プーチン暴走が引き金に。日本が直面する中国と露と北3正面からの侵攻リスク

2022.05.19
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切っても切れない関係にある台湾有事と日本有事

一方、これによって懸念されるのがその中国の出方だ。ロシアによるウクライナ侵攻を中国がどう観ているについては既にさまざまな見解があるが、習政権が台湾侵攻をちらつかせる動きを見せている現状では、危機管理的な視点からその動きを追っていく必要がある。

たとえば、台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」が3月に発表した最新の世論調査結果によると、台湾有事に対して米軍が関与すると回答した人が34.5%となり、昨年10月の65.0%から30.5%も急落したことが明らかとなった。また、同様に日本の自衛隊が参戦すると回答した人が43.1%と昨年10月に実施された同調査から14.9%も減少し、台湾市民の多くがウクライナ戦争における米国の対応に不安を強め、台湾有事へ警戒心を高めていることが分かった。

それも影響してか、台湾軍は4月中旬、中国による軍事侵攻に備え民間防衛に関するハンドブックを初めて公表し、有事の際に市民が身を守るための指針を示した。発表された国防マニュアルには、スマートフォンのアプリを使った防空壕の探し方、水や食料の補給方法、救急箱の準備方法、空襲警報の識別方法などが詳述されているという。また、台湾の国防部長(国防相にあたる)は3月下旬、軍事訓練義務の期間を現行の4ヶ月からさらに延長する可能性を示唆した。

日本は台湾の上述のような動きを真剣に捉えなければならない。台湾有事では必然的に在沖縄米軍が関与することになるので、それはすぐに日本の安全保障の問題となる。台湾有事と日本有事は切っても切れない関係にあり、ロシアによるウクライナ侵攻が中国の侵攻意欲を高めても決して不思議ではない。

3月に公表された米世論調査によると、「ロシアによるウクライナ侵攻で米国が積極的な役割を果たすべきか」との問いに対し、「積極的な役割を果たすべきだ」と回答した人は全体の26%に留まり、「最低限の役割に留めるべき」が52%、「役割を果たすべきではない」が20%と全体の7割以上が積極的関与を否定した。こういった米国民の見方も極めて心配なデータだ。日本はロシア、北朝鮮、そしてロシアによる侵攻によって行動がエスカレートする中国という、正に3正面脅威に直面することになるだろう。

image by: Alexander Lukatskiy / Shutterstock.com

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

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