また、加計学園問題についてはもっと単純で、朝日新聞で報道された議事録は文科省のメモであろうと著者は推測しています。その中に「総理のご意向だと聞いている」と書かれてあるという内容です。
そもそも、加計学園の獣医学部新設が認可されることが決まって、文科省としては敗北が決まった段階のメモなのです。これを根拠に首相を批判するのは文科省の組織的な抵抗であったのでしょう。
文科省はこうした許認可権によって獣医学部を新設させないことで天下りをしてきたのが、新設を強要されたばかりか、天下りも禁止され、天下り斡旋で事務次官も更迭される事態となっています。文科省はこの恨みをマスコミと一緒に晴らしたかったのかもしれません。
ゴミの存在が明らかになった後でも、近畿財務局は値引きや、処分費用を出すという提案もなく、森友学園側で場内処分をしてほしいとしか言っていない。この近畿財務局の対応について、森友学園側はかなり怒った(p33)
そして最後の財務省はなぜ、消費税増税を推し進めたのかの解説がわかりやすい。財務官僚も消費税を増税すれば、経済が悪くなることは理解しているのです。ただ、日本の将来のためにあえて国民に不人気な増税という選択をすると考えているのです。
そもそも民間の経済が悪くなっても、官僚の生活はそれほど変わらないし、バブル時代には民間の給与は上がったが官僚はそれほど増えず、相対的に惨めだったという体験をしているのですから、借金を増やすくらいなら、経済が悪くなってもかまわないと考えているというのが著者が財務省内で感じていたことなのです。
アメリカの自由と平等が白人による白人のためであったのと同じように、「消費税増税は日本の将来のためになる」の日本とは、官僚による官僚のための日本なのだと感じました。
いつもながら分かりやすい解説に感嘆しました。
高橋さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(84点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(お薦めです!ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(買いましょう。素晴らしい本です)
★★★☆☆(社会人として読むべき一冊です)
★★☆☆☆(時間とお金に余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては価値を見い出すかもしれません)
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