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学生がリモートで消え存続の危機に。東京・新宿の老舗食堂を救った感動の物語

東京・新宿区にある一軒の老舗食堂。コロナ禍で学生が街から消え、経営危機に陥りましたが、かつての学生たちであるOB・OGたちが店を救ってくれたといいます。そんな感動話を披露してくれるのは繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさん。自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、客に愛される店作りの秘訣を紹介しています。

牛めし&カレー&豚カツ この3つだけで勝負する、学生ご用達食堂

牛めし、カレー、豚カツ。そのどれもが大食漢を魅了するメニューです。この3つを一度に味わうことのできるお店が、東京都新宿区にあります。

「三品食堂」。3つの料理が、そのまま店名となっているのです。

基本的に、料理はこの3つしかありません。単品もしくはその組み合わせがあるのみ。

牛めし+カレーの「あいがけ」、大盛玉子入り牛めしの「大玉」、豚カツ入り牛めしの「カツ牛」、玉子入りカツ牛の「カツ玉」、カツ牛+カツカレーの「ミックス」、ミックスの特大「赤玉ミックス」など。

この3つの組み合わせに、量の違いで、「並・中盛・大盛・特大」があります。ガッツリ食べたい人には、夢のようなメニューです。

カツカレーや牛丼とカレーのあいがけは他店でもありますが、この三つ巴は見たことがありません。

このお店は、早稲田大学の前にあるため、第2の学生食堂とも言われ、学生のために存在していると言っても良いでしょう。

創業56年。数多くの学生たちの胃袋を満たしてきました。

元々は、学生向けの帽子を販売するお店でしたが、時代とともに売れなくなり、廃業。店主は、勤めに出ることに。空いたお店を活用したいと考えた、店主の奥さんが、学生相手の牛めし屋さんを開業しようと決意。

しかし、牛めしだけでは飽きられるので、学生の好きなカレーライスと豚カツも出すことに。この3品の味とボリュームが評判となり、以来56年、学生たちに愛され続けています。

食堂店主が高齢化のため、息子さんが後を継ぎましたが、母親が生み出した、牛めしのタレのレシピを忠実に守り、当時のままの味を作り続けています。カレーもルゥを一から手づくりし、昔ながらの黄色いカレーを提供しています。

この3品だけを56年作り続けることは、並大抵のことではありません。母と息子が、手を抜かず、毎日同じものを淡々と作っているのです。

仕事とは言え、飽きずにずっと続けるには、強い精神力が必要です。しかし店主は、もうすでに超越しているかのようです。黙々と同じ動作を繰り返していることに、老舗の風格さえを感じます。

そんな繁盛しているお店ですが、コロナの波には太刀打ちできず、危機的状況が訪れました。外食が減った上に、大学がリモート授業となったことで、学生たちが周辺からいなくなったのです。

危険な状況に陥り、仕方なく2ヵ月間休業していたところ、お店の危機を知った大学のOB・OGたちが、売り上げを支えるために、食べに来てくれるようになったのです。

また、OB・OGがECサイトを立ち上げてくれ、ネット販売をすることもできました。さらに、テイクアウトやデリバリーも始め、閉店の危機は免れたのです。

これは、学生たちの恩返し。学業の苦労や親元を離れた寂しさを、お腹いっぱいになることで、しばし忘れさせてくれたのが、この食堂だったのです。

お店の壁には、卒業していった学生たちの寄せ書きが飾られています。本当に愛されているお店だということがわかります。

お客さまとの深い繋がり。客商売のあるべき姿なのではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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