ウクライナ侵攻で潮目が変わった。来る「超円安」と“戦争の時代”を生き残る経済理論とは

 

このため、供給安定のためには、価格を自国のコスト水準まで上げて、自由競争ではなく、安定供給のために寡占化させることが正解になる。電気の小売り自由化を即座に止めて、九電力会社の地域優位を復活させる必要がある。

ベンチャー電力企業が小売りするなら、電力を自前か再生エネルギー企業と個別契約して、小売り電力と自前電力が等価までしか小売りを認めないことで、自由卸市場電力は短時間の不足分しか買えないようにするしかない。

その上に、九電力会社の原子力発電を再稼働させて、地域優先で電力の安定電力確保を義務付けることである。または、小売りの自由化をなくしていくことだ。戦争が続く限り、安定供給力重視の政策で行くことである。

その他のエネルギーも供給を増加させることである。太陽光発電、風力発電などの一層の拡充が必要である。石油やLNGなどの輸入は、公的企業が一括で行うことである。その企業を政府が統括して、価格をコントロールするしかない。

木材も足りない。国内の林業を活性化させる必要がある。国内林業を育成することである。若者を都市から山に呼び戻すことである。機械化と林道の整備が必要であり、木材工場も必要になる。

そして、輸入木材も価格管理するべきである。安定供給するためには、輸入木材に国内木材と同価格になるようにするしかない。勿論、木材切り出しなどの合理化・機械化を行い、価格を下げる努力をしても埋められない部分の価格差を無くすことである。

食糧も同じであり、供給力の拡充が必要であり、安定価格制度を作り、耕地面積の拡大と機械化による収益の拡大を政府が支援することである。補助金ではなく、広大な耕作面積を容易に確保でき、機械化投資の支援を行うことである。

海外から輸入する食料品は、国内生産価格より安いなら、差額分を政府が逆ザヤになる時に補填のために、貯蓄することである。物価統制の仕組みを作り、安定供給と価格安定を優先に経済政策を打つことである。

もう1つ、円安の時代になった。戦争と円安で、工場の日本回帰を促進する必要がある。このためには、労働者不足解消が必要であり、このためには、ミャンマーやウクライナ、ベラルーシ、ロシアなど専制的支配者と専制主義国からの攻撃から逃げる人たちを、優先的に日本に来てもらえる環境を整える必要がある。難民支援を積極的に行うことが日本の問題解決にも役立つことになる。

この人たちとともに、高学歴の人たちも入ってくるので、この人たちが日本で企業を起こすための資金も集められる仕組みが必要である。英語環境を整える必要もある。日本は安全であり、環境を整えると、多くの人たちが日本を目指してくることになる。

東京を国際都市にするという構想は、進めるべきである。観光としては、多くの地点が手を挙げているが、ビジネス環境は東京しかできないかもしれない。

円安の時代では、インバウンドも有望である。観光資源が豊富にあり、日本人の感覚やおもてなし力は高いレベルにあるからだ。

円安と「戦争の時代」に合う経済政策が必要であり、その構築を早期にするべきである。しかし、統制経済化するのは、世界的に供給が足りないものだけである。G7としての地位を守るために、自由貿易を堅持することは国益上、必要である。

この体制は、民主主義国と専制主義国との戦争が続く間、続くことになり、相当長期になると思われる。民主主義国のリーダーとしての地位を確保する必要にもある。

さあ、どうなりますか?

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