金正恩の涙にダマされるな。必ずある別の意図、今までの落涙と残忍な行動を検証

April 26, 2019 - Vladivostok, Primorsky Krai - North Korean leader Kim Jong-un during the ceremony of laying flowers and wreaths at the memorial of eternal fire in VladivostokApril 26, 2019 - Vladivostok, Primorsky Krai - North Korean leader Kim Jong-un during the ceremony of laying flowers and wreaths at the memorial of eternal fire in Vladivostok
 

北朝鮮の軍人である玄哲海が死去し、その遺体のそばで涙を流したとされる金正恩─。この報道に違和感を感じた人も多かったかもしれませんが、やはりこれには何か別の意図があるようです。無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、金正恩の涙には裏があるとして今までの涙を見せた際の行動をトレースしています。

ワニの涙。信用できぬ金正恩の落涙

玄哲海(ヒョン・チョルヘ)北朝鮮人民軍元帥の殯所(霊安室)。5月19日に死亡した玄哲海の遺体安置所をその翌日に訪れた金正恩(キム・ジョンウン)は、遺体を眺めながら悲痛な表情を浮かべ、ハンカチまで取り出して涙を流してみせた。

「喪失の痛みを禁じえなかった」(北朝鮮朝鮮中央通信の表現)金正恩は玄哲海の遺体が入った棺を直接他の幹部らといっしょに担ぎ、最後の礼を尽くした。

軍部の核心である玄哲海は、金正恩の権力引継ぎ業務を担当した。霊安室を訪れてすすり泣いたのは自然な反応であり、人間的道理だろう。

ただ、それを住民たちにそのまま露出したならば、話は変わってくる。北朝鮮メディアは映像の一場面、写真の微細な角度まで検証に検証を重ねて報道する。

「金正恩の涙」が伝えようとする意図や別次元のメッセージが、明らかにあるという意味だ。

2011年12月、父親の金正日(キム・ジョンイル)が死亡した時、ついに姿を現した20代の金正恩第1書記は、涙を見せた。

告別式の日、金正日の運柩車を護衛したこの後継者は、手袋もつけずに雪の降る平壌市内を沈痛な表情でとぼとぼと歩き、その姿はそのまま世間に流された。

その後金正恩は、忘れられそうになると涙を流し、それを拭いた。2015年の旧正月には、初めての訪問地として平壌(ピョンヤン)育児院を訪れ、涙を流した

2020年の党創建記念日の閲兵式では、住民たちを前に「申し訳ない」「ありがとう」を連発し、涙ぐんだのは記憶に新しい。

このような金正恩の涙に一貫したキーワードは「愛民」だ。「民を見下ろしている」イメージを演出したい時、金正恩は伝家の宝刀である涙を利用した。

ところが、金正恩の涙で特に注目すべき点は別にある。韓国当局者は、「金正恩体制宣伝政策の核心は、最高指導者の強穏両面を同時に露出し、効果を極大化することだ」と述べた。

強靭な将軍のイメージと涙に象徴される温かい親のイメージを同時に演出し、住民を惑わせようとしているという話だ。

これは、金正恩が、それほどまでに似たい、祖父の金日成(キム・イルソン)が掲げた宣伝扇動戦術ともつながっている。

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