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東京地検特捜部は的外れ?元電通五輪理事や政治家の逮捕すら笑う「日本の病巣」とは

元五輪理事の高橋治之容疑者(78)が17日、東京オリンピック関連での受託収賄の疑いで逮捕されました。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では、著者でジャーナリストの上杉さんが、今回の逮捕劇が利権まみれの日本に与える影響を予測。「いくらリテラシーの低い日本人でもそろそろ気づくころではないか」として、理事や電通というスケープゴートに責任を押し付ける「真の黒幕」を指摘しています。

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【問題の本質】五輪疑惑が消えていく理由(予言)

2020東京オリンピック組織委員会理事へのスポンサーからのキックバック疑惑が発覚したのは7月のことだ。長年、疑惑の本丸とみられてきた元電通・元五輪理事の高橋治之氏の自宅や電通本社に東京地検特捜部の捜査が入ったのだ。

これで、日本のスポーツ界の未来も明るくなるのか?利権まみれの広告代理店ビジネスにも終止符が打たれるのだろうか?腐敗しきった五輪ビジネスはいよいよ終焉を迎えるのだろうか?

残念ながら、その可能性は低い。なぜか。それは疑惑の本質が、五輪にも、スポーツにも、電通にもないからだ。理由を説明しよう。

オリンピックに限らず、長年、日本のスポーツ興行のほとんどは電通の手によってなされてきた。80年代以降、世界的なスポーツにおける日本での催行及び、国際的なスポーツイベントのテレビ放映は、電通なくして成立しえなかったと言っても過言ではない。

ビジネスを独占してけしからんというなかれ、電通以外で日本のスポーツ興行が可能な企業など存在しなかった。良いか悪いかは別として、日本のスポーツ界の発展に電通が寄与してきたのは疑いなく、そうした意味で、電通なくして日本のスポーツ文化は成長できなかったと断言してもよいだろう。

しかし、時代は変わった。電通型の旧いビジネスモデルは世界で通用しなくなっている。とりわけ、放映権料収入による巨額ビジネスのモデルは、インターネットの登場によって変更を余儀なくされている。

日本とて例外ではない。だが、既得権層(エリート層)に無自覚に働く防衛本能がその現実から目を背けさせている。日本においては、いまだ電通、より正確に言えば、その傘下にぶら下がるテレビ局が圧倒的な力をもって利権構造に甘んじている。

放送と通信の融合という世界のメディアシーンではとうの昔に死語になっている言葉をいまだに掲げているのは日本くらいのものだろう。インターネットの発展とともにメディアも新しい世界を構築しつつある。アジアでもアフリカでもメディアは日本の数歩先を歩んでいる。

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一方、日本語という障壁に守られている日本のメディアが鎖国状態にあることに無自覚だ。小さく、将来性のないパイを奪い合っているにすぎず、その象徴的な利権が、放映権である。

五輪利権もスポーツ利権も電通の腐敗もすべてこの放映権ビジネスに原因がある。放映権はいまや日本最大の利権となっている。政治的にもビジネス的にも圧倒的な影響力を持ち、なによりフェアであるべき言論空間の健全性を歪めている。

五輪組織委員会に各新聞社の幹部が名を連ね、各局のアナウンサーが委員となっているのはなぜか?サッカーワールドカップの解説に、かつてのサッカー選手ではなく、テレビタレントが登場するのはなぜか?一業種一社であったはずのオリンピックのオフィシャルスポンサーに、新聞各紙(クロスオーナシップで放送局も結ばれている)が名を連ねているのはなぜか?

すべては、テレビ(マスコミ)が放映権ビジネスに群がっていることに起因している。五輪やスポーツイベントの疑惑報道に、日本のテレビ(メディア)が消極的なのは、自らの不正を直視したくないという意識の現れに他ならない。

結局、彼らは金なのだ。立派なことを述べながら、放映権の解説を一秒たりともしないではないか。理事や電通というスケープゴートに責任を押し付けているにすぎない。

統一教会問題は信者だけの問題だ。そこに目を背けさせているのは誰だ。賢明な読者ならば気づいただろう。

真の問題は、何兆円もの国民の税金を使った放映権の問題である。いくらリテラシーの低い日本人でもそろそろ気づくころではないか。

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image by: Morumotto / Shutterstock.com

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