プーチン大統領はその効果を全否定する西側諸国による制裁措置ですが、実際はロシア経済に大打撃を与えているようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、ロシアの自動車業界の現状を伝えるモスクワ日刊紙の記事を紹介。そこに記されていたのは、300万人に及ぶロシア国民が路頭に迷いかねない「惨状」でした。
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【卒倒】制裁で崩壊したロシアの自動車産業
「ロシア制裁効いてないよね」という人がたくさんいます。実際、ロシアの知人、友人に聞くと、「目に見える影響は、インフレだけだ」といいます。
しかし、私は、欧米日の対ロシア制裁の事を【地獄の制裁】と呼びつづけています。そして、「制裁の影響は長期で見ましょう」と書きつづけています。
なぜか?
2014年3月のクリミア併合後、欧米日は制裁を科しました。その時も、ロシア政府やロシア国民は、「全然大したことないね!」と余裕だったのです。ところが、その後、ロシア経済はまったく成長しなくなりました。
プーチンの1期目2期目、ロシア経済は、年平均7%の成長をつづけていた。ところが、クリミアを併合した2014年から2020年までの成長率は、年平均たったの0.38%です。だから、実をいうと【制裁はバリバリ効いていた】のです。
今回の制裁は、クリミア併合時とは比較にならない厳しいものです。だから、長期的にロシア経済に壊滅的打撃を与えることは不可避です。
そして、「まぐまぐニュース」6月20日号「プーチンのハッタリ「経済制裁は効いていない」は大嘘。ロシアに待ち受ける地獄」では、具体的にどういう影響が出てくるか考えてみました。そして、いよいよ「どんな影響が出ているか」がわかってきたのです。
制裁で崩壊したロシアの自動車産業
「The Moscow Times」6月29日付は、以下のような衝撃的事実を伝えています。
● Росстат констатировал смерть автопрома: выпуск автомобилей в России рухнул на 97%
要約。
- ロシアの自動車メーカーには30万人が働いている。関連企業を含めると300万人が働いている
- だが、ロシアの自動車産業は、瀕死の状態だ
- 外国の自動車メーカーが去り、部品の供給がストップしたことで、(最西の)カリーニングラードから、(最東の)ウラジオストックまで自動車生産が止まった
- ロススタット(ロシア統計局)のデータによると5月、ロシアの乗用車生産は【96.7%】減少した!!!!!
(@北野註 この記事では「いつと比較して」というのがありません。しかし、続いて以下の記述があるので、「戦争開始前と比べて」なのかなと思います)
- 戦争前(2月24日より前)は、月10万台、あるいはそれ以上生産していたが、5月の生産台数は4,000台だった
(@北野註 月10万台が月4,000台になったとすると、96%減少したことになります。) - 年初、ロシアでは20の自動車工場が稼働していたが、現在では2工場しか動いていない
- 中国のHavelとロシアのAvtoVAZだ
- AvtoVAZの自動車には、エアバックとABSが搭載されないので、ロシア以外の国で走ることはできない
この他にもいろいろ書かれていますが、長くなるので、この辺で止めておきます。
皆さん、どうでしょう?ウクライナ戦争開始後、ロシアの自動車生産は【96%】減少した。これでも、「制裁は効果ないね!」といえるでしょうか?
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年7月8日号より一部抜粋)
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