MAG2 NEWS MENU

なぜ『鬼滅の刃』が興行収入歴代1位の日本映画産業の未来は暗いのか

「鬼滅の刃」の興行収入が歴代1位となり、映画市場が盛り上がるかと思いきや、そのことで逆に未来が不安視される声も出てきています。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では、世界の映画産業を細かく分析することで日本の映画産業の“弱点”を突いていきます。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

映画版「鬼滅の刃」歴代興行収入1位の影で危惧される日本映画界の未来

世界の映画産業と比較すると、日本の映画産業の弱点が見えてくる。比較対象国として、北米(米国・カナダ)、韓国、フランス、ドイツ、英国、オーストラリア、韓国を挙げる。

2017年の映画観客数を、多い順番に比べると、北米、韓国、フランス、日本、英国、ドイツ、オーストラリアであった。

ところが、観客数を人口で割った国民1人当たりの映画館における年間の鑑賞本数は、韓国の4.3回が最も多く、次いで北米とオーストラリアが3.4回、フランス(3.2回)、英国(2.6回)、ドイツ(1.5回)と続き、日本は最下位の1.4回であった。

とくに日本は東日本大震災後、2011年にはこの数字が1.1回まで落ち込んだものの、他国と比べ、低い水準となっている。

ただ、2005年以降の数字を見ると、特に韓国市場の好調さは目立つ。2008年では、1億5083万人であった数字が、2017年には2億1987万人と、30%以上増加した。他方、日本を含め、他の国では、このような大幅に増えた動きは見えなかった。

一方で、これらの国の興行収入を見てみると、北米、日本、英国、韓国、フランス、ドイツ、オーストラリアとなり、観客数では下位に低迷する日本が興行収入ではアメリカ、比較対象となっていない中国に次ぐ世界第3位となった。

要因としては、日本の映画チケットの料金が平均1310円と、他国と比べ高いことが理由として挙げられる。

ところが、チケット料金の平均が1264円と日本とあまり変わらないオーストラリアの年間鑑賞回数は3.4回と高い数値を維持しており、日本社会における「映画館での映画体験」という文化が明らかに衰退しているといえるだろう。

各国における「スクリーン数」を比較しても、日本が他国と比べ少ないことが分かる。スクリーンの数は、米国が他国を圧倒、日本の10倍以上の40,393スクリーンとなっている。

ただ、どの国も2008年以降、スクリーン数は増加、とくに韓国は40%増を記録、英国も18%増、フランスとオーストラリアも10%増となった。

しかし、人口をスクリーンの数で割った「1スクリーン当たりの人口」で見ると、日本におけるスクリーンの数は他国と比べ、少ない。1スクリーン当たりの人口は、その数値が低いほど、身近にスクリーンが存在していることを意味する。

この数値を見ると、日本は35,894人に1スクリーンであった。最もスクリーンの数が多いのは米国で、8046人に1スクリーン、フランスは10.959人に1スクリーンであった。日本には、米国の4分の1、フランスの3分の1、韓国の半分しか映画スクリーンが存在しない。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

北米

今でこそ中国市場にトップの座を譲った北米(米国・カナダ)の映画市場であるが、しかし現在においてもなお、世界の映画産業をけん引しているのはハリウッドであることは間違いない。

2021年の北米興行収入は44億6,900万ドル(約5100億円)、コロナ渦による映画館の営業自粛で打撃を受けた2020年度(21億300万ドル)や対比で倍以上まで回復した。それでも、2019年の113億2,000万ドルからは60%以上下回り、以前、厳しい状態が続く。

21年度は、春ごろから映画館が営業再開したものの、21年度前半の営業自粛や有力作品の公開延期、あるいは新作映画の配信されることが増えていったことが背景にあると思われる。

業界シェアはウォルト・ディズニーがここ数年、1位の座をキープし続けている。しかし21年度で全体の興行ランキングトップ10の中に入ったのは、2位『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2億2,000万ドル)、4位『ブラック・ウィドウ』(1億8,000万ドル)、6位『エターナル』(1億6,000万ドル)の3本にとどまった。

ディズニーは作品の配信シフトを強め、劇場と配信の両方で収益化を目指す戦略に舵を切った。他方、苦戦したのはワーナー・ブラザーズ。トップ10圏内には1作品も入らず、12位に『ゴジラ vsコング』(9900万ドル)、13位『DUNE/デューン 砂の惑星』(9,300万ドル)となった。相次ぐ公開予定の延期に加えて、『DUNE』が期待された以上の結果を残せなかった。

ハリウッド映画といえば、「大作映画」だ。ハリウッド映画は、1億ドル以上の製作費を費やした映画を「ビッグ・バジェッド」や「イベント・ムービー」、4,000万~6,000万ドル規模の作品を「ブルーチップ」、1,000万~2,000万ドル規模の低予算映画を「ロウ・バジェット」または「ポートフォリオ」という。

ただ、ビッグ・バジェット映画がこれほどの予算規模となると、米国国内だけでは3億ドル以上の劇場収入を記録しないと事実上はペイできず、国外の上映により初めて利益を出す構図となっている。

なぜ、ハリウッド映画がこのような大作映画化していったかというと、テレビとの差別化によるものであった。

ハリウッドも、他国の映画市場と同様、1950年代にテレビの普及により大きな転機を迎える。ただ、当初は対テレビ戦略として他国と同様、露骨な敵視戦略を取っていた。

しかし50年代半ばには、ハリウッドのメジャースタジオが相次ぎテレビ向けの番組制作に乗り出し、テレビ放映向けに映画スタジオが自社の過去の作品の売却やリースを行っていく。

一方で、日本や欧州諸国が映画観客動員数を大きく落とした一方、ハリウッドだけは最盛期の3分の1の10億人にまで食い止めることができた。そのことについては、AFI(American Film Institute)が大きな役割を果たす。

具体的には、人材育成や35mmの映画フィルムを各大学に寄贈し、映画産業の社会的地位の向上のため地味な努力をかけていく。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

アジア

アジアの映画市場をけん引するのが、中国、韓国、インドであることは間違いない。とくに、ここ10年の中国の映画市場に発展は目覚ましいものがある。

実は日本の映画市場は1978年ごろから約40年間、2000億円台の規模で横ばい、米国に関しても、1兆2000億円台を維持し続けている。ところが、中国だけは右肩上がりの成長は続けた。

2011年に日本の2000億円の市場規模を越えてから、2018年には1兆円に迫る市場規模に成長、2020年に米国を抜き、世界最大の映画市場となった。スクリーンの数も急増、6年間で5倍に達す。この数は米国の1.5倍にまでいたった。

他方、2015年以降はハリウッドと中国との結びつきが強まった。ワーナー・ブラザーズやウォルト・ディズニーなどハリウッドのスタジオが、中国企業が製作した映画の制作や出資、あるいは中国の映画市場への進出を目的に提携、逆のパターンとて、中国マネーのハリウッド進出という事情をうむ。

韓国の映画産業も相変わらず好調だ。2017年の国民1人当たりの年間鑑賞本数は4.3本と、北米(3 .4回 )、フランス(3.2 回 )、イギリス (2.6 回) 、ドイツ(1.5 回)、日本(1.4回)と他国を圧倒する。

インドも映画の製作本数では他国を圧倒する映画大国だ。2019年の製作本数は、インドが1986本で、中国(874本)、米国(660本)、日本(594本)と続く。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

中国とハリウッドとの結びつきは2016年に始まった。同年10月、中国の実業家ジャック・マー率いるアリババ・ピクチャーズとスティーヴン・スピルバーグのアンブリン・ピクチャーズが共同製作と共同出資契約を結ぶ。

2017年にはパラマウント・ピクチャーズが上海フィルム・グループとHuahua Mediaという中国の映画会社から、10億ドルもの現金出資を受けたことが報じられる。

より強化な結びつきとしては、中国のダリアン・ワンダ・グループが2016年1月に「GODZILLA ゴジラ」の製作で知られる米レジェンダリー・エンタテインメントを35 億ドルで買収したことだろう。

韓国映画の勢いも凄まじい。韓国では1999年に本格的な映画関連法が改正、政府が映画を本格的な経済政策と捉え、映画製作における資本が増えた。

また、スクリーン・クォーター制により自国の映画を保護する施作も取った。この制度は劇場韓国映画を1年の40%に相当する146日間以上、上映することを義務付けたものの。ハリウッド映画に対抗したもので、他にもフランスやスペイン、メキシコなどがこのような措置を取っている。

インドも世界有数の映画大国。2017年のインドの映画製作本数は、1986本、中国(874本)、米国(660本)、日本(594本)を圧倒する。

なぜ、これほどまでインドで映画が多く作られるのか。背景として、家庭におけるテレビの普及がまだ低く、現在でも主要な娯楽として映画が位置付けられていること、あるいはインドが200を超える多言語国家であるため、それぞれ言語が異なる映画を制作する必要があるためだという。

この10年で、アジア市場の存在感は大きくなった。2013年までは北米、欧州、アジア・太平洋地域がほぼ横並びだったものの、2014年以降はアジア太平洋地域が急成長。2016年のアジア太平洋地域の興行収入は149億ドルと、北米の114億ドル、欧州地域の95億ドルを上回った。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

欧州

欧州の市場規模も大きい。欧州28カ国における映画観客動員数は、2017年時点で9億8,400万人と、2004年以降で2番目に多い動員数を記録。興行収入は3年連続で70億ユーロを越えた。

その中でも、とくにスロヴァキア(18.1%増)、ポーランド(8.7%増)と、東欧諸国の観客動員数の伸びが顕著だ。

欧州で製作された映画の数は、2007年の1,422本から2016年には2,123本と49%増加した。なお、観客動員数、製作動員数ともに、(英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア)に集中、いずれも過半数を占めた。

その中でも、フランスは長らく欧州諸国の映画市場をリードしてきた。とくに EU域内では、観客動員数・興行収入・製作本数・スクリーン・公開本数において首位を維持してきた。

フランス映画市場の特徴として、国内市場で鑑賞されている映画の国籍に偏りがないことが挙げられる。日本のように米国映画や邦画かというわけでなく、多国籍の映画が偏りなく見られているというわけだ。

また米国映画のシェアが70%を超えている欧州市場において、フランス市場だけは自国産のシェアが10%を超えている。これは、英国の2倍以上だ。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

このフランス映画の成功を導いているのは、手厚い映画支援の制度があるため。フランスでは1946年に映画産業の振興と統括する組織として、CNC(Centre National de la Cinematographi)が創立された。

CNCは、フランスの映画産業の助成、促進を主な役割とする。具体的な活動内容としては、映画を含む視聴覚産業についての法規定、助成と促進・普及、映画遺産の保護と普及だ。

映画産業への助成については、フランス映画とフランスとの共同制作作品の製作助成、新人監督の発掘と育成、映画館の改築のための費用の助成、地方自治体と共同での助成活動、その他、100以上の映画関連組織や団体への協力や助成を、政府と映画産業とが一体として進めている。

英国も欧州有数の映画大国。2000年代まで、世界市場に占めるシェアは米国、日本に次ぐ3位を維持していた。とくに英国では映画産業が、外貨獲得の手段として経済に貢献している。

また歴史的に、英国では、フィルム政策として、ハリウッドに対抗するための手段としてではなく、ハリウッドからの投資を自国に誘致する方向に舵を取った。

英国でも、1920年代からハリウッドに対抗するために韓国のような外国映画を制限するクォーター制が導入、しかし1980年代のサッチャー政権により廃止され、これによりフィルムの保護、支援政策は大幅に縮小される。

ただ、1990年代のブレア政権以降、映画産業を含むクリエイティブ産業の振興政策がなされた。

欧州では、EU(欧州連合)の映画産業支援プログラム「MEDIA」(メディア)というものがあった。

MEDIAとはフランス語の「Mesures pour encourager le d?veloppement de l’industrie audiovisuelle」の頭文字を取ったもので、映画を中心とする産業の振興を目的とする資金助成プログラムだ。

このプログラムは1991年、巨額の資金を投入して製作されるハリウッドの超大作の影響で欧州映画が市場シェアを失いつつあった時期に立ち上げられた。2007年から2013年末までを対象期間とする予算規模は、7億5,500万ユーロであった。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

アフリカ

アフリカの映画市場の発展も著しい。とくに2015年の年間映画制作本数は、インド(1,907本)に続き、ナイジェリアが997本を記録していた。この本数は、米国の1.3倍となっている。

もともと、アフリカでは旧宗主国のフランスの文化政策の一環として、フランス語圏の西アフリカ地域の一部で映画産業が発展していた。ただ、機材や人材の不足、配給システムの未整備により、庶民の娯楽としては発達せず、映画産業自体も未成熟であった。

しかし、1990年代以降のデジタル技術の発達にともない、低予算で映画の制作と配給ができるようになった時代に入り、アフリカ全土で様々な映画人たちが次々と映画制作に乗り出し、現在にいたる。

そのアフリカでも、最も映画が産業として成り立っているのは、ナイジェリアだろう。アフリカ諸国でもこのナイジェリアは、映画の制作と配給・消費とが一連のサイクルとして大規模に成立した。

ナイジェリアはインドに次ぐ世界第2位の映画制作本数を誇り、なおかつ人口比当たりでは世界1位となり、約6億ドルもの巨大市場を擁するまでに成長した。

今では、ナイジェリアは、米国の「ハリウッド(Haywood)」、インドの「ボリウッド(Bollywood)」と並び、ナイジェリアのNにちなみ「ノリウッド(Nollywood)」とも称されるようになる。

ただ、そのナイジェリアは国内に映画館はわずか33館しか存在しない。しかも入場料が非常に高額であることから、一般市民は映画館に行くことはほぼ不可能であるという。

その代わり、映画は映画館の外側で消費される。ナイジェリアでは1980年代にテレビ視聴が爆発的に普及、街中ではテレビ番組のコピーが売られ、人々はホームビデオとして家庭内でビデオを見ることがブームとなる。

この光景を見かけた映画関係者らが、制作した映画をDVDなどのソフトとして流通させるシステムを構築、結果、市民が日常的に映画に楽しむ習慣がつくられるようになった。

現在も、ナイジェリアでは映画制作後、時を置かずすぐにビデオ化され、人々は街中の売店で映画を購入している。

2013年、ナイジェリアのホームテインメント産業のGDP寄与率は1.4%(米国は3%、インドは0.5%)とされ、大きな経済効果を生んだ。

米国国際貿易委員会の報告(2015年)によると、ナイジェリア映画産業は、農業に次いで雇用を生み出す産業にまで発展。ナイジェリア政策の映画は近年では、アフリカ全土だけでなく、全世界をターゲットに配信の拡大がなされている。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

中南米

中南米も大きな市場だ。

映画の国別市場規模(ユネスコ、2017年)として、11位にメキシコ、12位にブラジル、17位にアルゼンチン、26位にコロンビア、30位(ペルー)、35位(チリ)、39位(ベネズエラ)、51位(コスタリアカ)、55位(ボリビア)、58位(ドミニカ共和国)、62位(ウルグアイ)、81位(ホンジュラス)を擁する。

中南米平均の数字として、アジア、オセアニアEUの次、中東やアフリカを上回る規模にまで成長した。とくに2005年以降、5年ほどで70%増となる急成長を果たす。

ただ、中南米といっても、北から南まで33の国が存在する。それぞれ、各国の映画産業の規模はまちまちで、大きな映画産業規模を持つメキシコやアルゼンチンのような国もあれば、パラグアイのような産業としてほとんど成立していない国もある。

この地域の映画産業の特徴として、強力な各国の映画協会の存在があげられる。アルゼンチンのINCAAや、メキシコのIMCINEのような各国の映画協会が自国の映画文化を守ろうと動いている。

世界の映画祭の舞台で、自国の作品を推薦したり、小規模なインディペンデント映画を保護する政策を提言したり、自国映画を国内のアート系上映館で積極的に上映したりと、様々な取り組みを行う。

このような取り組みを行う理由として、ハリウッド映画から、自国映画を守ろうという側面もあるが、むしろ中南米の歴史的な意味合いが大きい。

この地域では過去、軍事独裁政権が存在した。アルゼンチンでは、実際に軍事政権下、多くの死者や行方不明者を出し、そのような時代には、自由に映画をつくることなど不可能に近い。いつ、またこのよう軍事政権が誕生するか、分からない。そして表現の自由が脅かされるかわからなない。

その危機感のもと、各国の映画協会は、映画文化を守ろうとしているのだ。中南米で実際に映画に関わる人々は、ハリウッド映画への「カウンター」として、あるいは、政治的権力へのカウンターとして、自国の映画をとらえている。

助成金についても、フランスのよう絶大な信頼をおけるものではく、一個一個、個別に吟味する。ときには、他国の助成金も活用するという。

このような取り組みのもと、メキシコは2000年代以降、ギレルモ・デルトロ、アルフォンソ・キュアロン、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥなど有名な世界的巨匠監督を生み出した。

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

オセアニア

最後に、オセアニア地域、とくにオーストラリアとニュージーランドの映画産業について取り上げる。この2カ国は、現在ではハリウッドの映画制作現場において欠かせない国となった。

もともと、オーストラリアには世界初の映画スタジオが存在したとされる。今では、多くのハリウッド映画スタジオがコストの安いこのオーストラリアに映画スタジオを構え、この地で映画を制作している。

また、多くのオーストラリア人俳優がハリウッドに進出、アカデミー賞常連の俳優も多数いる。ニュージーランドにも多くのユニークなロケ地が各地に存在する。

オーストラリア映画の歴史は古い。1900年代初頭に、世界初長編映画とされる「ザ・ストーリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング」(1906年)を制作した。

以降、1928年までオーストラリアでは150本あまりの長編映画が作られた。途中、低迷の時期に入るも、1960年代に入り、政府が芸術分野や映画産業に注目、映画融資関連の創設や国立の映画やテレビ、ラジオ番組関連の学校の創設など、政府の支援を受けて衰退していた映画産業にスポットが集まる。

ロケ地としも注目を集める。オーストラリア国内はもともとバラエティに富んだロケーションが存在しており、映画制作の現場として最適な場所であったが、ハリウッド資本も進出し、最新技術を駆使した大型作品もオーストラリアで作られるようになった。

オーストラリアで撮影された映画として、「マッド・マックス」(1979年)、「クロコダイル・ダンディ」(1986年)、「ピアノ・レッスン」(1993年)、「プリシラ」(1994年)、「ベイブ」(1996年)、「シャイン」(1996年)、「マトリックス」(1999年)、「ミッション・インポシブル2」(2000年)、「ムーラン・ルージュ」(2001年)、「スターウォーズ・エピソード 2」(2002年)などが存在する。

ニュージーランドでも多くのハリウッド大作映画が撮影されている。ニュージーランド出身のピーター・ジャクソンが監督した「ロード・オブ・ザリング」3部作(2001年~2003年)以降、ニュージーランドの手付かずの自然が世界的に注目を集めた。

以後、「ナルニア国物語」、「ラストサムライ」、「キングコング」、「世界最速のインディアン」、「アバター」、「タンタンの冒険ユニコーン号の秘密」などがニュージーランドで撮影された。

とくに、「ラストサムライ」は日本を舞台とした映画で、多くの日本人俳優も参加した。しかしながら法習慣の違いなどから日本で撮影されるシーンはほとんどなかった。以降も、日本を舞台としたハリウッド映画は存在するものの、実際に日本においてオールロケで撮影される映画は皆無に近い状態が続いている。(つづく)

日々流れるニュースを学術的視点や新しい角度で解説するメルマガはコチラ

 

image by: image_vulture / Shutterstock.com

伊東 森この著者の記事一覧

伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版) 』

【著者】 伊東 森 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け