芦屋といえば関西の高級住宅地として知られていますが、そのセレブばかりの場所になんと“激安スーパー”で知られる「玉出」が出店しているそうです。繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、セレブたちを満足させるどのような戦略を練っているのかを解説しています。
無謀な挑戦!? 庶民派スーパーが、高級住宅地「芦屋」に出店する理由
関西ではお馴染み。1円セールと派手な看板で知られるスーパー「玉出」が、高級住宅地「芦屋」に出店するというニュースが。
この記事のタイトルを見た時、なんと無謀なことを、あり得ないと感じましたが、ニュースの注目度を高めるための“煽り”でした。
実際は、スーパー「玉出」を運営する企業が、有機野菜や自然食品を扱う、まったく別路線のスーパー「F.F.マルシェ芦屋」を開店させるというものでした。
つまり、富裕層向けの店舗なのです。それなら、納得できます。どう考えても、スーパー「玉出」でお客さまを誘引することはできません。
激安スーパーであるとともに、店内の雰囲気もかなり庶民的。失礼ながら、芦屋のセレブが利用するようなお店ではありません。
では、なぜそんなスーパーを運営する企業が、芦屋に出店するのでしょうか。
対マスコミ的には、「高級食品を扱うスーパーとして、芦屋に出したかった。芦屋のブランド力を生かして、2号店3号店を出店させたい」としています。
私が、その本音を翻訳すると、ブランド力の高いスーパーを築き上げ、企業としての価値を高めたいということではないでしょうか。
高級スーパーを経営する会社。それが、目標だと推察します。
芦屋には、「成城石井」「いかりスーパー」「明治屋」などの高級スーパーが点在しています。これら知名度も高く、地位も確立しているスーパーを相手に、どの程度戦えるのでしょうか。
そのカギを握るのは、お店の立地だと考えます。
この「F.F.マルシェ芦屋」が開店したのは、阪神打出駅近くの国道2号線沿い。場所を知って、納得するものがありました。
高級住宅地「芦屋」と言えども、北部と南部で若干の違いがあります。
阪急電車沿線の北部は、芦屋の中でも際立った存在。セレブ中のセレブたちが暮らす地域なのです。
比較するのは申し訳ないのですが、阪神電車沿線の南部は、やや庶民寄りの地域。地価も若干安くなり、不動産評価では少し低くなっています。
「F.F.マルシェ芦屋」が出店するのは、この地域なのです。
このスーパーを運営する会社は、高級スーパーの経営ノウハウを持ち合わせていません。セレブの消費志向も理解できているのかどうか。庶民派スーパーのノウハウは通用しません。
しかし、希望的観測ができないわけではありません。
やや庶民寄りの地域なので、高級スーパーへの憧れは強く、受け入れられる可能性は高いのかもしれません。
問題は、地域住民の欲求に応えられるのかどうか。ただ高級スーパーをマネしただけでは、プチセレブを満足させることは難しいと言えます。
今後は、地域住民の消費志向をどう読み解くかが、大きな課題になるのではないでしょうか。
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