看板メニューの丼が大人気の中華料理店。アイデアメニューを考え続ける店主の努力もさることながら、繁盛の理由はそれだけではないようです。そこで今回は、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、時代を象徴するような宣伝方法について解説しています。
ユーチューバーが宣伝部長!?激安丼の町中華が大繁盛!!
神奈川県横浜市に、創業80年の老舗町中華があります。お店の外観も中の造りも昭和そのもの。タイムスリップしたような、非常に味わい深いお店です。その古さが話題となり、テレビドラマやCMの舞台として使われたこともあります。
お店の名物は、店名「酔来軒」に由来する「酔来丼」。お客さまの7割が注文します。
ご飯の上に、チャーシュー、ゆでもやし、メンマ、ねぎ、目玉焼きがのったもので、ごま油と醤油だれを混ぜた調味料を掛けて食べます。お好みで辛子をつけることも。ラーメンの上にのっている具材をご飯と合わせたことが、お客さまにウケている理由です。
この丼が、驚きの400円なのです。
20年ほど前、売り上げが落ちてきた時に、店主が考案したもの。これが当たり、人気店となっていったのです。
この丼の美味しさを牽引するのは、こだわりのチャーシュー。閉店する親戚の中華料理店から譲ってもらったつるし焼豚釜を使い、知り合いの焼豚専門店に教えてもらったレシピをアレンジして作っています。
お店の経営危機で苦しんでいた店主を、まわりの人たちが助けてくれたのです。そこからは、経営的にも安定し、お客さまの絶えないお店となりました。
しかし、店主は甘えの危険性を知っているので、お客さまを飽きさせないよう、新たなアイデアで、新商品を生み出していきました。
椎茸がまるごと入った焼売やミニトマト1個が入った肉団子など、ユニークな一品も人気があります。
他にも、五目焼きそば、天津飯、中華丼、炒飯、五目そば、サンマーメン、広東麺、牡蠣の旨煮など、王道町中華的メニューや本格中華的メニューも揃っています。
アイデアメニューがヒットしたこと、テレビで取り上げられたことで繁盛したのですが、店主はそれだけではないと言います。ユーチューバーへの感謝の言葉を述べています。
テレビには大きな力があり、大繁盛するキッカケにはなります。しかし、打ち上がった花火は、一瞬輝くものの、すぐに消えてしまいます。
テレビのインパクトは一過性のものなのです。有り難いことではありますが、ずっと続くことはありません。
それに比べ、ユーチューバーに取材されると、その効果は長く続くのです。ネット上に映像が存在し続け、観る人が多くなると、さらに注目されやすくなります。
有名なユーチューバーになると、その視聴回数は爆発的な数字となり、長い期間に渡って、宣伝効果を持続させてくれます。
また、テレビと違って、視聴者は真剣に観ています。観る意思を持って、ユーチューブに接しているので、お店に対する印象も違います。行きたいという思いも強くなります。
こうしたユーチューブの特徴・パワーを店主は褒めつつ、感謝しているのです。
ユーチューバーが増え、その宣伝効果を実感しているお店も増えています。時代の移り変わりなのかもしれません。
ここで、「わけのわからない人たち」という古い認識を持っていると、お店が繁盛するチャンスを逃してしまいます。新たなメディアを受け入れ、互いの協力関係で、繁盛を掴み取るべきです。
いろんなユーチューバーを見て、これだ!と思う人にコンタクトを取ってみてはどうでしょう。新しい道が拓けるかもしれません。
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