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統一教会問題で注目。神様仏様が聞いて呆れる「宗教とカネ」驚きの実態

自民党との深い繋がりが明らかになった旧統一教会をはじめ、豊富な資金力を誇る組織が目立つ「新宗教」と呼ばれる宗教団体。なぜ彼らはえげつないほどのカネを貯め込んだり「運用」することが可能なのでしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では、著者で投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔さんが、宗教団体が税法上でどれだけ優遇されているかを紹介。知られざる「宗教とカネ」の実態を白日の下に晒しています。

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宗教とカネ。所詮は金集めが中心の宗教団体、宗教法人のオイシイ税制優遇制度

みなさま、こんにちは!

「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。

今回のテーマは、「宗教とカネ」についてです。

現在、霊感商法や献金献身で悪名高かった旧統一教会と自民党との関係がズブズブだったことが、盛んに暴露され続けています。

反社会的活動が目に余った旧統一教会や、その関連団体の国際勝共連合などの主張の偏よりや違和感は、かねて一般にも周知の事柄だったゆえに、そうした団体との関係性をもっていた議員の見識が大いに問われているのです。

まったく、旧統一教会などと関係のあった自民党議員たちの往生際の悪い釈明や、岸田文雄自民党総裁の優柔不断な対応ぶりには目を覆いたくなるばかりです。

こんなカルト教団にまで選挙を応援してもらい、ジェンダー平等などの人権政策や憲法改正案にまで影響を受けていた疑いが濃厚なのですから、非常に情けない限りの与党・自民党や一部野党の体たらくなのでした。

「カネ」がなければ回らないのが「宗教団体」という組織!

マルクスは「宗教はアヘン」と断じ、否定的に見ていたことが知られます。

また、さまざまな宗教の歴史的変遷から、「宗教は人類の災いのもと」と断じる人も少なくないことでしょう。

「カネを貢いでくれる信者の奪い合いや、教義の違いが招く他宗排斥が争いを生み、口では平和や愛やらを唱えながらも、異教徒に対しては憎しみを燃やし、互いに潰し合いになるのが宗教の宿命」と否定的に思っている人も数多くいることでしょう。

それでも、この世に悩めるものがいる限り、世界中に宗教は存在し続けることになる──とも思えます。

さて、日本では一般的な既存の伝統宗教とは異なる、明治以降に生まれた成立時期の新しい宗教団体は「新宗教」と呼ばれます。

むろん、韓国で生まれ、日本でも足場を築いた旧統一教会も、そうした「新宗教」に括られます。

こうした「新宗教」の特徴は、その多くが独自の教義を唱える教祖を有し、「現世利益」を謳い、信者は生きているうちに幸福になれる──と説くものが少なくないのです。

いっぽうで、歴史ある伝統宗教のほうは、末端における神社仏閣が廃れていく状況が近年顕著なのに対し、数多ある「新宗教」はそれなりの組織を維持しているようにも窺えます。

なぜなのでしょうか。

理由は、伝統宗教と比べて、「新宗教」はカネ集めが上手いからといえるでしょう。

「カネ集め」がうまく回っているからこそ、立派な施設もつくれ、その権威による「信者集め」や「カネ集め」のシステムも両輪で機能させられます。

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宗教心が薄いといわれる日本人なのに宗教法人の数は多い!

文化庁がまとめた令和元年版の「宗教年鑑」によれば、日本での宗教法人の数は18万665団体もあります。

そして、これらを包括するおおもとの宗教団体も、法人が399、非法人が78で合計477団体となっています。

結構な数の団体数なのです。

系統も神道系、仏教系、キリスト教系、諸教といろいろに分かれています。

そして、従事する僧侶や神官といった職員の数は、寺が35万人強、神社が7万2,000人弱、キリスト教系は3万1,000人強、諸派が20万人となっています。

そのうえ届け出られた信者の合計数は、1億8,133万人にものぼりますから、日本の人口を軽く超えています。

ところで、こうした宗教法人は公益法人です。

公益法人は営利を目的とせずに公益に資することを条件に、特別法に基づき活動範囲に応じて都道府県知事や所轄大臣の認証を得て法人格を有します。

しかし、こうした宗教団体の収入はピンキリです。

前述した通り、信者が多ければ寄付も多く集まりますが、田舎の寺などで檀家も少なく、後継者もおらずに廃社寸前のところまで散見されるのが実態だからです。

とまれ、宗教活動で得た収入には基本的に税金がかからないという最強最大の特典があります。

宗教法人になるとオイシイ税制優遇制度が活用できる!

宗教活動と認められていれば、法人税もかからなければ、不動産を購入しても宗教施設(墓地に供する土地も含む)なら、不動産取得税も登録免許税も固定資産税も払わなくてもよくなります。

また宗教法人が経営する保育園や幼稚園に供する土地でさえ無税になるなど、ものすごく優遇されているのです。

おまけに幼稚園の入園料、保育料、施設設備費までもが無税です。学校法人とは大きな違いがあるのです。

墓地の販売や、戒名料、祈祷や読経といった活動、お守りやお札、おみくじの販売活動で得た収入も、宗教活動と看做されるので、無税となります。

面白いことに、宗教法人法には、「礼拝の施設その他の財産を所有し……」といった宗教法人になるための条件があるために、収入の多い宗教法人はやたらと不動産を保有したがります。

収益事業に相当する「法人税」まで優遇されている!

もちろん、宗教法人が営利事業を行って得た利益には課税されます。

ただし、これも優遇された法人税です。

法人税率は一般企業では23.2%ですが、宗教法人は19%に軽減されています。

そのうえ、どういうわけか、所得の80%にしか課税されないのです。

ゆえに実質税率は15.2%になります。優遇しすぎでしょう。

近年では新規の宗教法人設立はハードルが高いため、休眠状態の宗教法人を、脱税を狙いたい悪徳企業や強欲な富裕層が1,000万円単位の金額で買収・購入するケースまでもあるのです。

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宗教法人の衣を被れば「脱税」も簡単でやり放題!

日本では、宗教法人への課税を強化すれば、消費税などいらなくなる──と主張する人もいますが、宗教活動に課税しないのは、ほぼ世界的なお約束になっています。

課税する場合でも、その基準が著しく緩くなっているのです。

信教の自由──というのが、過去の弾圧といった歴史的反省点を踏まえて、宗教は公益に資する活動──として認め、保護するようになった経緯があるようです。

ゆえに、いずれの国でも宗教団体の課税の不公平については議論されますが、いずれも集票&圧力団体として政治にも組み込まれているため、今後も宗教法人への課税強化は望み薄なのです。

せめて、脱税をしないよう宗教法人への、国税当局の監督チェック機能を高めることが望まれるのですが、これについても日本国憲法との絡みもあって、当局も及び腰になりがちなのです。

つまり、宗教団体は、昔から政治に強い団体なのです。

そして、その影響力を発揮しやすいのが、「伝統宗教」よりも「新宗教」のほうなのです。

カネと集票力があれば、政治と結びつくのも道理なのです。

これはもう反社会的カルトの「旧統一教会」に限ったことではありません。

統一教会ほどでなくても、寄付や献金をやたらと強要される宗教団体は他にも少なくないからです。いずれも、与党・自民党支援の宗教団体がゾロゾロあります。

こうした宗教団体の信者になったら、その信仰心の証を示すのに、本部へカネを貢がせるのは、大昔からの宗教の常套手段なのです。すべてが、カネ、カネ、カネで、それが力の源泉になります。

こうした宗教法人の脱税手法はとても簡単です。

たとえば仏教寺なら、檀家からお布施をもらっても寺の収入にもせず、自分の懐に入れてしまえば、誰にもわからなくなります。

旧統一教会では、信者は借金をしてでも、教団に寄付をしなければ、先祖が霊界で地獄のような苦しみを味わう──などと脅して献金させるのが常套手段だったようですが、こうして得た収入はすべて無税なのです。

日本人から巻き上げたお金で韓国やアメリカでの布教活動の原資にしていたというのですから、驚かされます。

いくらでも懐に入れられる「領収書ナシ」のオイシイ収入!

寄付や献金に、いちいち領収書は出しませんから証拠はどこにも残りません。

そして、宗教団体の本部職員への給与には所得税や住民税が課されますが、宗教活動での収益をそのままネコババすれば最も簡単に脱税も出来てしまいます。

ゆえに、宗教団体の幹部は、自分の給与は出来るだけ少なくして、宗教活動の収入をポコポコ抜けば、自分の手取りはいくらでも増やせるのです。

給与所得は累進課税です。

宗教団体幹部として給与年収1,000万円を得たとしても、社会保障費や所得税・住民税で、手取りはせいぜい730万円程度になります。

給与年収2,000万円などとなったとしても、所詮はサラリーマンの身の上であれば、手取りはたったの1,300万円程度に圧縮されてしまうのです。

正式な職員の所得は出来るだけ小さくすれば、個人としての課税額を少なくして、宗教団体の寄付や献金での収入をそのまま懐に入れたほうが、はるかにオイシくなるわけです。

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宗教法人の収益事業にかかる税金も優遇されている!

宗教法人は、収益事業を行っている場合、毎事業年度終了後2カ月以内に貸借対照表や損益計算書を添付して確定申告が義務付けられています。

しかし、収益事業を行わず、収入が8,000万円以下ならば収入が少ないとして申告しなくてもよいことになっています。

これはどう考えてもおかしいでしょう。

8,000万円という収入金額は少なくないからです。もっと基準を厳しくして 申告を義務化すべき なのです。

諸外国のように、収益事業を行っていなくても、寄付金収入の中から慈善事業として一定額を他のチャリティに供出させる仕組みがあってもおかしくないのです。

「収益事業」と「宗教活動」の区分けは常にあいまい!

宗教法人という組織が便利なのは、収益事業で上がった利益を、宗教法人の宗教活動で得た収入として、無税でごまかすといった偽装計上がしやすくなっているからです。

えぐい例では、たとえば、2009年には「宇宙真理学会」と称する宗教法人がラブホテルを経営し、ラブホテルの収益の一部を「お布施」として宗教活動の収入として、売り上げを減らしていました。

結果として、この宗教法人は、14億円もの所得隠しをしていたことが摘発され、重加算税を含め3億円を追徴課税されています。しかし、このように摘発される事例は稀です。

きっと「宇宙真理学会」とかいう、ふざけたネーミングやラブホテル経営という、エグすぎる収益事業が目立ったからかもしれません。

いずれにしろ、宗教法人は、外部からはなかなか内情が窺い知れない仕組みになっています。

その気になれば、いくらでも脱税ができる「坊主丸儲け」の世界が広がっているのです。

洗脳やら脅迫などの反社会的犯罪行為を行って、カネ集めをしていても、宗教団体は「信教の自由」などとの認識の混同が起こるがゆえに、これまでも数多くのヤバい所業が見逃されてきたのが実情でしょう。

カルト教団による気の毒な宗教2世などは、逆にいえば憲法の「信教の自由」によって、親や教団からの救済が必要な存在でしょう。

フランスのように、カルトの認定基準を定めるなり、宗教法人格のはく奪が行えるよう、今後は議論を深めることが必要だと筆者は考えますが、皆様のお考えはいかがでしょうか。

今回はここまでとします。

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image by: Shutterstock.com

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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