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「稼ぐ講師」が技術を伝授。アプローチ別オリジナル研修の作り方

確たる実績を残した有名人による講演会と違い、しっかりとしたコンテンツがないと成り立たない企業研修。新しいことも取り入れなければならず、仕事として研修講師を10年続けるのは簡単ではありません。人気講師はどのように研修コンテンツを作り上げているのでしょうか。今回のメルマガ『深沢真太郎の「10年稼げる研修講師になる授業」』では、研修講師として活躍し近年は講師養成にも力を入れている深沢真太郎さんが、オリジナルの研修コンテンツを作る方法を惜しみなくレクチャー。2つの真逆のアプローチどちらも真髄は「わけるとつなぐ」にあるようです。

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オリジナルコンテンツを作れる講師になる方法

ビジネス数学教育家・深沢真太郎です。本日も学びのためにお時間をとっていただき、ありがとうございます。今回もテーマは研修のコンテンツ作り。前回よりも少しだけ実践的な内容に踏み込みます。

実は研修講師には2つのタイプがいます。
A.自分でオリジナルのコンテンツを作り、それを使って指導する講師
B.人が作ったコンテンツを求められる通りに指導する講師
ちなみに私は完全にAタイプ。

企業研修やビジネスセミナーで提供している内容は100%オリジナルです(もちろんこの「10年稼げる研修講師になる授業」も)。Bタイプは例えば研修会社に所属する専属講師などでしょうか。その会社が持っているコンテンツを使い、それをマニュアル通りに指導する講師です。AとBに優劣はありません。あくまでもタイプの違いです。

もしあなたがAタイプを目指すなら、今回の内容は極めて重要になります。一方のBタイプの方でも、あなたが扱う既存コンテンツがどんな思考により開発されているのかを知ることは良いことでしょう。ぜひ今以上にいい指導ができるためのヒントを探ってみてください。では本題にまいりましょう。

コンテンツ作りのアプローチは2つあります。「大→小」と「小→大」です。なんのこっちゃわかりませんよね(笑)。さっそく説明しましょう。

まずは「大→小」という考え方です。字の如く、まずは大枠を決めてから細かいところを作っていく手順です。具体的には次のような問いに答えていくことでそれは可能です。

STEP1 あなたはどんな人がどうなる研修を提供するのですか?
STEP2 その内容は、大きく分けるといくつの要素が必要でしょうか?
STEP3 その要素たちにどんな順序づけをしますか?
STEP4 各要素は、さらに分けるといくつの要素が必要でしょうか?
STEP5 その要素たちにどんな順序づけをしますか?

おそらく感じとっていただけたことでしょう。そうです。これを繰り返し、これ以上は必要ないと言えるまで粒度を細かくしてコンテンツにしていきます。抽象的な説明なので簡単な具体例を挙げましょう。私のオリジナル研修でもある「数字で伝える・説得する技術」のコンテンツ作りはこのようにして行いました。

STEP1 あなたはどんな人がどうなる研修を提供するのですか?
 →数字が苦手な人でも定量的なコミュニケーションができるようになる研修
STEP2 その内容は、大きく分けるといくつの要素が必要でしょうか?
 →「理論」「実践」「総合演習」の3つ
STEP3 その要素たちにどんな順序づけをしますか?
 →「理論→実践→総合演習」の順に進めていく

この作業をすることで完成したコンテンツの概要はこんな感じです。実際、私は企業研修でまさにこの要素をこの順序で進行していきます。

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理論編 あなたの「数字で伝える」は、人の心を捉えているか
・本日のポイント
・75%の納得
・エモい数字
・ある事例 ~正しい内容なのに相手に伝わらない理由~
・もし「エモい数字」に困ったら
・理論編のまとめ

 

実践編 説得できるかどうかは、準備で9割が決まる
・「1-1-3」で伝える
・資料に使うグラフの作法
・1分間で納得してもらう資料
・3つの「?」~6ステップ~

 

総合演習
・説得ロジックを「6ステップ」と「1-1-3」で作る
・事例 人が動く伝え方・人が動かない伝え方
・相手を動かすプレゼンとは何か
・講師からのプレゼンを聴いて

この手法の根底にあるのが「わけるとつなぐ」です。あなたは私が提唱するこの「わけるとつなぐ」という考え方をご存知でしょうか。ビジネス系の研修プログラムでは構造化思考というネーミングで提供しており、小説形式の書籍「わけるとつなぐ」(ダイヤモンド社)も発表しています。
『わけるとつなぐ これ以上シンプルにできない「論理思考」の講義』(ダイヤモンド社)

実は研修のコンテンツ作りもこの「わけるとつなぐ」だけなんです。
「Q2」がわける。
「Q3」がつなぐ。
あとは同じことを繰り返すだけ。とても簡単ですよね。これ以上シンプルなアプローチはないと断言します。

ではここからは真逆のアプローチ、すなわち「小→大」をご紹介します。先ほどの「大→小」がどうもしっくりこない、あるいは難しさを感じる方もいるでしょう。おそらくその方は細かく分解していく思考がまだ慣れていないのだと思います。ならば解決策はひとつ。まずは極めて細かい要素をとにかくたくさん列挙し、それをグルーピングすることで大きな要素を作るのです。具体的には次のようなステップを踏むことでそれは可能です。

STEP1 あなたはどんな人がどうなる研修を提供するのですか?
STEP2 その研修においてあなたが伝えたいことや参加者にさせたいことをできるだけ列挙してください
STEP3 列挙された要素で内容が似ていたり前後の関係になりそうなものをグルーピングしてください
STEP4 同じグループ内の要素たちに順序づけをしてください
STEP5 その複数のグループでさらに内容が似ていたり前後の関係になりそうなものをさらにグルーピングしてください

おそらく感じとっていただけたことでしょう。そうです。これを繰り返していくことで自然に1つのコンテンツになるのです。抽象的な説明なので簡単な具体例を挙げましょう。

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例えば中華料理のメニューをできるだけ多く挙げてみてください。マーボー豆腐、チンジャオロースー、タンメン餃子…まだまだ挙げられますよね。もうこれ以上は無理と思えるほどに列挙したら、それらをジャンルでグルーピングします。肉料理、魚料理、麺類、ご飯もの、点心…など。

グルーピングできたら、そのグループの中で優先順位をつけます。 さらにそのグループ自体にも優先順位をつけます。その結果が、中華料理店のメニュー表です。

メニュー表を開くとまず麺類が登場する店が多いでしょうか。少なくともいきなりデザートを載せる店はないはずです。そして各ジャンルにおいてその店のオススメが上位に並んでいることでしょう。この中華料理店のメニュー表が、まさにコンテンツなのです。

いかがでしょうか。コンテンツ作りのアプローチは2つあり、それは「大→小」と「小→大」であることが伝わったと思います。問題はどちらの方法論があなたにFITしているかでしょう。ひとつ整理をするなら、このようなモノサシで選んではいかがでしょう。

「大→小」:論理思考が得意なタイプ
「小→大」:「とにかく伝えたいことはたくさんあるの」といったタイプ

「大→小」はまさにロジックツリーの構造そのものです。だからいわゆる論理思考が得意な人にはしっくりくる方法でしょう。一方、そのような思考が苦手な人は自分の言いたいことを体系立てることに苦手意識を持っています。しかしだからと言って研修の参加者に伝えたいことがないわけではありません。伝えたいことはたくさんあるはずです。「あれも伝えたい、これも伝えたい」なタイプの方は、こちらの方法でとにかく細かい素材を数多く列挙する方法と相性が良いでしょう。

ところで、この話題になると必ず次の質問をいただくことになります。「順序づけ(→)はどう考えたらスムーズにできるのでしょうか?」確かに。順序づけ、とても大事ですね。

ヒントは先ほどご紹介した「STEP1」にあります。そもそも研修とは、受講者をある場所に導くために行います。私の専門であるビジネス数学であれば、データに弱い人を強くさせる、会社の数字が読めない人を読めるようにさせる、といった感じです。ですからあなたの研修も「どんな人がどうなるのか」が言語化されているはずです。

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ゴールが設定されているのですから、そのゴールのすぐ手前には何が必要か考えることは難しくないはずです。それが明らかになれば、その手前には何が必要か考えることは難しくないはずです。それが明らかになれば…これを繰り返すことで、あなたの研修コンテンツはこのような姿になるはずです。

スタート















ゴール

つまりいくつかの塊と矢印で構成され、順序立てて進めることでスタートからゴールまで導きます。だから先ほどの「Q1」がはっきり言語化できていることはとても重要なのです。複数の要素にわけ、それを矢印でつなげるとコンテンツはできる。まさに私の提唱する「わけるとつなぐ」に他なりません。ちなみに書籍の目次などもまさにこのような構成になっていますし、実は今回のこの授業も次のような構成になっています。

スタート

研修講師には2つのタイプがある

コンテンツ作りのアプローチは2つある

「大→小」

「小→大」

「大→小」か「小→大」かを選ぶ視点

順序づけのコツ

最後にエクササイズ

ゴール

繰り返しですが、研修とは受講者をある場所に導くために行います。導くのですから、まさにスタートからゴールまでの「導線」が描けていなければウソです。そして良質なコンテンツはすべて「わけるとつなぐ」で説明がつきます。ぜひコンテンツ作りの基本として身につけておいてください。

最後にエクササイズを用意しました。ぜひチャレンジしてみてください。

<エクササイズ>
あなたがやりたい研修のコンテンツを作成するにあたり、スタートからゴールまでの導線を描いてください。

次回はこの続きをお話しします。ぜひ一緒に学びましょう!(メルマガ『深沢真太郎の「10年稼げる研修講師になる授業」』2022年4月7日号より一部抜粋)

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image by: Shutterstock.com

深沢真太郎この著者の記事一覧

日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。予備校講師から外資系企業の管理職などを経てビジネス研修講師として独立。大手企業・プロ野球球団・トップアスリートなどの教育研修を手がけ、一部企業とはアドバイザリー契約を締結し人材開発のサポートを行っている。さらにSMBC・三菱UFJ・みずほ・早稲田大学・産業能率大学などと提携し講座を提供。2018年には「ビジネス数学インストラクター制度」を立ち上げ、指導者育成にも従事している。
数学的なビジネスパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、述べ1万人以上を指導してきた教育の第一人者。世界中の学校と企業で「ビジネス数学」が学べる世の中にすることを使命としている。テレビ番組の監修やラジオ番組のニュースコメンテーターなどメディア出演も多数。著作は国内累計25万部超。実用書のほか作家として小説も発表しており、多くのビジネスパーソンに読まれている。BMコンサルティング株式会社 代表取締役 一般社団法人日本ビジネス数学協会 代表理事 国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者 国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクター

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【著者】 深沢真太郎 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1木曜日・第3木曜日

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