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お金のプロが教える賢い投資信託の選び方。おすすめはこの3つ、知識ゼロから始める資産運用

資産は貯めるのではなく運用しなければとわかっていても、知識や時間がなかったりでなかなか実行に移せない人が多いと思います。しかし、先行きが不透明なこの時代、資産運用を真剣に考えなければならない時期にきています。そこで今回は、株式会社Money&You代表取締役で資産運用のプロである頼藤太希さんが、初心者でもわかる投資信託の選び方を詳しく紹介。おすすめの投資信託をこっそり教えてくれます。

良い投資信託の選び方

超低金利の今、銀行にお金を預けても、お金はほとんど増えません。加えて、インフレ時代突入で預貯金ではお金が目減りしていきます。これからお金を増やしたいならば、投資をすることが欠かせません。

金融商品にはいろいろなものがあります。たくさんある金融商品は、安全性・収益性・流動性の3つのポイントを押さえてみるとわかりやすいでしょう。

「安全性」は運用した結果元本が減りづらいこと、「収益性」は運用することで利益が出やすいこと、そして「流動性」は現金に交換しやすいことです。

この3つのポイントがすべて完璧な金融商品は存在しませんが、程よく備わっているのが「投資信託」です。

でもその投資信託も日本で購入できる商品は6000本に及びます。その中から「良い投資信託」を選ぶにはどうすれば良いのでしょうか。

投資信託の種類・運用手法・リスクを抑えよう

投資信託は、投資家から集めたお金を専門家(ファンドマネージャー)が運用してくれる商品です。運用で利益が出たら、投資した金額に応じて利益(売却益・分配金)が受け取れます。元本保証はありませんが、預金よりも大きく増やせる可能性があります。それに、損失も投資額に応じた金額で済みます。

投資信託はさまざまな形で細かく分類されますが、以下の3つの分類だけ押さえておきましょう。

①投資する資産の分類

・株式に投資:株式型
・債券に投資:債券型
・不動産に投資:不動産投資信託(REIT・リート)
・複数の資産に投資:バランス型

投資信託の投資先は主に、株式・債券・不動産などです。「株式だけ(または債券だけ、不動産だけ)」に投資する投資信託もあれば、1本で複数の資産に投資する「バランス型」投資信託もあります。

②投資する国の分類

・日本国の資産に投資:国内型
・先進国の資産に投資:先進国型、米国型、欧州型
・新興国の資産に投資:新興国型
・世界中の資産に投資:全世界型

投資先の国や地域も投資信託ごとに違います。「日本だけ」の投資信託もあれば、「先進国(新興国)だけ」「日本を除く先進国」「日本を除く全世界」「全世界」などもあります。

③運用方法による分類

・市場全体の値動きを示す指標と連動する成果をめざす:インデックス型
・指標を上回る成果(または指標関係なくできるだけ高い成果)をめざす:アクティブ型

著書「はじめてのNISA&iDeCo」より

インデックス型は、たとえば国内株式型の投資信託であれば「日経平均株価」「TOPIX(東証株価指数)といった指標と同じ値動きをめざす投資信託です。

対するアクティブ型はそうした指標を上回ることや、指標関係なしに利益を追求することをめざします。

投資信託に限った話ではありませんが、投資には「リスク」があります。投資のリスクとは「値動き(リターン)のブレ幅」のこと。かんたんにいえば、儲かったり損したりする可能性のことです。

投資信託のリスクとリターンは、その投資信託がどの国・地域のどんな資産に投資するかによって変わってきます。

著書「はじめてのNISA&iDeCo」より

一般に、国内より先進国、先進国より新興国に投資するほうがハイリスク・ハイリターンとなります。また債券より不動産、不動産より株式のほうがハイリスク・ハイリターンとなります。海外の資産は、為替レート(通貨の交換比率)の変動の影響も受けます。

複数の資産に投資するバランス型の投資信託は、それぞれの投資先の中間くらいのリスク・リターンと考えておけばいいでしょう。

良い投資信託を選ぶポイント

さまざまな投資信託から、自分にあった商品を選ぶポイントを紹介します。

インデックス型・バランス型

①純資産総額:多いほどいい
②運用成績(純資産総額・基準価額の推移):右肩上がりだといい
③信託報酬:低いほどいい
④投資先の資産:多いほどいい
⑤シャープレシオ:値が高いほどいい
⑥トラッキングエラー(ベンチマークと実際の値動きの差):値が小さいほどいい

投資信託の規模を表す純資産総額と価格を表す基準価額がともに右肩上がりで増えていることが大切です。これらは運用成績が好調で、投資家からの人気が高いことを示します。

逆に純資産総額が極端に減っていると、「繰上償還」の可能性もあります。繰上償還は投資信託の運用が満期になる前に終了することです。投資信託の資産が大きく減ったり、投資信託会社が破たんしたりしたときに行われる場合がある。特に損を抱えているときに繰上償還すると、損が確定してしまいます。

信託報酬が安いことも重要。同じベンチマークの商品は、似た値動きをします。TOPIXに連動する商品は何本もありますが、そのときに利益の差を生むのは信託報酬です。

投資先はなるべく多いもの、市場全体をカバーできるものを選ぶといいでしょう。そのほうが、分散投資の効果が高まります。

たとえば、米国の株式市場の代表的な指標に「S&P500」があります。S&P500は、ニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場する銘柄から選ばれた500銘柄の時価総額もとに計算される指数です。

S&P500だけで、米国の株式市場の時価総額の約80%をカバーしていますから、市場の大部分と思われるかもしれません。

しかし、「CRSP USトータルマーケットインデックス」(以下CRSP)ならばもっと幅広い投資が可能。CRSPは米国株式市場の大型株から小型株までほぼすべて、約4000社の時価総額をカバーしています。

同じ市場(ここでは、米国株式市場)に投資する投資信託ならば、S&P500よりもCRSPのほうが市場全体に投資できます。

アクティブ型

①運用成績:高いほどいい(過去5年以上をチェック)
②純資産総額:少しずつ増えているといい
③シャープレシオ:値が高いほどいい
④資金流出入額:順調に流入しているものがいい

アクティブ型は何よりリターンを重視します。インデックス型より手数料が高くても、インデックス型を上回る運用ができていればさほど気にする必要はありません。

少なくとも5年、できれば10年といった長いスパンでの運用成績を確認し、順調に伸びているものを選びましょう。

また、同程度のリスクの商品の中で収益性が高いことを表すシャープレシオもチェック。数値が高いほど、効率よく利益を上げられていることを表します。

資金流出入額は順調に流入しているものが良いです。急激に増えていたり、純資産総額が大きくなりすぎたりは要注意。アクティブファンドには適切なファンド規模があります。

純資産総額が大きいと、資金が潤沢すぎるゆえに、かえってアダとなることもあります。

例えば、小型株に投資をするアクティブファンドの場合、成長が期待できる小型株に投資しようとしても、自分たちの売買が株価の変動に影響を与えすぎてしまうため、なかなか購入できないのです。投資先は大型株などに限られてしまいます。

その結果、値動きは比較的安定するのですが、大きな成長は望めません。

まずはインデックス型・バランス型できちんと核となる資産を築いてから、さらにお金を増やすためにアクティブ型を使う、という流れがおすすめです。

おすすめ投資信託3本

以上を踏まえて、現時点でおすすめできる投資信託を3本、紹介します。

① SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド

米国の資産運用会社、バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)というETF(上場投資信託)に投資することで、「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」という指標と連動をめざす投資信託です。

この指標は、日本・世界の大中小型株約9000銘柄の値動きをもとにしたものですから、世界経済の成長とともにお金を増やす期待ができます。2022年1月31日に設定されたばかりのファンドです。

・純資産総額:78.8 億円
・基準価額: 10,269円
・信託報酬(税込):年0.1338%

②ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)

国内債券・国内株式・先進国債券・先進国株式の4資産に25%ずつ均等に投資するバランス型の投資信託です。半分は債券ですので、比較的リスクは控えめです。

バランス型は、運用で資産の配分が偏ってきても自動的に直してくれるので、メンテナンスの手間がかからないのもメリットです。

・純資産総額:201.6 億円
・基準価額:14,261 円
・信託報酬(税込):年0.154%
・トータルリターン:6.89%(5年・年率)、44.93%(設定来)

③eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

国内・先進国・新興国の株式と債券、国内外の不動産(リート)の計8資産に12.5%ずつ均等に投資するバランス型の投資信託です。

株式と債券が37.5%ずつ、不動産が25%ですので、「4資産均等型」よりもリスクは高め。低コストでさまざまな資産に投資できます。

・純資産総額:1428.4 億円
・基準価額:13,569 円
・信託報酬(税込):年0.154%
・トータルリターン:8.31%(3年・年率)、37.67%(設定来)

皆様の投資行動のご参考になれば幸いです。

※紹介する個別銘柄についてはあくまでも個人の見解によるものです。購入する場合は自己責任でお願い致します。

プロフィール:頼藤太希(よりふじ・たいき)
株式会社Money&You代表取締役。中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、アメリカンファミリー生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。女性向けウェブメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営。『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめてのFIRE』(宝島社)、『そのままやるだけ! お金超入門』(ダイヤモンド社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)ほか著作・共著・監修書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)。Twitter→@yorifujitaiki

image by : shutterstock

頼藤太希

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