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岸、児玉、笹川にCIA。統一教会と自民を繋いだ「黒幕」たちの魂胆

もはや日本国民全てが知るところとなった、自民党と旧統一教会との親密な関係。連日さまざまなメディアで両者の癒着ぶりが報じられていますが、ジャーナリストの伊東森さんによると、そこには決定的な視点が欠落しているといいます。伊東さんは自身のメルマガ『 モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版) モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版) 』で今回、誰がどのような目的で自民党と旧統一教会を結びつけたかを考察。3名の人物と組織の具体名を挙げ、彼らの思惑を解説しています。

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自民党と統一教会 点と線とを結ぶもの 岸信介 昭和の妖怪 児玉誉士夫 戦後最大のフィクサー 笹川良一 日本財団の創始者 CIA 日本を反共の砦として

安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を機に、あらためて自民党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係がクローズアップされてきた。

自民党は、

「党として組織的な関係がないことは確認している」(茂木敏充幹事長、時事ドットコムニュース、(*1)8月1日)

とはいうものの、その関係は、歴史的、学術的、対外的にも明らかだ。

旧統一教会は1968年、“反共産主義”を掲げる政治団体「国際勝共連合」を創設。当時から、安倍元首相の祖父である岸信介元首相ら、自民党右派との結びつきが強かった。

そのため、憲法改正や同性婚への反対など、自民党右派の政治的な思想は、「国際勝共連合」の政治的理念とぴたりと一致する。

しかしながら、メディアの報道では、「誰が」、「どのような目的」のために自民党と統一教会とを結びつけたのかという視点が、欠落。

この一連の問題の主人公は、“都市伝説”さながらに、3人の人物と一つの組織、岸信介と児玉誉士夫、笹川良一、そしてCIAだ。彼らこそが、統一教会を潤滑油に、日本の戦後政治を形作った。

よく、太平洋戦争を指して、日本の「戦争責任」が取り沙汰される。しかし実際は、日本の「戦後責任」の方がより重いのだ。

目次

岸信介 昭和の妖怪

岸信介は第56代・57代の内閣総理大臣。実弟は、佐藤栄作、長女の洋子は安倍晋太郎の妻。洋子の次男は、安倍晋三、三男は岸田内閣の防衛大臣である岸信夫。

その岸信介は、「昭和の妖怪」として名を馳せた。

戦時中は、満州でアヘンの密売により莫大な利益を上げた(*2)。戦後、釈放されると同時に、CIAの援助を受け、首相の座に座る。

さて、その岸信介と統一教会とのつながりは何か。

「岸氏の自宅は渋谷の南平台にありましたが、その隣に統一教会の施設があった。で、教会と関係の深かった右翼のドン・笹川良一氏に、彼らについて教えてもらっています。それから関係は深まり、韓国の教会本部も複数回訪れて、講演や文鮮明との会談を果たしている。国内で教会系の団体が集会を開いた際には、名誉会長も務めていました。」(「宗教問題」編集長、ジャーナリストの小川寛大氏(*3))

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児玉誉士夫 戦後最大のフィクサー

児玉誉士夫は、戦後の最強(最恐)フィクサーだ。もとは右翼の大物であり、戦前に中国に進出、外務省および嘱託として、汪兆銘傀儡政権の樹立工作に関わる。

さらに、海軍の軍需物資を調達する「児玉機関」を上海に設立。終戦直前に児玉機関の資産をひそかに日本に空輸して、帰国した。

戦後は、A級戦犯として巣鴨プリズンに3年近く拘留されたものの、アメリカの情報機関との関係を構築。とくにロッキード社の関係は深く、ロッキード事件の“黒幕”とも呼ばれた(*4)。

1976年、ロッキード事件が発覚し、田中角栄元首相らが逮捕された。だが、ロッキード社や丸紅、全日空を経由し、賄賂の受け渡しの「ハブ」となった人物が、この児玉誉士夫だ。

ロッキード事件は旅客機販売の商戦で起きた。ロッキード社はマクダネル・ダグラス社を抑えて全日空から受注を獲得し、勝利。しかし激しい商戦の舞台裏では、「インテリジェンス」が微妙に絡んだ人脈が力を発揮していた。

窮地に立ったロッキード社のために、形成を逆転させるよう、ときの中曽根通産相に依頼したのが児玉だ。

統一教会の創始者である文鮮明は「反共産主義」を掲げる政治団体、「国際勝共連合」を1968年に設立、その創設メンバーとして、児玉誉士夫も名を連ねた。

笹川良一 日本財団の創始者

笹川良一は、大正・昭和期の政治家であり、社会奉仕活動家。座右の銘は、「世界一家、人類兄弟」。自身は、テレビCMにも出演していた。

衆議院議員や国際勝共連合の名誉会長、財団法人日本船舶振興会(のちの公益財団法人日本財団)の会長を務める。

戦前は、自身を「大衆右翼」と位置づけ、イタリアのムッソリーニを崇拝、大衆運動の合法的な組織化に力点を置き、国粋大衆党を結成。

戦後は、A級戦犯へ指定、巣鴨プリズンに3年間収監されるも、のちに不起訴となり釈放された。

出所後は、モーターボート競走法設立に力を入れ、社団法人全国モーターボート競走会連合の設立に関与。

さらにモーターボート競走の収益金で日本の造船事業の振興を進め、また福祉事業を助成するために財団法人日本船舶振興会(のちの日本財団)を創設。

メディアからは、「ファシスト」「右翼」「日本政財界の黒幕」「右翼のドン」と呼ばれ、CIAのエージェントでもあった。同時に社会奉仕活動に力を入れ、CMで「一日一善」「戸締まり用心、火の用心」を呼び掛けた。

1963年に統一教会の日本支部の顧問を引き受け、同年の6月4日に合同結婚式にも夫妻で参列。

統一教会が1968年に結成した国際勝共連合でも結成時から名誉会長を務めてはいたものの、統一教会の布教活動が問題視されてきたころに、距離を置く。

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CIA 逆コース 日本を反共の砦として

1997年、アメリカのドラルド・フレイザー下院議員は、統一教会への調査を開始。

444ページにおよぶその報告書では、賄賂、銀行詐欺、違法なキックバック、そして武器販売について、「ムーニー」とよばれる統一教会の2万人の信者が関与していると主張(*5)。

同時に、統一教会そのものが、韓国中央情報局(KCIA)により「つくられた」存在であると明らかにした。

報告書では、ムーニーたちは、アメリカの外交政策に影響を与える“政治的道具”として、KCIAの長官であったキム・チョンフィルと協力。また、そもそもCIA自体が、第二次世界大戦後にKCIAを設立した主要な機関であった。

統一教会の文鮮明と日本の“ファシスト的”な仲間である児玉誉士夫と笹川良一は、1960年代にKCIAエージェントの援助を受け、アジア人民反共産主義連盟を結成する。

戦後、アメリカにおける対日政策を大きく転換、それは「逆コース」と呼ばれた。逆コースにおいて、対日政策はリベラル政策一辺倒というよりも、日本を「共産主義の防波堤」にしたいアメリカの思惑が動く。

その思惑のもと動いたのが、岸信介や児玉誉士夫、笹川良一であり、彼らの潤滑油として統一教会と国際勝共連合が機能したのだ。

引用・参考文献

(*1)「自民、旧統一教会との関係発覚相次ぐ 世論の批判警戒、野党は追及」時事ドットコムニュース 2022年8月1日

(*2)魚住昭「昭和の妖怪・岸信介は『アヘン密売』で絶大な権力を得た!? 今さら聞けない『満州国の裏面史』」現代ビジネス 2016年7月31日

(*3)デイリー新潮「『文尊師は誠実な男』 岸信介が統一教会トップを称賛した“異様”な機密文書」Yahoo!ニュース 2022年7月29日

(*4)春名幹男「ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス」角川書店  2020年

(*5)Reverend Moon: Cult leader, CIA asset and Bush family friend

(『 モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版) モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版) 』2022年8月5日号より一部抜粋・敬称略)

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image by: yu_photo / Shutterstock.com

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