績は桁が3~4つ違うのです。

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今回、日本政府は「希望する避難民は、林大臣の帰国時に政府専用機に乗せることにしている」と発表しました。30名を連れて帰るとの事です。

これは日本国内向けに「日本政府も頑張ってますよ」という選挙アピールになっても国際社会ではお笑いにもなりません。

今後、欧米諸国がウクライナ難民の受け入れで困ったときに、そういった日本の実体も明らかになります。

日本が1万人受け入れてようが国際社会は納得しないでしょう。

こんな状況で、なぜ林外相はウクライナの外相と会談して難民支援を約束し、難民施設を訪問する、といった世界の耳目を集めることをしたのか本当に疑問で心配です。

ウクライナへの支援はすべきです。しかし日本にはできること、できないことがあります。大量難民を受け入れる事は日本では大きな政治問題になるでしょう。それを分かっていて国際社会に約束しているのか?岸田総理、林外相?と言いたくなります。

近い将来、ウクライナのゼレンスキー大統領が「難民支援を約束してくれた日本政府に多大な感謝を表明したい。なんと1,000人も受け入れてくれた!」と怒りを込めて世界のマスコミに発表するような事態になっても不思議ではありません。

今回の林外相の会談が国際的な信用を無くすような行動、約束にならないことを祈ります。(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』4月3日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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過去に配信されたバックナンバーのご紹介と、まぐまぐスタッフがオススメポイントをいくつかご紹介いたします。バックナンバーは月単位で購入できます。

▼2022年3月
・ウクライナ戦争の出口、新しい世界秩序(3/27)
・岸田総理インド訪問にみる海外報道との乖離(3/20)
・日韓関係の転機となるか、韓国新大統領(3/13)
・ウクライナ戦争の行方、カギを握るトルコ(3/6)

ウクライナ紛争後の「新しい世界秩序」はどの国が作ることになるのか?日本の安全保障にも大きく関わってくる、そんなテーマが扱われた3/27号。プーチン大統領に対して大きな発言権を持つ国家指導者の実名を上げ、戦争の出口と今後の展開を大澤先生が論じています。3/13号では大接戦の末誕生した韓国の新大統領が、国交正常化以来最悪となっている日韓関係をどのような方向に導くのかを考察。その上で岸田総理の手腕への期待を記しています。

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▼2022年2月
・プーチン大統領の目的は何か(2/27)
・スパイ防止法 中国と日本(2/20)
・武器輸出を増大させる韓国(レッテルの怖さ)(2/13)
・ウクライナ危機の本質、ブタペスト覚書(2/6)

2/22号のテーマは、主要国の中で日本だけが未制定かつ現実を見据えた議論すらなされない「スパイ防止法」。我が国においてはいくらスパイを逮捕しても無駄となる現実や、スパイ容疑で拘束した邦人を獄中死させている中国が、日本国内で常識を超えた情報収集活動を行なっている事実を紹介しています。2/6号では、ウクライナ危機の本質をニューヨークタイムズの記事を引きながら詳細に解説。さらに危機に至った歴史的経緯を伝えない報道機関を批判的に記しています。

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▼2022年1月
・自作自演の罠にはまったプーチン(1/30)
・日本に入る中国の電気自動車(1/23)
・カンボジアのインターネットゲートウエイ法(1/16)
・中国からのメッセージ(1/9)
・如何にして海外報道に疑問をもったか?(1/2)

このままでは近い将来、日本の電気自動車市場を中国が席巻することに? 1/23号では、日本の大手物流企業が、次々に中国製の電気自動車を導入している実態を紹介。1台50万円以下という圧倒的な価格競争力を背景に攻勢を強める中国メーカーに、日本はどう立ち向かうべきか?大澤氏の提案は、自動車に限らず多くの日本企業にとって参考になりそうです。1/2の新年特別号では、朝日新聞の歪んだ報道姿勢や著者の原点についても。

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▼2021年12月
・原子力潜水艦を渇望する韓国(12/26)
・「中国式民主主義」に対する各国報道(12/19)
・ビッグデータの覇権を狙う中国(12/12)
・中国政府とオリンピックを揺るがすテニス選手の行方不明(12/5)

日本はおろか米国をもはるかにしのぐ、中国の「ビッグデータ収集」が12/12号のテーマ。米アップルやテスラですら中国共産党に従わせる、中国の老獪なやり口とは? 20世紀が石油の時代だとすれば、21世紀はデータの時代。「情報はタダ」と軽視しがちな日本に大澤氏は強い警鐘を鳴らします。また12/26号では、韓国のムン・ジェイン大統領が、北朝鮮との終戦を国連で強く訴える一方で、「北朝鮮に対抗するために」原子力潜水艦を渇望している真の理由を考察。隣国の日本も、決して無関係ではいられません。

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▼2021年11月
・軍事的な結びつきが強まる日本とベトナム(11/28)
・中国政府を揺るがすテニス選手の性的暴行告発・消息不明(11/21)
・「日本は信頼できない」韓国大統領候補(11/14)
・日本の戦略を高く評価するシンガポール新聞(11/7)

11/28号では、日本とベトナムの安全保障協力を詳しく解説。南シナ海で中国の脅威が高まる中、日本はベトナム沿岸警備隊向けに約400億円を投入、「かが」「むらさめ」2隻を海軍基地に寄港させ「親善演習」を実施しました。大澤氏はこの日本政府の取り組みを「場当たり的ではない長期的な国家戦略」として評価しつつも、「肝心の日本国民に説明できない」ところに大きな課題があると指摘します。
11/7号では「最近、日本は目立たないながらも主導的な役割を果たすようになった」とのシンガポール紙の記事を紹介。これもまた「なぜか日本で報道されない」日本に肯定的な意見のひとつです。

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▼2021年10月
・世界EV電気自動車バッテリー覇権戦争(10/31)
・今もNYタイムズで追悼される従軍慰安婦(10/24)
・海外からの日本への投資、北朝鮮に次ぐ最下位(10/17)
・日本が核武装を決断する日(10/10)
・中国の情報操作に対抗するシンガポール(10/3)

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▼2021年9月
・オーカス(AUKUS)の各国反応(9/26)
・米国の国境に殺到するハイチ人の悲劇(9/19)
・鳩山由紀夫氏に問う(9/12)
・中国で日本テーマパークが閉鎖(9/5)

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▼2021年8月
・韓国 従軍慰安婦記念式典(8/29)
・アフガンに入り込む中国の戦略(8/22)
・仮想通貨 恐ろしい騙しの手口(8/15)
・暗号通貨の未来~シンガポールの取り組み~(8/8)
・忍び寄るインフレ、バイデンフレーションの恐怖(8/1)

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▼2021年7月
・オリンピック開会式、NYタイムズ厳しい報道(7/25)
・グーグルが国有化される日(7/18)
・無観客オリンピックの報道(7/11)
・タイトル42が廃止される時(7/4)

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▼2021年6月
・海外のオリンピック報道は?(6/27)
・テキサス州がトランプの壁を独自建設へ(6/20)
・今、香港に報道の自由はあるか?(6/13)
・中国の台湾侵攻に関する広報・情報戦(6/6)

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▼2021年5月
・カマラ・ハリス副大統領の沈黙(5/30)
・海外は従軍慰安婦問題をどう報道しているのか?(5/23)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

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